Cogito, Ergo Sum

我思う故に・・・新館

ONEPIECE 867 「HAPPY BIRTHDAY」

2017/06/07
 




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備蓄のセムラを与えることで、リンリンの「食い患い」はひとまず治まった。しかし、伝統の神事をぶち壊し、村を壊滅させ、巨人族の英雄ヨルルを死に至らしめたリンリンを、もはやエルバフの人々は許すことができない。


そのリンリンを救ったのは他ならぬマザー・カルメル。
「聖母」カルメルには恩がある。300年共に戦った親友ヨルルの最期を貶められたヤルルは、身を切る思いで剣を収めた。


巨人族全体を敵に回したリンリンと、彼女を慕う「羊の家」の子らを連れ、カルメルはエルバフを離れ新しい暮らしを始めた。

エルバフの火事を鎮めた「聖母」の奇跡の力と、リンリンをも見放さない慈愛の心。行き場を失った孤児達は、最後の拠り所「羊の家」を経て更生し、よき里親にめぐり会う…と、カルメルは世間に評価されていた。

だが、861話での最初の印象で「髪を隠さず手持ちタバコで笑顔の写真を残す修道女など真っ当ではない」と感じた僕の直感は間違ってはいなかったようだ。


ガキ売り稼業50年
【身なし子売り】マザー・カルメル

カルメルが行き場のない孤児の世話をしていたのは、たとえ死んでも悲しむ家族がいない孤児を、人材(コマ)として政府に売り飛ばすためだった。


此度、身を挺してリンリンの助命を願ったのは、かつてなく高く売れそうな「逸材」だったから。そして37年前にマリンフォードで巨人の死刑囚を救済したことも、世界に「奇跡の聖母」をアピールすると同時に巨人族に恩を売るために、海軍と共謀して行った茶番だった。

絶句。・・・もう、引くくらい黒い。

しかし、放置すれば死ぬしかなかったであろう行き場のない孤児たちに、かりそめの衣食住と幸福な暮らしを与えたことは事実である。(高く売るために)子らが政府や海軍である程度役に立つよう教育などもされているはずだ。そう考えると、あながち「人間のクズ」とこき下ろすこともできない。

まぁ、ここから分かることは、100年以上前から「人身売買」は政府や海軍とズブズブで、海軍のトップが入れ替わってもその体質は現在も変わっていないということか。
センゴクがドフラミンゴにしていた様にただお目こぼしをするだけじゃなく、世界中を騙して祀り上げた「聖母」を隠れ蓑に、人材プラントを運営させていた当時の海軍の方が酷いかな。


新しい土地で平和に暮らしはじめた「羊の家」では、リンリンの6才の誕生日が祝われていた。


うず高く積み上げられた大好物のセムラ、大好きな仲間たちと大好きなマザーに祝福されて、リンリンは幸福すぎてただ夢中でセムラを食った。

そして・・・・

気がつくと、誰も居なくなった。

あぁ・・・決定的なことは描かれていないが、これはそういうことなんだろう。

あれだけ苦労して保護したリンリンを政府に売り渡す前に、カルメルが自ら姿を消す理由など無い。
この瞬間、カルメルは「居なくなってしまった」のだ。

世界中で話題になったはずの「聖母」カルメルのことを、ビッグ・マム以外誰一人知らない理由もこれで分かった。
カルメルの行方を確認できない以上、身柄を拘束することはもちろん口止めもできない。政府としては人身売買に関与していた証拠はすべて消し去るしかない。そうして、聖母カルメルの名は世界の歴史から抹消されたのだ。

リンリンの中では、今でもマザー・カルメルは世界の「聖母」「この世の光」。おおらかで心優しい慈愛の象徴なのだろう。そして「茶会」は、大好きな仲間とマザーに囲まれて、幼いリンリンが一番幸せだった瞬間。

それらすべてが一瞬で目の前から消えた忌むべき記憶が今蘇る。

さて、今回の過去編・・・
これは「回想」というよりも、(いつものことだが)完全に第三者目線で描かれている。両親に捨てられたことも、「食い患い」を起こしたことも、ヨルルを死に至らしめたことも、カルメルが孤児ブローカーだったことも、すべてリンリンが知らないことだ。どんなきっかけがあろうとも、ビッグ・マムがこれらを自分で思い出すことはあり得ない。

当時のことを記憶しているとしたら、オイモとカーシー、ハイルディンくらいだが、偶然この場に現れるはずもない。

これは、このシリーズの解決に、カルメルが「聖母」ではなかった事実は関係ないことを意味しているのではないだろうか。どうやって事態を収めるのか、全く予想がつかないが。


また、エルバフの火事を鎮める際にカルメルが使った技が、ビッグ・マムの「ソルソルの実」の能力に酷似しているようだが、これもまたリンリンは見ていないはず。
カルメルの死後、世界のどこかにあらたに実った「ソルソルの実」を偶然リンリンが食ったとしたら、それは並ならぬ「運命」と言えなくもないが、普通に考えればあり得ない。

では、…まだあんまりはっきり書きたくないんだが… 「能力者を食った」ら、その能力を受け継ぐことができる可能性についてはどうだろうか。
ティーチが白ひげの「グラグラの実」の能力を身につけた方法はまだ明らかになっていないが、その秘密に繋がる悪魔の実の仕組みが、これによって明かされるかもしれない。

余談だが:


前回登場したエルバフの少女ゲルズちゃん。ハイルディンと同じくらいの年頃だとすれば現在妙齢。ひょっとしたら先頃までバギーズデリバリーに所属していた、ハイルディンの3名の仲間のうちの一人として再登場、セクシーダイナマイツな肢体を晒してくれるのでは・・・と期待するのは・・・甘い?

