ONEPIECE 1050「誉れ」
神の力を借りた渾身を超える凄絶な物理パンチと、最後の問答に対するルフィの純粋すぎる想念カウンターを喰らい、カイドウは地面に叩きつけられ、岩盤を穿きマグマ溜まりにまで墜ちてゆく。
途中で意識を失ったのか、または穴に海水が流れ込んだためか変身は解け、四皇カイドウの威勢のビジュアル的象徴であり「鬼」のアイコンでもある「角」も片方が折れ、さらなる反抗の気概は認められない。カイドウは敗北したのである。
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ルフィとカイドウの超常の頂上決戦の顛末は、ヤマトを介して鬼ヶ島の城内に伝えられ、一部カイドウの部下たちが数の優位にまかせて抵抗を試みるも、ヤマトが一喝してこれも事なきを得た。
化物級のふたりの巨悪は落ち、諸悪の根元オロチは(たぶん)死に、花の都壊滅の危機も回避した。
一部手痛い損失もあったものの、戦いとは互いにそういう犠牲を伴うものだ。完全に近い勝利と言っていいだろう。
しかし花の都をはじめ、ワノ国全土津々浦々の民はまだこのことを知らない。
一年にたった一日だけ「飲めや唄え」が許される火祭りで存分に羽目を外し、裏付けのない願いを天に飛ばして、新しい地獄の一年への向き合い方を必死で慰めていた都の民に、今こそすべてを語るとき。
明日からはじまるはずだった地獄はもうやって来ないのだ。解放の吉報が国民にとってなにより嬉しい最良のタイミングだ。
オロチもカイドウももういない。
最後に都の危機を救った巨大な龍は、国民皆が待ち望んだ光月家の跡取り。
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どうやらスポークスマンは傳ジロー。
オロチの信頼厚かった狂死郎親分が「新たな将軍」を連れてくるって、嫌な予感しかしないと思うんだが、この人、市井でもそこそこ人望があるのだろうか。
おでんの直臣として筆頭の錦えもんが重症だからというのもあるが、20年前に死んだとされている男が突然話しはじめるよりは、旧体制で顔をよく知られている者から説明するほうが混乱がなくていいということだろう。日和が発言するときにフォローもできるしな。
とにかく言いたいことは…
悪夢は去った。光月家は帰還した。
カイドウと同じ力を持つ若き光月のサムライが新しい将軍に。
光月家の再興とワノ国の復興を滞りなく行うためには、民の理解と協力が必要だ。
28歳となった「見た目は大人・頭脳は子供」のモモの助は、いったいどんな姿をしているのか。しのぶの反応を見た感じでなんとなく予想はつくけど・・・乞うご期待
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ところで、
決戦のさなか突然現れた象主は、モモの助と共に戦うために来たと言った。
此度のワノ国を解放して開放する戦いには、結局たいした役割を与えられず、読者にルフィがジョイボーイとなったことを確信させる証言者としてのみ存在したが、ただ歩くことだけを許されているはずの象主が、その行き先は自分の意志で決められることが分かったのは大きな発見だ。
モモの助はおでんの航海日誌からいくつかの情報を得た。すべてを読んだかどうかは不明だし、これから起こる「世界を分かつ大戦」について何が書かれていたのかも不明だが、「開国はする、しかしそれは今ではない」と8歳の頭で判断できるだけの「ナニカ」を得たということだ。
その判断を尊重し、殉じるとまで言った象主。それは契約や義務としてモモの助に従っているというよりは、象主の意思としてモモの助への信頼または恭順を表明したものと感じた。
だが、モモの助はつい先程「ワノ国の人々が危険に晒されるなら開国などしたくない」と泣き言を言ったばかりだ。
開国の先送りが、モモの助がビビって日和ったのではないことを強く望む。
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トノ康こと霜月康イエの功績。
康イエは、おでん不在の間に乗っ取られたワノ国の旧幕府で唯ひとり生き残った大名だった。
他の大名三人は揃って岩牢に囚われ、ヤマトとの邂逅ののち岩牢を壊ってそのまま討ち死にしたと思われる。康イエがひとり別行動だった経緯は分からないが、その無念は他人には計り知れない。
名を変えてタイコモチとして生きていたのは、決して命を惜しんで生き恥をさらしていたのではなく、生き残ってしまったことに対する贖罪だったのではないだろうか。
オロチの悪政とカイドウの脅威にもはや抗うすべもなく、貧しさとSMILEの副作用に苦しむ人々を少しでも楽にしてやれるのは、同じ目線の民草であり、大名の肩書きはなんの役にも立たないばかりか、逆に足枷にすらなった。
戦災孤児を引き取ったことで、「生」への執着もわずかながら芽生えたかもしれない。有事の身動きはさらに制限されることになったが、それまで以上に庶民の気持ちに寄り添うことができたはずだ。
そしておでんの死から20年、トキの残した言葉の通りに光月家が戻ってきた。この最大にして一度きりの機会を何が何でも成功させなければならない。
ところが、その重要な作戦が漏洩し瓦解せんとしている。捨て損なった命の使い場所は今ここしかない。康イエは漏洩した情報を自分のイタズラだったと宣言し、そんな戯れ言に惑わされるオロチを臆病者とこきおろした。
人々が言いたくても言えなかった言葉を代弁し、自らの死をもって、このままオロチをのさばらしてはいけないという気持ちを再確認させ、国中の人々の心をひとつにした。
それをトコに説く飛徹は、康イエの成した功績が結実した輝かしい成果をまだ知らない。
国中が康イエの栄誉を讃えることになるのだが、トコのような子供たちが笑って暮らせる未来のために命をかけたことを、かわいい我が子が受け入れて感謝してくれたことに勝る「誉れ」は無いのかもしれない。
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余談だが…
マグマ溜まりでカイドウの横に見えてるカタマリって、ビッグ・マムなの?
この状況でマグマが活発化しても、海底火山より先にふたりが落ちた穴からマグマが吹き出すと思うけどね…
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あと、えっと… 象主さん? あんたの足もとに沢山いたはずの政府軍の艦隊、どうした?