ヤマトが語りだすエースという男の話。
エースは、お玉のような子供が、満足に食えないばかりか攫われても何も出来ないワノ国の構造をなんとかするため、カイドウ打倒に鬼ヶ島へやってきた。
その暴れ方は、怒りに任せた無計画な行動としか思えなかったが、カイドウの実子ヤマトと理解し合えたことによって、将来にまるで希望がないわけではないと考えたのか、
「カイドウへの警告」を残して、あくまで再訪するつもりで島を去った。ま、その警告はカイドウにある程度の怒りを覚えさせはしたが、驚異と感じさせるほどの効果はなかったようだが。
ヤマトがこの話をモモの助にすることが需要なのは、目の前の「父の名を名乗る謎のオトコオンナ」が、実子でありながらカイドウに反目し続けていることと、かつてワノ国を救おうとカイドウに立ち向かった海賊が、おでんとも縁が深いロジャーの息子で、さらにルフィの義兄であるという運命を、モモの助に実感させることだ。
モモの助たちが不在の20年の間に世は移ろい、ワノ国にもカイドウとオロチの悪世が蔓延するだけではなく、抵抗する勢力が確かに存在し、その小さな芽が今目の前に結実してきている。
モモの助たちがルフィを連れて来たことは、単なる「助っ人」の域を遥かに超えた強くて深い運命に導かれた、まさに奇跡。
総大将であるモモの助が、この縁を、神風に後押しされた「今しかない好機」と捉えることは、今後の戦局に大きく影響するはずだ。
同じ頃、ウソ・ナミとともに一時撤退中のお玉もまた、デリカシーには欠けるが頼れるアニキであるルフィが、憧れのエースの義理の弟だったことを知る。
そして、決死の覚悟でやってきたお玉の「作戦」とやらに、ナミが乗る。
まぁ、きびだんごを使った、戦力の草の根調略だと思って間違いないだろう。SMILE能力者に効くことは実証済みだし、ウソップが一緒だからきびだんごの成功率はほぼ100%。問題があるとしたら、天然の「悪魔の実」能力者に効くかどうかが分からないことだが、天然の「悪魔の実」能力者は絶対数が少ないので、SMILE能力者を無効化・味方とできるだけでも戦局に与える影響は極めて大きい。
マルコは氷鬼の進行を抑え込み、ロビンとブルックを先へ進ませ、自らゾロを抱えて空を飛ぶ。
カイドウという身の丈を超えた強大な敵に無謀に挑もうとしたエースの思い出にホロリとしながら、果たせなかったエースとの約束「カイドウ討伐」への参戦に感慨深い様子。
これは当時まるで勝てる見込みがなかったエースとカイドウの戦いの延長ではない。
カイドウ軍にとっては「20年も前」の怨恨でしかなかろうが、モモの助にとってはわずか数週間前のリアルタイムの現実。その「今」の感情を中心に、ルフィの求心力が5千人の侍の失われた魂にふたたび火をつけた。
赤鞘とモモの助を始末すればそれで終わりと考えるキングやクイーンは、この討ち入りをあくまで過去の事件の顛末としか見ていないが、マルコが言うように、ルフィを中心に巻き起こった新しい「縁」新しい「感情」新しい「ムーブメント」であり、過去しか見ていない者と、先を見て未来を拓く者の戦いなのだ。
ただ…マルコはそろそろリタイアかもな。
クイーンに撃たれても不死鳥だから無事に見えてるが、これ、ただの弾じゃないだろ…。
さて、いよいよ本題。
本編ではたったひとコマの扱いだが、今回もっとも重要な情報は…といえば、
コレだ。
ロックス壊滅時にリンリンから譲り受けたそうで、ママがそのことを「一生の恩」といっていることからも、よほど強力でレアな悪魔の実であることが想像できる。
カイドウの「龍」の姿は、かねてからの予想通り「リュウリュウの実」ではなかったのだ。
まだ詳細が不明だが、鯉が龍門を登りきったら竜になるという「登竜門」的なアレなんだろうな。
