宇宙戦艦ヤマト 2199 #08 星に願いを
旧作における第09・11・12話に相当
旧作ではおよそ軍属しか登場しなかったガミラスにも、
平和に暮らす民がいる。
軍事主体の国家運営とはいえ、民草の支持なくして国政は成り立たない。
逆襲のシャアで、シャアが艦隊の前でぶった演説や、
電車で市井の人々と触れあって見せたのと、
戦略という意味で根っこは同じだが
デスラーはより積極的に活用し、国民の支持を受けている。
シュルツの娘:ヒルデが目を輝かせているところを見ても
二等臣民にも不平のない、なかなか良い治世を敷いているようである。
これは
問答無用で一方的かつ強引な侵略行為を行う極悪非道の枢軸
として描かれていた旧作のガミラスとは明らかに違う。
まぁ旧作は「SFヒーローの敵といえば=地球侵略を目論む悪の宇宙人」が
当たり前の時代に作られた作品なので
そういうテイストはガミラスにも色濃く染みついていた。
今は時代が違い、いわゆる「ガンダム以降」
敵方も社会問題や環境問題、政治問題、人間関係や妬み嫉みなどにも悩まされる
自分たちと等しい等身大の人間であり
彼らには彼らなりの事情があるとするのが正道である。
また、もともとヒトラーをモデルとしているとはいえ
国民を煽るのが巧いだけのキナ臭い演説ではなく
嘘でも国民を愛しているというアピールをさせることで
デスラーのキャラの振り幅に余裕ができ、
たとえば性格や人間関係などの新設定も追加しやすいのかもしれない。
事実この8話までの時点のデスラーに、旧作のような冷徹な印象は見受けられない。
それが蛇足となるかどうかは・・・またそのときの話だ。
まぁそんなわけで、ガミラス軍首脳の歴々も実に個性豊かなのだが
その紹介は、またいずれするときがあると思うので割愛する。
なぜだかタランが二人いるが
旧作のタランはひとりなのに、途中でデザインが大きく変更されたため
本作では兄弟としてふたり登場させたらしい。
今回の作戦、
旧作では、デスラーを楽しませるイベントとして、タランが作戦を立案。
銀河方面軍司令本部へ、わざわざデスラーに出向いてもらっているが
辺境の未開惑星が単艦で前線基地を撃破したとて
その程度の相手をひねりつぶすことは
ガミラスにとって至極当たり前のことであり
総統デスラーを歓待する余興となり得るとは、
現状のヒスやタランには考えられないだろう。
本作では、逆に
ガミラス帝国建国1000年ならびにデスラー紀元103年を祝う
式典での演説の後、式典に集まった軍幹部たちの日頃の労をねぎらう、
デスラーからのもてなしの余興となっている。
なるほど、軍上層幹部を視聴者に紹介する機会とするには
皆がデスラーの下に一同に会する場を設け
そこで、デスラー発案の余興とするのが、より自然かもしれない。
開かずの間の美人の幽霊
星名は百合亜を怖がらせようと、話のツカミとして言ったに過ぎないが
その幽霊の正体と、百合亜が“見える体質”であることは
今後重要になってきます。覚えておきましょう。
この美しい地球こそ我々が取り戻すべき本来の地球。
ヤマトの望遠鏡で見る8年前の地球が、なんとも感慨深い。
しかし
地球と時差を全く感じさせない交信をする技術を持ちながら
ここだけリアルタイムの光線映像で見せることに、
何か違和感を感じてしょうがないのだが
ヤマトが光の速度を超えてきたことの再確認と
通信技術にもワープの理論が転用されているものと勝手に解釈した。
今回の話は
旧作における第09・11・12話のエピソードを
ひとまとめにしたものとなっており、
第09話は、前線基地を失い進退窮まるシュルツ艦隊が最後の決戦を挑んでくる話。
第11話は、デスラー機雷を素手で撤去する話。
第12話は、エネルギーを吸収するガス生命体をけしかけられる話。
11話で己が名を冠した機雷を平気の平左ですり抜けられたとはいえ
この時点で、なにを・・・とデスラーが新兵器を擁して出張ってくるのは
あまりに短絡的で不自然。
余興という形で、デスラーに積極的にヤマトへ関心を持たせ
計画を実行するのは最後のチャンスをもらったシュルツ隊
という、実に合理的な話数節約になったことはすばらしい。
さて、作戦に付随するエピソードは寄せ集めでも
ガミラス側の作戦内容とこの後の展開は、旧作12話とほぼ同じ。
このあたりで沖田艦長の病状悪化が明らかになることも同じなのだが
ガス兵器に追い込まれてヤマトが逃げる先にある赤色巨星が
旧作でオリオン座のα星=ペテルギウスだったのが
てんびん座のグリーゼ581に変更となった。
ペテルギウスは地球から640光年の場所にあるとされていることと
現在でもいつ超新星爆発を起こしてもおかしくないとされていることから
2199年の状況がどうなっているかはあやしい。
よって、物語の進捗状況に適合しないと判断されたのだと思う。
では諸君、テロン人の健闘を祈って乾杯しようではないか。
wワロス 総統もそうとう冗談がお好きで…
旧作と同じく穴に落とされる『下品な男』。
まぁ、下品かどうかはともかく、
国家元首が乾杯の音頭をとる前にすでに酔っ払っているようなヤツは
軍隊では粛正されて然るべきだと思うわ。
デスラー魚雷の中身は、エネルギーを吸収して無限に増殖するガス生命体。
旧作ではデスラーが「たわむれに作ってみた」と言っているが
本作ではどこぞの星域に生息する稀少生命だそうだ。
原理など大層な薀蓄が加味されているが、基本的な性質は旧作とほぼ同じ。
恒星へ向かって逃げるヤマト
艦外服の着用でクルーの身体は守られても
これでは熱だけでなく、太陽風の影響だってハンパない。
艦が保つはずはないのだが、むぅ〜そこは問うまい・・・
ガス状生物は、より強大なエネルギーを求めて恒星へダイブ
突然発生した巨大コロナを波動砲で撃ち、
できた隙間をすり抜けるヤマト。
追ってきたシュルツ艦はコロナに焼かれてあぼーん・・・
名将沖田のすばらしい機転で、ヤマトは3つの危機を一気に回避
・・・て、それでいいのか・・・
逆に詰め込みすぎて、沖田の機転・知略の印象が薄れてやしないか?
