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ONEPIECE 1137「シャムロック登場」

14年前にハラルド王とロキが激闘を繰り広げたアウルスト城は、現在は完全に廃墟と化していた。


エルバフ最強級のふたりが全力で戦うとどれほどの破壊力があるのか、まざまざと見せつけられた感じだ。


壮絶な親子喧嘩を停めようとして巻き込まれたのか、ただ巻き添えを食ったのかは判らないが、城内には夥しい数の巨人族の死体が累々と重なり、生き残ったのはロキとヤルルただふたりだけだったという。

放置された死体の山を見るに、当時の混乱ぶりが伺い知れる。

ある時代には世界中を恐怖の底に落とした「勇ましく戦い、潔く散ってナンボ」の戦闘民族である。ひと山いくらの雑兵の死をいちいち弔ったりしなかったかもしれないが、それでもここは王城である。
死体を放置すれば野生動物がやって来る、腐敗臭も酷かっただろうし、最悪疫病が発生しかねない。離れ孤島や山奥ならばいざ知らず、これを「放置しても仕方なし」としてよい理由は何ひとつない。
それをそのままとし立入禁止にするというのは、一般人に見られては都合が悪いものが「隠せない状態でそこにあった」以外には考えられない。
せめてハラルド王の葬儀ぐらいは、ちゃんと執り行われたのだろうか。


さてその頃、ロキはグンコの拷問を受けていた。

グンコは「アロアロの実」の矢印人間。矢印で単純に刺したり、力場のベクトルを操作することができそう。
帯状の矢印で物理的に締め付けたり鞭打ったり、自分の身体に巻きつけて武装したりできる以外にも、もし「矢印」という概念を用いて力の作用する方向を自由に操れるなら、相手の攻撃をすべて逸らすことができるはず。…これは手強そう。

しかしロキは、昔からの“ダチ”だという野生動物たちが死に瀕しようと、自身がいくら傷つけられようと、グンコたちの要望に首をタテには振らなかった。

 


この頑なな対応を見る限り、ロキは「実は強い信念を持ち、胆の座った人物なのでは」という疑念(w が湧く。
なにか天竜人や世界政府に確固たる確執があるのでなければ、相当にロックな魂ソウルの持ち主でない限り、ここまでの抵抗は理解に苦しい。


結局ふたりはこの場でロキを懐柔することを諦めることとなる。
その判断をしたのはグンコとペアの男


ガーリング聖の息子であり「神の騎士団」団長である
フィガーランド・シャムロック

まぁ・・・ どう見てもシャンクスの兄弟だよね。顔に傷もないし、左手もちゃんとあるので、本人ではない。
シャンクスの出自が明らかになったと考えていいだろう。
シャンクスの手配書は世界中に散らばっているのに、この容姿で外に出る胆力はなかなか。
僕ならスキンヘッドにするか髪を染めるね。せめて無精髭は剃ろうぜ・・・

ちなみに余談だが:
僕は、38年前にゴッドバレーでロジャーに保護された天竜人の赤子こそバギーで、その従者の赤子がシャンクスだ(そのほうが面白い)と考えていたんだが、どうやらそのセンは潰えたようだ。


シャムロック曰く、大昔に新世界を制圧したエルバフの戦士たちを、自分たち「世界政府」の指揮下に是が非でも引き入れようという計略らしい。

まずここから解ることは、「五老星」内部の勢力図が崩れ始めていること。
サターン聖が失脚し、その後釜にガーリング聖が着任した際の態度からもある程度予想はできたが、これまで五老星が踏み込まなかった領域に、ガーリング聖が易々と踏み込んでいる。

カイドウとビッグマム失脚に伴う新興海賊たちの台頭、王下七武海制度の撤廃、そしてベガパンクの反乱と告発と「ニカ」の実が覚醒した事態を受け、明らかにこれまでとは違うフェーズに移行したことは間違いないが、シャムロックの「どいつもこいつも使えない」という言葉を聞く限りでは、ガーリング聖は旧来の五老星の執政を物足りなく思っており、強行も辞さない構えを感じさせる。
イム様なりの「テコ入れ」「方針の転換」の顕われが、ガーリング聖の抜擢なのだろう。

