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ジョジョの奇妙な冒険 第三部 #43「亜空の瘴気 ヴァニラ・アイス その2」

 




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おことわり)
アニメ「ジョジョの奇妙な冒険」 のレビューは
「原作準拠」の検証の意味も込め、コミックとの比較をするスタンスで書いています。
往々にして揚げ足取りの文章となるため
ファンの方には、しばしば不愉快な思いをさせることがあると思いますが、
筆者は決して悪意を持ってはいないことをご理解の上読み進めていただけると幸いです。
また、検証・認識の甘さから、的はずれなことを書くかもしれません。
その場合は、遠慮なくご指摘ください。

コミックス 26巻3章中頃~07章中頃までに該当。
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ヴァニラ・アイスとそのスタンド「クリーム」
「魔術師の赤」が作り出した、炎による生物探知機にまったく反応せず
突如、虚空に現れてアヴドゥルを暗黒空間に飲み込んだ。
なぜ生物探知機に反応しなかったか。
それは、その瞬間まで「居なかった」からだ。
「クリーム」の口の中はこの世ならぬ暗黒空間に通じている。
この口の中に、アイス本体が入ったり、
「クリーム」自身が自らの身体を食べる(口に入れる)ことで
いわゆる「こっちの世界」から完全に存在を消すことができる。
暗黒空間に飲まれたアヴドゥルの肉体は粉微塵になったそうだ。
アイスすらその原理を把握していない謎空間なのに
中に入っているアイスや「クリーム」の肉体が何の被害も被らないのは
「能力者本人だから」というだけではどうにも納得しづらいが
100歩譲ってよしとしよう。出入り口付近は安全なのかもしれないしな。
「クリーム」の歯クソくさい牙に
内側で一生懸命捕まっているアイスを想像すると、ちょっと楽しい。
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偶然しゃがみこんだ刹那、ポルナレフの頭上
遮蔽物を暗黒空間に飲み込みながら「クリーム」が通り過ぎた。
ちなみにだが、原作では
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ポルナレフの頭を、まさにかすめるくらいの位置をえぐっており
その痕跡はもっと大きい。
後のシーンでは、軌跡の大きさは大小様々に描かれているが
演出としては、原作くらいの方がいい。
わずかでも気を抜けば身体の一部を、
あるいは全てを削り取られる危険度MAXの見えない敵のヤバさや、
「運命が生きのびろと言っているのか?」とポルナレフが感じた
生死の境ギリギリ内側に偶然居た「幸運」を強調するには、
ここは、実際の「クリーム」の軌跡のサイズよりも
大きく大袈裟に描写してもかまわない。
「北斗の拳の悪役は最初だけ巨大」の法則だ。
強大で計り知れない敵は大きく見えるのだ。
加えて言うと、
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なんだか鉄球が転がって迫ってくるように見えるのが
どうにもいただけない。
暗黒空間に入った「クリーム」は”見えない”のだ。
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原作では軌道上のあらゆる物を消滅させながら「見えない敵」が追ってくる。
目に見えないし、この空間に存在していないから
アヴドゥルの生物探知機にも反応しなかった。
存在していないのに干渉はする。だから恐ろしい。
それなのに、
明らかに物質的に”そこ”に存在しているかのような表現はダメだ。
転がっているように見えるのは、もっとダメだ。
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イギーッ!おれの背後を見張れッ!
おれはオメーの後ろだッ!