まぁシュルツたちの見せ場を作ったことは
ガミラス帝国の組成と層の厚さ、兵の忠誠心などがよく理解できる
よい改変だったと思うのだが、やはりスマートにまとめすぎた印象が拭えない。
さらに言うなら、
コロナの火柱を波動砲で消し飛ばすことが仮にできたとして
そこから再起動をかけたヤマトがその開口部をはたしてくぐれるのか、
いや、もっと言うなら、
本作での波動砲は次元爆縮砲。
マイクロブラックホールを発生させて対象を消滅させているはずだ。
ということは、事後ブラックホールが消失=爆縮させた空間が戻るときに
開口部はふたたび閉じるんじゃないのか。
難しいことはもっと詳しい人に任せるしかないか。
よそに情報あったら教えてください。
ヤマトか・・・記憶に留めておこう・・・
デスラーがヤマトを記憶した。
これが今回もっとも大きな進展だったかもしれません。
余談ですが:
波動砲を見たタラン(兄)
兵器開発局で試作中のものと似ている・・・
これはちょっと興味深い。
次元波動エンジンはイスカンダル提供の技術なので
隣国であるガミラスに類似した機関があっても不思議ではない。
しかし、確か波動砲は
波動エンジンの理論・技術を応用して地球側で開発した兵器のはずだ。
科学技術の進んだガミラスならば
同様のエンジンがあれば、似た兵器を開発することは道理なのだが
この意味するところは、
ヤマトに搭載されている波動エンジンは
ガミラスの技術水準からしても最先端か、それを越えるレベルのものであり
ところが、イスカンダルが旧作と同様の衰退ぶりなのであれば
その技術はイスカンダル由来のものとは考えにくい。
すなわち、ヤマトの次元波動エンジンのテクノロジーは
ガミラスで開発されたものがイスカンダルに漏洩、つまり
ガミラス内部にイスカンダルの支援をしている者の存在を示唆するものだ。
ガミラスとイスカンダルの関係、イスカンダルの現況は?
古代守の生存は、そしてハーロックは?(これはどうでもいいw)
Comment
◎宇宙戦艦ヤマト2199第8話「星に願いを」
[ガミラス]→デスラー演説※ヴァルケの娘のヒルデ可愛いミーゼラ)余興の準備整っておりますデス:例の船だねレドフ>総統、お祝い申し上げますありがとう>偉業をなしと…
あの「総統も相当に~」のトコ。
透明パイプエアカーや透明エレベーターなどに
匹敵…いやそれ以上の“どこでも落とし穴”が、
オミットされず再現されたのは、
粋だし、ほのぼの(笑)
ハーロックが出てくる
コミック版(松本零士じゃない)を
昔読んだ記憶がありますが、
もう内容は覚えてません。
>かっぱさん
ようこそいらっしゃいました。
最終話まで気力が保つか少し自信がないのですが
できるところまでがんばります。
今後ともご贔屓にしてください。
はじめまして、こんにちは。
ヤマト関連を検索していて、たまたま立ち寄りましたが、新旧ヤマトを比較して、鋭い考察をされているのに、感銘を受けました。
私自身、旧ヤマトはおそらく再放送時に1回見ただけのような気がします。このブログで、もう一度じっくり見たくなりました。
今回の恒星突破、記憶ではプロミネンスの回避や波動法発射に至る描写が、もっと緊迫感あったように思いました。(予測してよけるなんて無茶、とか、吹っ飛ばしたプロミネンスが通り抜けるまで都合良くなくなるもんか?とか思いましたが)
それでは、最終話まで、楽しみにしています!