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我思う故に・・・新館

ONEPIECE 1060「ルフィの夢」

 




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新しい旅立ちも海路は安定しているものの、麦わらの一味は新聞の記事に驚きを隠せなかった。
新聞にはおそらく前々回一味が一喜一憂していた手配書などが折り込まれていたはずで、ナミでさえ新聞の一面記事より手配書を気にせずにいられないのだから、因果なものだ。


くだんの新聞記事とはもちろん、世間を騒がせた「アラバスタのコブラ王がサボに殺害され、王女ビビも消息不明」という記事だ。

サボがそんなことするワケねェ!
ビビにいったい何があった!?心配だ!かわいそう…
コブラはいい国王だったのに…

特にアラバスタの戦いを経験したメンバーの動揺が大きく、トチ狂って行き先を変更しようとするルフィを厳しく諌めるゾロでさえ、努めて冷静でいようとしているように見える。


打ち粉で刀の手入れ…ゾロにはあまり似つかわしくない光景だ。日本刀の、とりわけ鑑賞用ではなく人を斬る実用品の刀には必要な手入れらしいので、ゾロも定期的にやってるはずだが、酒のんで寝たり無心に筋トレするのではなく、繊細な作業に集中することで「おれぐらいは冷静でいなければ…」という気概を感じる。

おれたちの知ってるビビは強い。だいいち今動いたところで何もできない。
という身も蓋もない正論で、皆心を落ち着けるよりなかった。


そこで、ビビへの心配をひとまず落ち着かせたルフィは、かつてエースと三人で誓った夢への道を、サボが踏み外すはずがない…と昔を思い出し、そのとき自分が思い描いた「夢の果て」を今はじめて一味の前で口に出す。


それは「そんなことできるわけがない」と思うようなことで、笑ってしまうような突飛な発想で、ロビンは思わず言葉を失い、チョッパーは感涙に咽んだ。


誰ひとり馬鹿にする者はいない。ネガティブに尻込みするウソップを除いては否定的な者もいない。
一味に入ったからには一蓮托生。どれだけ無理っぽくても、無謀でも、夢とロマンに溢れたこれぞ「冒険」というものこそが、ルフィの「夢の果て」なのだろう。

かつてその「夢の果て」を話したのはエースとサボとシャンクスだけ。
3人とも笑い、シャンクスに限っては涙を流して笑ったという。
もちろんシャンクスが涙を流したのは、ただ可笑しかったからではあるまい。
それこそ、ロジャーと同じことを語ったに違いないのだ。

かつてシャボンディ諸島でルフィが口にした「支配なんかしねェ。この海で一番自由な奴が海賊王だ。」を、第0巻収録の第0話でロジャーに同じことをよりカッコよく語らせ、シャンクスが未来を託すに値するとルフィに感じたのはコレだ!と読者をミスリードしたバカでかいフェイクも今は昔。


しかし今思えば、レイリーはシャンクスから事前に「決定的」なロジャーとの相似を聞いていたからこそ、シャボンディでのあの言葉にルフィに対するある種の確信を得たのだろう。
作品に深みを持たせるための、オダッチの多重の仕掛けに恐れ入る。

ルフィの(そしておそらくロジャーの)「夢の果て」は、もう最終盤のいいところまで明かされることはないだろう。
他人事ではない。大変な作品を好きになってしまったからには、もうとことんまで付き合うしかないのだ。


ちなみにロビンが含みをもたせた、新聞に載っていたルフィに関わりある話とは・・・
まぁ、ハンコックとか、黒ひげとか、コビーとか、その辺の話だろうな。
ヤバかったら教えろといわれて、にっこりスルーしたロビンは相変わらずクレバーだわ。コビーが黒ひげに攫われたってのは十分ヤベーと思うけど、伝えないのはロビンの優しさなのかな…かな?

