ジョジョの奇妙な冒険 第四部 #15「漫画家のうちへ遊びに行こう その2」
コミックス 34巻09章中盤~35巻03章に相当。
康一の「記憶と体験」のおかげで、創作意欲が湧きだして止まらない露伴。
恐ろしいスピードと驚くような斬新な手法でみるみる原稿を仕上げていく。
「ピンクダークの少年」のそのコマは、明らかに原作の絵を下敷きにしているが、原作よりもクオリティが高い。
しかも、見事に荒木(露伴)テイストになっている。
ああ、ひょっとして・・・
三部のときに「背景線画」として鬼窪浩久氏の名前がクレジットされているのが「どこのことだ?」と話題にしたことがある。
四部でも引き続き「背景線画」に滝れーき、鬼窪浩久、と三部と同じ二氏がクレジットされているんだが、
前回と今回は、それとは別に「露伴原稿制作:滝れーき」とあるな。
え…え!! 何!? どゆこと・・・???
少し余談になるが:
鬼窪浩久氏は、かつて荒木飛呂彦先生のアシスタント経験を持つ、現在では主に青年漫画で活躍中の作家さんで、滝れーき氏とは、何者か僕はまるで知らないのだが、鬼窪浩久作画による青年漫画の「原作者」としてタッグを組んでいた人だ。
調べてみると、滝れーき氏も自身で作画する青年漫画家であるようだが、絵柄の印象は鬼窪、荒木、岸辺露伴のいずれとも合致しない。いったい、なぜこの人が荒木テイストの絵を描けるんだ?
いや、そりゃ確かに世の中には、田中圭一とか喜国雅彦とか村田雄介とか、他人の絵柄を上手に真似ることのできる漫画家がいるけど、仮に滝氏がそうだったとしても、これはどちらかと言うと、作品の経緯を考えるに、鬼窪氏がやるべき仕事ではないのか。
別にこのためだけに鬼窪氏を招聘しろと言うのではない。
鬼窪氏も本作に参加しているのだから、その「縁」をないがしろにするべきではないと思うのだが・・・。
ここでひとつ、ひょっとして・・・
滝れーきとは、絵柄を使い分けるための鬼窪氏の別名義ではないのか?
という妄想が湧いたが、いや、それならなおさら露伴原稿は鬼窪名義で描くべきだろうから、それは無いよな。
では滝氏も元アシなのかな・・・?
う〜ん・・・謎だ・・・。
これまでとは打って変わってアップテンポなロックになった。あぁ・・・こういうテイストになっちゃったか・・・
これまでと同じ「日常」感の中に、迫る闇。2クール目に登場する新たなキャラクターに焦点を当て、いよいよ登場するラスボス:吉良吉影を印象づける演出が各所になされている。
触れたものが爆発する。その周りのキャタピラの跡はもちろんアレだ。
仗助たちが追うのは、猫目の男。
吉良吉影への期待感が高まるのは、いいね。
ただ、ひとつ気になることが・・・。
この英語表記「JOJO’S BIZARRE ADVENTURE 4」
言うまでもなく、本作は「ジョジョの奇妙な冒険」第四部「ダイヤモンドは砕けない」を原作としており、だから僕も記事タイトルや記事中の表記では「四部」と書いているが、
実はアニメ版は、一部「ファントムブラッド」と二部「戦闘潮流」を合わせて「1st Season」。第三部に当たる「スターダストクルセイダース」を「2nd Season」としており、今回のシリーズは、アニメでは「3rd Season」なのである。
言いたいことはもちろんわかるが、これを「4」と表記するのはいかがなものか。
しかし、継続して放送した一部・二部全26話をひとつのシーズンと区切るのはいいとして、じゃあ、三部のエジプト編はどういう扱いなのか気になるよな。(「セカンドシーズン後半」だそうです。・・・なんだかなぁ)
思い出したッ!!「ヘブンズ・ドアー」ひぃぃぃぃいいいい
楳図かずおテイストの恐怖顔www
「ヘブンズ・ドアー」のせいで露伴を害する行動を取れない康一は、康一の行動を怪しんで後をつけてきた仗助たちにも助けを求めたり、現状を説明することができない。
それは目に見えない強制力が働いて、「ぐぬぬ」と、言いたい言葉を発せられないのではなく、露伴のスタンド能力と、それにより今まさに自分が被っている被害について、すっぽりと記憶から抜け落ちてしまうため、話すことができないということ。
康一は嘘やゴマカシは一言も言っていないし、怪しい素振りもないので、仗助たちに対して何の不審な点もない・・・はずだった。
しかし、そのいつもと何一つ変わらない康一の手が、激しく傷つき血を流していたことに違和感を覚えたらしい。なるほど、たしかに原作よりも派手に階段を転げ落ちていたな。
億泰についての情報を語り出す露伴。自分のことを知られている恐怖。
康一はヘブンズ・ドアーのことを教えられないし、億泰を威圧するのにこれ以上効果的なことはない。
しかし「興味がない」と自身で言った億泰のプロフィールをよくもそこまで詳細に覚えているものだ・・・と思ったら、読みながら話してるのかwww 納得。
さて康一くん
なぜ東方仗助は、あのドアの陰に隠れていると思うね?
