ONEPIECE 1069「万物は望まれて、この世に生まれる」
周囲の制止も聞かず、ルフィ vs.ルッチの戦いがはじまった。
ジンベエも、CP0のカクやステューシーも、四皇と政府が事を構えることで及ぼす影響を危惧しているが、本人たちはどこ吹く風。
ギア5th ニカの化身であるルフィと覚醒した豹の能力者ルッチが暴れはじめたら、もう誰にも止めることはできない。
「“四皇”ともなれば傘下がつきもの」とステューシーは云うが、この諍いが波及する範囲はそれだけでは済まない。それはルフィの志に同調する麦わら大船団傘下の海賊5600人はもちろんのこと、その行いに賛同もしくは触発された王国や組織、企業や資産家、ひいては普段から権力に不満を持つ腹いせにニワカにオラつく馬鹿ガキまで、軽く数万を超える勢いとなりかねない。
類まれなる現場実行能力を持つCP0が躊躇するのはそういう訳だ。
ちなみにカクは「“上”の許可が必要」と云っているが、その“上”とは当然世界政府であり五老星のこと。ステューシーが「海軍に報告を」と云っているのは、面倒なことになったから世界各地の広範囲での対処は海軍でよろしく、という意味だろう。
海軍元帥サカズキは、ガキども(CP0)が無断で事を荒立てたことに立腹しているようだが、権力構造はそうなっていないという現実を示している。
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そんな中、ベガパンク最後の良心「正シャカ」は動物系の覚醒で自我を保つという異例の進化を見せるルッチに興味を持ち、ベガパンク本体はルフィに興味を寄せた。
動物系の覚醒者が人格を取り込まれるというのは、既知の描写から予想できたことで、僕も何回か書いていた。またいずれ別項でまとめたいと思うが、簡単に云うと、動物系悪魔の実にはもともと生命が宿っているため、覚醒するとその自我が強く全面に出てくる。というものだ。
それを自らの強い意思で封じ込め、能力だけを引き出したルッチの精神力は尋常ではない。
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一方、ベガパンク本体がルフィに惹かれたのは、そもそも「ゴムゴムの実」なる悪魔の実は存在せず、その覚醒者であるルフィの姿が古い文献に遺された「太陽の神ニカ」の姿に似ていたからだ。
ベガパンクはルフィがこの姿になることをすでに知っていたらしいな。
「太陽の神ニカ」は歴史から消された神。それを象った悪魔の実に別の名がつけられたことも、せめてもの慰めに…とその名を囚人に語った看守が消されたことも、その存在が世界政府にとっていかに都合が悪いか、ベガパンクでなくとも容易に想像がつくだろう。
だが、たとえ情報を抹消しても、人の記憶は簡単に消し去ることはできない。人は苦しいときほど、現実にそこにはいない神仏や伝説にすがろうとするものだ。「ニカ」の名はそうして細々と語り継がれてきたのだ。
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万物は望まれてこの世に生まれる。
「悪魔の実」とは、誰かが望んだ「人の進化の可能性」。
「能力者」とは、誰かが思い描いた、いくつもの異次元を生きる者たち。
これはベガパンクが打ち立てた仮説でしかないが、かなり真理に迫っていると思われる。
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「悪魔の実」は、人々が「あんなこといいな、できたらいいな」と望んだ想像の具現化。
すなわち、現状に納得せずさらなる向上を求める上昇思考や、苦境・逆境から逃れたい必死の渇望が生み出した「可能性」。
今この時代に歴史から抹消した「ニカ」が顕現するのは、今この世界に苦しむ人々がそれだけ多く、失われた神にもすがろうとする人が出てきた証左といっていい。
人々がニカによる救済を望めば望むほど、ルフィの力は増幅されるのかもしれない。
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少し余談になるが
「悪魔の実」が、仮面ライダーWの「ガイアメモリ」のように、森羅万象を網羅する星の記憶だとしたら、その情報を身に宿すことで能力者となることは理解できる。
では「幻獣種」はどうか。
「幻獣種」のそれぞれモチーフとなった生き物は現実には歴史上実在したことはないため、星の記憶には生物としてではなく、あくまで「伝承」として記録されるはずだ。
その伝説の生物の生態や能力は、星に生命が誕生してから今日までの歴史の中で、人々が思い描いた空想であり理想であり、願望だ。
空を飛ぶ、火を吐く、巨大化する、伸びる… etc.