追記:
ハイルディンの仲間は4名でした。全員で4名と勘違いしてました。(スマンす

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Comment

  1. カンザシ より:

    いつも楽しく拝見しています。
    悪魔の実の伝達ですが、私はカルメルの死と同時に近くの果物に憑依し、リンリンが気付かず食べてしまったと考えてますです。ちょうどパンクハザードのサラサラの実と同様に。
    リンリン自身最初の登場時に、過去に登場した人物ではワポルも人を食べているようですし、能力者ごと食べたら伝達するというのは設定として破綻してしまうのかなと。

    …能力の伝達ついでに思い出したのですが、そういえばバンダーデッケンのマトマトはどう受け継がれたんでしょうね?

  2. 奇林 より:

    どうしてもモリアがオーズを
    体内で操作してた画を連想してしまう(笑)
    さすがにそれはないか…

    それともガス弾撃たれたママが
    ゲロと一緒にカルメル吐き出すのか?

  3. 船員 より:

    ゲルズちゃん・・・
    お年頃だと思うので、再登場の際には私も色々と期待しています♡笑

  4. 匿名 より:

    回想と言うより、単なる過去の叙述でしょう?
    誰視点なんて意味ないでしょう。

    確かコラさんの時も、ローが知り得ないシーンなかったですかね?

    • BIE より:

      そうですね。ただ、客観視なのに目撃者が誰もいないというケースはめずらしいかも。
      ・・・いや、違うな。だから誰も観ていない瞬間のことは描かれていないんですね。

  5. あさのきしだ より:

    記事のオチの付け方が某ヤマカムさんみたいになってません?
    まあ、尾田っち先生の極端な画風による女形の巨人の超ダイナマイツボデーには興味しか無いですけれども、ええ

    >当時のことを記憶しているとしたら、オイモとカーシー、ハイルディンくらいだが

    その彼らにしても、聖母カルメルの正体が山姥カルメルであったことは知らないはずですよね。
    50年以上前に隠蔽されたとしたら、政府や海軍にも真相を覚えてる人がいるのかどうか。しかもカルメルの「いなくなった」くだりは、目撃者がマム自身を含めて皆無。
    とまあ、読者レベルで事態を把握してる「人」はいなさそうですが、今回エルバフの火災から生まれたパンドラ君と、37年前の茶番の「天の意思演出」に一役買っただろう雷雲の彼…パンドラ君は政府との密会にも、ライターとして同席してたみたいですが。
    今現在のマムの相方が、名前は違えど太陽と雷雲を引き連れてるのは、偶然なんでしょうか? 率直に聞いてみたら案外ふつうにうん見てたよとか言ったりして。

  6. けんと より:

    連投すみません。
    ローラと巨人族との政略結婚についてですが、マム=リンリンということが判明すれば、巨人族としては到底受け入れられるものではないですから、ローラの出奔がなくても破談になっていたでしょう。
    身代わりのシフォンが断られたのも、実際はそういう事情だったかもしれません。

  7. けんと より:

    カルメルの失踪の件は、もう永遠の謎でいいんじゃないかと思ってます(笑)
    まあ確かに真っ黒ではありますが、売り先が政府なら少なくとも天竜人の奴隷のような非人道的な扱いは受けないでしょうし、才覚と努力次第で立身出世も可能だろうし。
    奴隷商人よりはましなのかな、と・・・
    もしかしたら、これまで登場した海軍将校やCPの中に羊の家出身者がいたかもしれませんね。

    • BIE より:

      頂上戦争のときマリンフォードに巨人の海兵が数人いましたね。羊の家出身者ではないけど、カルメルの仲立ちですかね。
      ところで、ジョン・ジャイアントとジュン・ジャイアントって別人でしょうか・・・?

  8. 流星群 より:

    連投すいません。
    カルメルのモデル、きっとカルメル修道会のアビラの聖テレサでしょうね。修道院改革やら霊操なんてフレーズ出てくる、眉唾ものの聖人です。

  9. 流星群 より:

    妄想の範囲を超えないのですが、食べられたけどカラメルさんが何かしらの形で生きてる線ないかなぁと。

    『ダイの大冒険』のキルバーン。『冒険王ビィト』の天空王バロンとザンガみたいな。個人的には二角帽子のナポレオンが帽子で操作してるとか。

    60年は人が変わるには充分すぎる時間ですが、あの純粋すぎる幼少期を見ると操られてる方がしっくり来てるんですよね。

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