仗助は露伴のマンガ原稿を見ないように隠れている。
しかし億泰を嵌めたことで、そのカラクリが仗助にバレてしまった。
そうかな・・・?
これ、黙ってれば億泰がバラバラのロールペーパーになった理由分からなかったんじゃね?
まぁ、とはいえ、露伴がスタンド使いであることを知ってしまった仗助に禁止事項を書き込むことなしに、このまま帰らせるわけにはいかない。そのために露伴には、なんとしても、今、仗助を扉の陰から引きずり出す必要があった。
腕を捻り上げられた億泰。
なんか苦しんでるみたいだが、この状態で関節極めることできンのかww
東方仗助が岸辺露伴を困らせた時、わたしは焼身自殺します
ご丁寧にルビまで振ってあるww さすが仕事が細かいな露伴www
もう逆らえない。
目をつぶって出てきた仗助は、原稿を見ずに一撃で決着を着けるつもりだ。
突撃する仗助は、顔面にペン先を刺しても止まらない。
露伴は康一のファイルから最終手段を引用した。
君のヘアスタイル笑っちまうぞ仗助ェ
プッツーーーン 今なんつった!!!
更に追い打ち
ぜェ〜んぜんダサい。今どきいるのか、こんなやつって感じだ。
怒りのクレイジー・Dのラッシュより素早く原稿をかざし勝利を確信した露伴だったが
正確には違う。露伴が言うように、確かに瞳には映っていたが、ブチ切れた仗助の脳に知覚されるに至らなかった、ということらしい。
いやらしく追い打ちをかけたりせずに、仗助が目を開いた瞬間に原稿を見せていたら負けなかったのにな・・・。
いや、その時点ですでに目に入らない状態だったかもな。
仗助のキレ具合がここまで激しいとは康一も知らなかったので、康一の知り得る情報のみで、理解したつもりでいた露伴は勝算を見誤った。
世の中にはまだまだ知らないことがたくさんある。
こんな目にあってもなお、知的好奇心の権化:露伴は、新たな発見と稀有な体験に感動を抑えられない・・・プロですなぁ
しかし、キレる仗助を二度見たことがある康一よりも、一度も目撃していないはずの億泰のほうが詳しいのはなぜだ。
億泰は家も近所で、いつも仗助と一緒にいるけど、康一は一人で行動することも多いから、億泰の方がより仲がいいってことか。
12年前、承太郎たちがエジプトへ遠征していたまさにそのとき、ホリィと同じ様に、仗助は謎の高熱に見舞われた。
病院へ急ぐも、大雪の中スタックして動かない朋子の車を傷だらけの身体を圧して助けてくれた学ランの少年がいた。
このエピソードは四部最大の謎である。
ファンの間では、これから起こる四部のラストバトルで過去へ飛ばされた仗助本人ではないか、と早くから予想されていたが、原作では、結局この少年が誰だったのか解明されることはなかった。
以前も少し触れたが、ジョジョシリーズで最強のスタンド能力は「時間」に関する能力と言われているので、ラスボスの能力か、仗助が最終的に目覚める能力として、時間を遡るスタンド能力を荒木先生が考えていた可能性は大いにある。そして気が変わったか、そのことを忘れてしまうことも、荒木先生なら大いにあり得る話なのだ。
これを曖昧にせず描いた以上は、アニメでは何らかの形で納得できる補足がもらえることを切に願う。
ラスボスや仗助の能力を改変したり、時間を遡るほどの能力を持ったオリジナルキャラを出すことは無理だが、ただ「原作にあるから再現した」で許されるエピソードではないはずだ。それならば、この過去エピの方を削除した方がまだマシだ。期待してるよ、アニメスタッフさんよォ〜〜〜
