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ONEPIECE 867 「HAPPY BIRTHDAY」

備蓄のセムラを与えることで、リンリンの「食い患い」はひとまず治まった。しかし、伝統の神事をぶち壊し、村を壊滅させ、巨人族の英雄ヨルルを死に至らしめたリンリンを、もはやエルバフの人々は許すことができない。


そのリンリンを救ったのは他ならぬマザー・カルメル。
「聖母」カルメルには恩がある。300年共に戦った親友ヨルルの最期を貶められたヤルルは、身を切る思いで剣を収めた。


巨人族全体を敵に回したリンリンと、彼女を慕う「羊の家」の子らを連れ、カルメルはエルバフを離れ新しい暮らしを始めた。

エルバフの火事を鎮めた「聖母」の奇跡の力と、リンリンをも見放さない慈愛の心。行き場を失った孤児達は、最後の拠り所「羊の家」を経て更生し、よき里親にめぐり会う…と、カルメルは世間に評価されていた。

だが、861話での最初の印象で「髪を隠さず手持ちタバコで笑顔の写真を残す修道女など真っ当ではない」と感じた僕の直感は間違ってはいなかったようだ。


ガキ売り稼業50年
【身なし子売り】マザー・カルメル

カルメルが行き場のない孤児の世話をしていたのは、たとえ死んでも悲しむ家族がいない孤児を、人材(コマ)として政府に売り飛ばすためだった。


此度、身を挺してリンリンの助命を願ったのは、かつてなく高く売れそうな「逸材」だったから。そして37年前にマリンフォードで巨人の死刑囚を救済したことも、世界に「奇跡の聖母」をアピールすると同時に巨人族に恩を売るために、海軍と共謀して行った茶番だった。

絶句。・・・もう、引くくらい黒い。

しかし、放置すれば死ぬしかなかったであろう行き場のない孤児たちに、かりそめの衣食住と幸福な暮らしを与えたことは事実である。(高く売るために)子らが政府や海軍である程度役に立つよう教育などもされているはずだ。そう考えると、あながち「人間のクズ」とこき下ろすこともできない。

まぁ、ここから分かることは、100年以上前から「人身売買」は政府や海軍とズブズブで、海軍のトップが入れ替わってもその体質は現在も変わっていないということか。
センゴクがドフラミンゴにしていた様にただお目こぼしをするだけじゃなく、世界中を騙して祀り上げた「聖母」を隠れ蓑に、人材プラントを運営させていた当時の海軍の方が酷いかな。


新しい土地で平和に暮らしはじめた「羊の家」では、リンリンの6才の誕生日が祝われていた。


うず高く積み上げられた大好物のセムラ、大好きな仲間たちと大好きなマザーに祝福されて、リンリンは幸福すぎてただ夢中でセムラを食った。

そして・・・・

気がつくと、誰も居なくなった。

あぁ・・・決定的なことは描かれていないが、これはそういうことなんだろう。

あれだけ苦労して保護したリンリンを政府に売り渡す前に、カルメルが自ら姿を消す理由など無い。
この瞬間、カルメルは「居なくなってしまった」のだ。

世界中で話題になったはずの「聖母」カルメルのことを、ビッグ・マム以外誰一人知らない理由もこれで分かった。
カルメルの行方を確認できない以上、身柄を拘束することはもちろん口止めもできない。政府としては人身売買に関与していた証拠はすべて消し去るしかない。そうして、聖母カルメルの名は世界の歴史から抹消されたのだ。

リンリンの中では、今でもマザー・カルメルは世界の「聖母」「この世の光」。おおらかで心優しい慈愛の象徴なのだろう。そして「茶会」は、大好きな仲間とマザーに囲まれて、幼いリンリンが一番幸せだった瞬間。

それらすべてが一瞬で目の前から消えた忌むべき記憶が今蘇る。

さて、今回の過去編・・・
これは「回想」というよりも、(いつものことだが)完全に第三者目線で描かれている。両親に捨てられたことも、「食い患い」を起こしたことも、ヨルルを死に至らしめたことも、カルメルが孤児ブローカーだったことも、すべてリンリンが知らないことだ。どんなきっかけがあろうとも、ビッグ・マムがこれらを自分で思い出すことはあり得ない。

当時のことを記憶しているとしたら、オイモとカーシー、ハイルディンくらいだが、偶然この場に現れるはずもない。

これは、このシリーズの解決に、カルメルが「聖母」ではなかった事実は関係ないことを意味しているのではないだろうか。どうやって事態を収めるのか、全く予想がつかないが。


また、エルバフの火事を鎮める際にカルメルが使った技が、ビッグ・マムの「ソルソルの実」の能力に酷似しているようだが、これもまたリンリンは見ていないはず。
カルメルの死後、世界のどこかにあらたに実った「ソルソルの実」を偶然リンリンが食ったとしたら、それは並ならぬ「運命」と言えなくもないが、普通に考えればあり得ない。

では、…まだあんまりはっきり書きたくないんだが… 「能力者を食った」ら、その能力を受け継ぐことができる可能性についてはどうだろうか。
ティーチが白ひげの「グラグラの実」の能力を身につけた方法はまだ明らかになっていないが、その秘密に繋がる悪魔の実の仕組みが、これによって明かされるかもしれない。

余談だが:


前回登場したエルバフの少女ゲルズちゃん。ハイルディンと同じくらいの年頃だとすれば現在妙齢。ひょっとしたら先頃までバギーズデリバリーに所属していた、ハイルディンの3名の仲間のうちの一人として再登場、セクシーダイナマイツな肢体を晒してくれるのでは・・・と期待するのは・・・甘い?

追記:
ハイルディンの仲間は4名でした。全員で4名と勘違いしてました。(スマンす

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