さてその頃、カマバッカ王国の革命軍本部には、サボから緊急の通信が入っていた。
妨害念波を出す白電伝虫を使用しない通常の通話だというので、やっとのことで通信できる状況を作ることができ、加えて念入りな機密通信を準備する時間を惜しむほど火急の要件ということだ。

通常通信はいとも簡単に海軍に傍受され、サボが通信を発信している場所も特定された。
当然受診側のカマバッカ王国も特定されたはずだが、とくに言及されないということは、革命軍の本部がカマバッカ王国にあることはすでに海軍の知るところと考えていいのかもしれない。

サボが大至急伝えたかったこと。
それは、まず報道にあったコブラ王殺害の犯人が自分ではないこと。そして、もっとも大事なことは世界政府の頂点と思われた五老星をも従える、さらに上位の存在が居るということだ。

なぜもっとも大事な話を先にしなかったか…は、まず無実であることを伝えなければ仲間の不信と不安は拭えないし、なによりドラゴンが聞く耳を持たないことを危惧したのかもしれない。

この話の意味するところは、革命軍がイム様の存在を認識していなかったということ。
革命軍は五老星を打ち倒すことで政権の打破が叶うと考えていたのだろう。
五老星は天竜人のトップ5、すなわち知識と権力は持っていても所詮は人間だ。
今になってイム様の存在を知ったとて、それが同様に人間であったなら打ち倒す相手がひとり増える程度の話だったが、おそらくサボは知ってしまったのだ。
イム様が人間をはるかに凌駕する上位の生き物であることを。(ま、見るからにイム様って人間らしくないけど、そんな人間もいっぱい登場したからシルエットだけで判断は難しい)


だが、サボの決死の通信は最後まで伝わることはなかった。

サボの通信の発信元として探知されたルルシア王国が突如「消滅」したからだ。

ルルシア王国とは、革命軍の四軍団長が揃って解放させた国で、ミルク売りのモーダが暮らす国。
先の「8か国革命」の一角だそうなので、もしかすると発端となった地かもしれず、此度の革命が怒りに触れたのか、それとも単なる気まぐれか、イム様の下知によって「消滅」させられたらしい。


それは、例えるなら「ラピュタの雷」

天空に現れた巨大な「何物か」から、光学兵器(もしくは物理兵器)の絨毯爆撃規模の一斉射を受けて、ルルシア王国は一瞬にして島ごと潰滅した。

かつてバスターコールを受けたオハラは地図から姿を消したが、禁じられた研究=犯罪を犯したために粛清されたとして歴史に残っている。
しかしロックス海賊団が壊滅したゴッドバレーは、島の存在自体が歴史から葬られた。
今回のルルシア王国も、ゴッドバレーと同様に「そんな国もともと存在しなかった」という幕引きを行うつもりらしい。

恐ろしいことだ。
ルルシア王国は世界会議にも参加する世界政府加盟の王国だった。その支配体系は革命軍に後押しされた民衆によって倒されたが王族たちも存命だというのに、王族を復権させたり治安維持軍を投入することもなく、五老星はこれを見捨てたのだ。
いや、ただ見捨てたのではなく、自分たちに都合の悪いことを「消去」したのだ。人の所業ではない。

この驚異的な威力の攻撃が、古代兵器ではないかと一部ネットで噂されている。その可能性はあると思う。
プルトンは複数存在するかもと云われているとはいえ、あくまで「船」のはず。
エネルがマクシムを飛ばしたので「船だから飛ばない」と言い切れないのがモヤるが、これはプルトンではなくウラヌスではないかというのが噂の大多数だな。
古代兵器のひとつが敵の手にあると、暗に示唆しているのだ。これは手強い。


そして、サボの安否やいかに。
通信の発信元がルルシア王国だったからといって、サボがそこにいたとは限らない。
途中に中継するハブ電伝虫を数匹挟むことだってできるだろうし、それっぽい雑音も入っている。