悠長なことを言っている場合ではないが、
ふたり(一人と一匹)は、本当にいいコンビになった。
原作では、ペット・ショップ編以外では
イギーの感情表現があまり積極的に行われていない。
アヴドゥルを一瞬で消し去った、音も臭いも気配もしない敵に
恐怖と焦燥を露わにしてはいるが、
ポルナレフの言葉に奮起して、尻尾を立てて前進の意志を固める描写は
アニメオリジナルのものだ。
目の前で自分たちをかばった仲間の死をともに受け止め
感情と決意を共有しているポルナレフを相棒として認め、信頼しているのだ。
ここへ来るまでアニメでは、原作にない
ポルナレフとイギーの絡みが度々描写されていたのは、
この絆、コンビネーションを緻密に描くためだった。
その試みは、ここに見事に結実した。
そしてその最終的な成果は次回訪れる・・・。
ちなみにOVA版では、
アイスとの初対面の場にはDIOも居て、
一瞬でアヴドゥルを消滅させた敵の謎の能力と、
何より目の前のDIOという強大な悪のカリスマへの恐怖に
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バックレたイギーwww
あとでちゃんと戻ってきてポルナレフを助け、絆を確認しあうんだが
いかんせん、OVAは話数が少ない分どうしてもイギーの印象が薄く
ビジュアル的にも「ただの犬」なので、
どうしても、取ってつけたように感じてしまう。
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イギーの「愚者」が砂で作ったニセモノのDIO
アイスはこれに気づき破壊するが、
敵の術中にはまり、DIOの姿をしたものを攻撃させられたことは
DIOに対し完全なる無償の忠誠心を捧げるアイスにとって
この上ない失態であり、屈辱だった。
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一方的なリンチを浴びせるアイスに
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もはや瀕死のイギーは、それでもアイスを煽る。
その結果・・・
jojo-SC_43-0m.jpg ・・・う〜ん、この・・・
つい最近
ペット・ショップ編を経て、どこぞの世界的動物愛護団体とやらから
「ジョジョは動物虐待アニメだ!」との抗議声明を出されたはずだが、
配慮はまったくないのなwww
ま、その抗議は、おおよそどの方面でも一笑に付されたそうだが・・・
少し余談だが:
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アイスが砂のニセDIOの腕をふっ飛ばしたシーン。
腕の切断面にボカシがかかっている。
一体なぜ・・・?
第一部では、ジョナサンの首の頸動脈すらボカされたのに
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顔面真っ二つのディオは無修正だった。もちろん腕の切断面もだ。
これは、ジョナサンは人間、ディオは吸血鬼=人ならぬもの、だから。
人間のグロは自主規制の対象だが、
ディオは人間じゃないから規制の対象に入っていないのだ(たぶん。
それなのに今回、吸血鬼であるDIOの、それも砂で作ったダミーが
なぜ規制の対象になっているのか。全くもって理解し難い。
ひさしぶりに自主規制の話したわ・・・。
〜閑話休題〜
イギーをしこたま傷めつけたアイスが、次はポルナレフに迫る。
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そこでポルナレフは砂を巻き上げて、
障害物を飲み込みながら移動する「クリーム」へのソナー替わりにした。
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わかるぞ!どう動いているかわかるぞッ!
うん。それ、はじめから見えてたよね。
ちなみにOVAではイギーが逃げてしまったので
jojo-SC_43-0s.jpg 砂ではなく水を使う。
噴水を破壊し、霧状に舞う水がクリームの位置を知らせていた。
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のどから脳幹を串刺しにしても、うつろな瞳に執念の炎を灯し死なないアイス。
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おれは死なん…
わたしが死ぬのはその後でいいッ!

イギーに逆上したときでさえ一人称は「わたし」で固定だったのに
ここへきて「おれ」が混ざっている。
しかしこれは、誤植かと思ったが、どうやらそうではない。
詳しくは次回…かな。
本来なら致命傷となる傷を負わせたはずのアイスと、
左手指と大腿部をえぐられたポルナレフの戦いは佳境。
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暗黒空間に飲まれたチャリオッツの剣先が原作よりも長いのは、
あとでまだ使うからだ。
原作の長さではもう戦えない。
OVA版では、あとで剣先復活してたけどね。
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もはや満足に動けないポルナレフを、円の動きで追い詰める。
しつこいようだが、
この期に及んで、転がる鉄球が興ざめだ。
今はもう砂も舞い上げてはいないのに、なぜ見える?
球状の形は「クリーム」の侵食ゾーンがその範囲であるというだけで
色も、臭いも、気配もない。
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球状の物体が”さも移動したかのように”
目の前の物質が次々と消滅していく現象だけが見えるのだ。
その点、OVA版の表現は軌跡すら見えず突然穴が空く。
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これはこれでおっかないが、
「クリーム」の迫ってくる恐怖とはまた異なっている。
むしろ、第四部の虹村億泰の「ザ・ハンド」に近いかもしれない。
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軌跡は渦巻きのようにおれに迫っているッ!
そう、迫っているのは「軌跡」なのだ。
jojo-SC_43-1d.jpg こんなふうに
黒くて丸い「物体」が迫ってくるんじゃあないんだッ!
どんな風に見えようともスタンドの能力に違いはないが
このジョジョアニメで、アニメならではの表現と称するには
あまりにも原作と違いすぎる。
わかっていない。わかっていないぞ!アニメスタッフ!!
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「クリーム」が一周する間に
チャリオッツに、円の外に引っ張り出させる作戦は失敗。
これについて
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「チャリオッツは力でおれの体重を引っ張るのは得意じゃあねえ」
というポルナレフの解説が
「負傷した今となってはキビシーぜ」と微妙に変更されている。
これは、初登場時のアヴドゥル戦において
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チャリオッツはポルナレフを楽々持ち上げてましたよ、という
突っ込みがあったためと考えられる。
こういう不自然な点を丁寧にすくってくれる補正・改正はうれしい。
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あばよ、イギー
あぁ・・・
ここは真っ白な光の玉に飲み込まれるような演出でいいな。
次回:亜空の瘴気 ヴァニラ・アイス その3
「その3」か・・・はじめてだな

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