さて、それではロキはなぜここまで頑ななのか。

身の程知らずでプライドが高く、ただの思慮浅い乱暴者の馬鹿息子だと思われたロキが、実はエルバフの未来・または世界の未来をめちゃめちゃ憂慮していたとしたらどうだろう。

確かにハラルド王の掲げた理想は、今どき時代の変化に準じているし崇高だと評価されよう。
多くの長老たちの古い考えをもシフトさせて、広く国民に理解を得た。ミクロな視点でそれは正しい変化だったかもしれない。だが、もっとマクロな視点ではどうだったか。

たとえば「空白の100年」に何があったか、世界統治の裏で世界政府がどんなことを企んでいるかを知ってしまった、または直感的に感じたロキは、エルバフが古来からの「エルバフ」として世界に存在し続ける重要性を父王に説いたのではないだろうか。

しかし時勢柄ポリコレに傾倒した父王ハラルドはそれを理解せず、このままエルバフが世相に迎合してしまえばエルバフはダメになる、引いては世界に危機が訪れると考えたロキは、父王を実力で排除した・・・ って可能性はないかな。

かつて政府がベガパンクやシーザーに「人間族の巨人化」の研究をさせていたのは、政府が巨人族の海兵を求めてやまない証左と考えていい。その一方で、天然の巨人族を弱体化させようという動きがあったのかもしれない。

ハラルド王は「戦いより他国との交易」と唱えた。これは「略奪より交易」というマザー・カルメルが持ち込んだ考えに近い。


カルメルは政府と影でつながっており、初の巨人族の海兵誕生に寄与したことを政府に評価されていた。すなわち、エルバフを「略奪より交易」に向かわせること。これはカルメルに与えられた密命であり、政府の方針だった可能性が高い。
そして世相を鑑みて、また聖女カルメルの死を悼み、ハラルド王はそれを受け入れてしまったのだ。

だが「空白の100年」を知れば明らかになる『真の敵』に抵抗するには、カウンターパートとしてエルバフの戦力が欠かせないことに気づいたロキが、父王と対立したのではないかな。


巨人族に対する他種族の恐怖心を拭うために、角を(切り落としたのではなく)引きちぎったというハラルド王の覚悟は確かに凄まじく、未来にエルバフを残すための方策としては英断だったと云えるだろう。
だが、巨人族がその“牙”を、“爪”を、そして“角”を失うことが以後の歴史に与える影響は、エルバフの存続だけでは計れない価値と役割があったのだ。

今、世界政府はエルバフの「凶暴性」を配下として求めている。そしてその統率者としてロキに目をつけたようだが、その意図を知ってか知らずか、ロキはそれが気に入らない。

おそらく、エルバフを弱体化させようと目論んでいたのはかつての五老星の考えで、弱体化しきっていない凶暴さを残したエルバフを配下に加えようというのが、今のガーリング聖の(イム様の)考えなのだ。


エルバフすべてを率いるには、先王の血筋であるロキかハイルディンをまず味方に引き入れることが望ましい。
ロキは「エルバフの恥」として全国民に蛇蝎のごとく嫌われているのでハイルディンのほうが与し易いはずだが、ハイルディンは「全巨人族の王」を目指しているらしいので、それは他の巨人族に対し「エルバフ」が持つ特殊性を失わせることにほかならない。
しかもハイルディンは、目下政府の「目の上のたんこぶ」である麦わらのルフィと懇意である。

「エルバフ」の凶暴さをかつてのままに味方に引き入れるには、ロキを籠絡するのが世界政府にとっては最善だったのである。

さぁ、シャムロックはロキの懐柔を諦めたようだ。
マリージョアの指示を乞うようだが、もっと荒っぽい実力行使に移る可能性もある。

ルフィはグンコに倒された門番と話せばロキの元へ来るだろう。
果たしてルフィはここでシャムロックと対峙するのか。それともロキを生かしたままシャムロックが一時撤退するんだろうか・・・。

 

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