ルルシアの民が真上を見上げている中、サボはやや斜め上に驚いているように見えなくもない。

まぁ、物語の展開上も、サボがこのまま退場することはあるまいよ。
心配するな。サボは死んでない。


さて、それから数日後、麦わらの一味の航海は次の島に近づきつつあるらしい。


海上に盛り上がった異常に巨大な「暖水渦」の中に誰かいる。ゾロが渦を切断すると…
出てきたのはボニー。

起きたな。麦わらの一味が積極的に関わることになるであろう事件が。最終章のはじまりが。

どこまで関わっているかは不明だが、ボニーはマリージョアに確かにいたのだ。必ず何かを知っている。
僕は、ボニーはバーソロミュー・くまと一緒にいると考えていた。今は一時的に革命軍に身をおいているのではないかと。
しかしそうでなかったのだとしたら、マリージョアでサボだけが残ったときに、サボの後を追った可能性もあるな。いろいろと捗るわ。

さて、ここで多くの読者が気になった点は、ボニーの姿だろう。


少女だな。

ご存知の通り、ボニーは悪魔の実の能力で「年齢」を自由に操ることができる。
しかし、今ボニーがいるのは海水の中。能力が使えないなら、この姿がボニーの本当の姿なんじゃねェの? とな。

いやいや、うん。まぁまぁ… 早合点しちゃイカンよ。

こちらの記事にも書いているように、能力者は海中では満足に動けないが能力の特性を失うわけではない。たとえば地上で能力の作用で作り出したものは、海中に入れても失われないのだ。

ボニーの能力の詳細がはっきりしないので判断が難しいのだが、年齢を変化させることに常に能力を使い続けなければならないのであれば、海に落ちた時点で年齢の変化は解けるだろう。
しかしそうではないなら、海の中で年齢変化が解けることはない代わりに本来の姿に戻ることもできない可能性も考えられる。

年齢変化した姿をし続けるためにエネルギー消費が激しく、そのために「大食らい」なのだという説が正しければ、この少女の姿が正体なのかもな。

現状では24歳のよく見る姿、少女、幼女、婆ァと、どれが本当の姿でもおかしくないが、ボニーはルフィが名を轟かせることに反感も嫉妬心もなかったので、これをきっかけにいい関係を築けるといいな。

これで、2年前の超新星11人で、ルフィたちと共闘したり敵対したりしていないのは、あとはウルージだけになるな。

破戒僧ってのは…面白そうなんだけど…
使いにくそうなキャラだから、もう…いいけど?オダッチ…。

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Comment

  1. 匿名 より:

    ウラヌスの恐ろしさが見てとれましたが、これエネルの「万雷」をより一極集中させてパワーアップさせた物じゃないか説もあるんですよね。
    ぶっちゃけこの最終章に来てまでエネルの姿形もないので、関わってくるならまさにウラヌス絡みかかつて月に存在した超文明が関わってくるかなんですが・・・

  2. 匿名 より:

    サボが見上げる1コマ前の女の子の「パパこわい」が、淡々としてる分余計に悲しすぎる・・・(;;)
    歳取ったせいか、物語とはいえ子供が苦しんだり不幸になるシーンが辛くてかなわんです。
    ローの妹とか最悪だったなぁ…

  3. 匿名 より:

    主人公に先んじて四皇の最高幹部を倒した、というだけで結構なインパクトだったんですがウル―ジさん、それっきり音沙汰ありませんね…。
    まあ死んではいないと思いますが。

    ルフィの夢の果ては、やっぱり自分が海賊王になることで大海賊時代に幕引きをする事なのだろうか。
    考えて見るとティーチの「人の夢は終わらねえ」発言と対になってる気がしますい。

  4. おざ より:

    ほんとウルージさんは出てきませんね(笑)
    ベッジも活躍したし泥のカリブーでさえまだ登場してるというのに。
    最悪の世代の中で忘れ去られた存在ですね。

    出すタイミング逸してしまったのか・・
    キャプテン翼の森崎くん並に・・(結婚式に描かれていないあたりが)

  5. 匿名 より:

    サボは自然系の能力者だからあの攻撃を食らって死ぬことはないでしょうね。ただし、足場も無くなったら海に溺れるかもしれませんが。
    それにしても、世界政府が揉み消したかった事件って一体何なんでしょうね。コブラ殺害の話だったらサボへの濡れ衣を更にもみ消そうとしたことになるし…。

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