現実にはありえないことも「幻獣種」には起こりうる。なぜならそれは、人々の願望がリソースだからだ。不可能なことは何もない。
つまり、人々が無敵の救済神を空想すれば、それが現実化する可能性。それが顕現したのがニカなのだ。
ニカならこの世界を救ってくれる、絶望的に強いこの悪者もニカなら倒してくれる、と人々が思い描いたなら、その通りの実力を発揮できるのが「神」の名を持つ能力者の真価といえるだろう。
ま、あくまでベガパンクの仮説に基づく推察でしかないのだが。
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〜閑話休題〜
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さて、
ベガパンクは、CP0の迎撃にセラフィム三体を出撃させ、その指揮を戦桃丸に任せた。
戦桃丸は現在海軍に所属しているので、本来の道理ではCPが味方で海賊は討伐するべき敵だが、ベガパンク個人への恩義に逆らえない戦桃丸はCP0を迎え撃つ。
また、セラフィムをはじめとするパシフィスタが命令を聞く「威権順位」が明確に設定されているらしく、現状この場ではCP0よりもベガパンクや戦桃丸の命令が優先されるため、くま天使までもがCP0に攻撃をはじめた。
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四面楚歌の状況の中、ならば… とルッチが起こした行動は
戦桃丸の抹殺。
戦桃丸がいなくなれば、セラフィムたちは4体ともCP0の命令を聞く。スピーカー越しのベガパンクの命令は無効だからだ。
たぶん死んでないと思うけど、なにはともあれ形勢は逆転。
瀕死の戦桃丸か「暴アトラス」が命令しない限りこの場の勢力図は変わらないだろう。
戦桃丸は武装色使えたはずだが、不意を付かれたのか、それとも覚醒能力者はそれほど強いのか。
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ところで、
命令に忠実で終始無言のセラフィムたちだが、
ハンコック天使(S-スネーク)の「・・・」が気になる。何か自らの意思があるかのようだ。
まさかとは思うが、ハンコック天使までもが「ルフィLOVE」ってことはないよな。
ハンコック(本人)がルフィを愛するようになって以後の生体情報でクローンが造られたとは考えにくいし、いつの生体情報をもとに造られたとしても本体の現在のメンタルに影響されるのであれば、ジンベエ天使(S-シャーク)もその限りではないだろうからな。
ただ、この「・・・」が、戦桃丸離脱で圧倒的不利となったこの戦況を打開する布石になりそうな気がしてやまない。
セラフィムの反乱とかも、あるかもしれないな・・・。
Comment
セラフィムは、スターウォーズのクローンのように「オーダー66(裏切りの裏コード)」とかが組み込まれてそうです。
もう戦いが始まってしまいましたね。。
ルフィはニカで笑顔だけどルッチさん覚醒以前に気性が荒すぎでしょ(笑)
黒髭以上に悪者の地位が確立されてますね。
でも戦いに戦桃丸さんが絡むとルフィも黙ってはいられませんね。
敵とは言ったもののルフィが嫌っている人物ではないので。
でも完全に不意打ちでしょ、!?がつく位だから武装色してないと思います。
戦いの最中に戦桃丸のおじき来ますかね。
セラフィムの面々ですが元の人間が麦わらの一味と敵対していないので何かルッチさんの言うこと聞かないかも。
特にハンコック天使には予想外の動きをしてほしい♪
動物系の覚醒を精神力で抑えつけてるから人格に少しは影響してるのかもしれませんね >ルッチ。
オジキ(黄猿)はもともと何する予定でこっちへ向かっているのやら・・・