では、モデル:カープなのかというと、それはちょっと単純にそうではなさそうだ。
コイキングじゃあるまいし、ただの鯉が、いかに能力を覚醒させようとも、龍の能力に進化するとは考えにくい。
また、ロックスでカイドウとリンリンがどんな関係性だったか分からないが、いかに信頼できる姐御からもらったとはいえ、カイドウが「鯉」ごときの悪魔の実を素直に受け入れるとは思えない。実はママが手渡した時点ですでに「幻獣種」龍の能力であることが確定していたと考えて間違いないだろう。
ウオウオの実(幻獣種)モデル:カープではない。何故なら鯉は幻獣ではないからだ。
カイドウが食べた悪魔の実は、最初から「龍」の実だった。実在しない「龍」を何の生物に分類するか頭を悩ませたオダッチが、鯉が進化(神化)して龍になるという伝説を踏まえて、苦悩の末に魚に分類したのだろう。
ウオウオの実(幻獣種)モデル:オリエンタルドラゴンとでもいうところだろうか。
ところで、懸命なワンピ読者諸氏はお気付きだと思うが、「ウオウオの実」は初登場である。
言うまでもなく、悪魔の実の能力者の弱点は「海」であり「水」だ。
魚類の特性を活かせるはずのホームグラウンド:海中で力が入らなくなるのでは、悪魔の実を食べる恩恵と比してデメリットが大きすぎる。
売れば1億ベリーはくだらない海の秘宝「悪魔の実」とは、そもそも何なのか。どうやって生まれたのかは作中で明かされていないながら、おそらく作品終盤では明らかになるだろうと僕は思っているんだが、悪魔の実が、例えば仮面ライダーWのガイアメモリのように、森羅万象を記録した星の記憶のようなものだとしたら、魚類の実だって存在しないハズはない。
ルッチは「十中八九弱くはならないし、カナヅチに不自由もない」と言っていたが、ウオウオの実は果たしてどうだろうか
そう考えると、これまで聞いたこともなかった「ウオウオの実」は伝説級とか、激レアとかいうことではなく、普通に流通しているが、リスクを回避する観点から自ら進んで食べる者がほぼいないのではないか。
また、実際に食べた者の多くは、その能力の真価を発揮することがないまま早世するか、ひと山いくらのザコ海賊に埋没してしまうなどして「ウオウオの実」はその実態すら不明の幻の悪魔の実と化しているのだと想像してみた。
いや実はね、魚とか貝とか水棲生物の能力が登場する場合、それは海を弱点としない「悪魔の実」の完全上位互換の能力者たちで、彼らを束ねる首領が「海」そのもののの能力者…なんて、車田漫画みたいな展開を妄想したこともあったもんで…。
「ウオウオの実」ねぇ・・・意外性はあったね。
ドーム屋上では赤鞘九人男を倒しひと息つくカイドウと、談笑するビッグ・マム。
いよいよ「ひとつなぎの大秘宝」攻略が現実的となって、そのための手段の話が具体的にこぼれ出る。歴史の本文の解読だ。古代文字を読めるという三ツ目族の血を引くプリンの開眼を、もう待っている場合ではない。
世界が危険視し追い求め続けた、オハラ唯一の生き残りニコ・ロビンの奪い合いが始まる予感。
・・・これはひょっとして・・・
ロビンの、一味からの離脱があるかも。(死亡もあるかも・・・
っていうのは以前、あまりにも僕の妄想がヒドいと、誰一人として共感してもらえなかった「麦わらの一味最後の仲間はビビ説」が実現するためには、ロビンの離脱が必要条件になってたから。
ロビンが攫われて絶命、もしくは自ら命を絶つってことも・・・ 今ならプリンが開眼してもこっちに味方してくれそうだし、モモの助が光月家代々の古代文字を操るスキルを習得する可能性もゼロではないし・・・。
別にそう望んでいるわけじゃないぞ。そういう可能性もあるかも・・・って話。