(マジで期待してます。Jガイルが雨弾くくだりとか感動したものな
次回「狩り(ハンティング)に行こう!」
ところで、
「プッツン」という表現は、1986年の流行語大賞になった言葉で、我慢の限界を超えて正常な判断ができなくなる様を表現している。
その語感は脳の血管が切れたり、堪忍袋の緒が切れる「音」を表しているのだが、近頃ではすっかり死語となって「プッツンする」などとは、あまり言わない。
だからなのか、ガチギレする仗助には、敢えて文字に起こすなら「ビィィ〜ン」とか「ガチィ〜ン」って感じのSEが当てられており、「プッツン」とはおよそ聞き取れない。
ま、康一も口にしてたし、承太郎も三部の最終回で言ってたんだけどね。
おことわり)
アニメ「ジョジョの奇妙な冒険」 のレビューは
「原作準拠」の検証の目的で、コミックとの比較をするスタンスで書いていましたが
第四部は、三部までほど「原作準拠」に拘っていないようなので、比較はもちろんしつつ、
筆者の勝手な推察や持論を、多めに盛り込んで書いてゆきます。
基本的に、揚げ足取り中心の文章となることはこれまでと変わりないので
ファンの方には、しばしば不愉快な思いをさせることがあると思いますが、
筆者は決して悪意を持ってはいないことをご理解の上読み進めていただけると幸いです。
また、検証・認識の甘さから、的はずれなことを書くかもしれません。
その場合は、遠慮なくご指摘ください。
ご指摘・お叱り・応援、あらゆるご意見を歓迎します。
Comment
リーゼントの少年に関してそんな求めます普通?なーんかおかしいですよそれ?
三部けい氏も元アシだそうですね。
第三部連載開始の頃シンガポールへ取材旅行に連れて行ってもらったそうですよ。
>>詳しい解説ありがとうございます。
いえいえそんな(笑)
その「あとがき漫画」には、滝氏や鬼窪氏があの『僕街』の三部けい氏ともご友人であることや、昨年ジョジョアニメ3部の打ち上げパーティーに参加された時のご様子なども描いてあって、ジョジョファン必見(?)の内容だったりします。
荒木先生との再会シーンも…
ちなみにそのあとがき漫画が収録されているのは『母と息子の姦美な調教講座』という単行本の「2巻」です。
興味ございましたら御一読を。
4部アニメは面白いですね、
確かに『プッツン』という言葉は、連載当時でももう死語に近かったような…
後に露伴も「プッツン由花子」とか言ってるし、杜王町では1999年でも普通に使われている単語だったのかも(笑)
管理人さんのおっしゃる通り、アニメ制作スタッフの方々のジョジョ愛は凄いですよね、
原作を崩さず補完してくるアニメオリジナル展開、私も今後が楽しみです。
おぉ・・・詳しい解説ありがとうございます。
単純な謎でしたね・・・スッキリしました。
>>では滝氏も元アシなのかな・・・?
そうらしいですよ。
鬼窪氏と組んでの作品『母と息子の姦美な調教講座』単行本のあとがき漫画(滝れーき氏著)に、ジョジョアシを鬼窪氏と共に務めていたことや、ジョジョアニメに関わることになった経緯が描いてありました。
一応「原作者」というクレジットですが、あとがきを読むと滝氏も作画しているそうです。
ジョジョの後は鬼窪氏のアシスタントも長く務めていたようなので(相方&師匠と言っておりますので)同じような絵も描けるのだと思います。