ONEPIECE 1114「イカロスの翼」
この世界は、海に沈む。
ベガパンクの告発に世界は大混乱。
その後の影響を心配する者、まるで信じない者、その未来を面白がる者・・・。
その発言を裏付けるように、続けてベガパンクが語ったのは
ちょうど事件当日に起きた世界規模の地震に関する予言だった。
その地震は「自然災害」とは言い切れない現象であるという・・・。
うん、まぁ・・・
世界中の人はベガパンクが本当に死んだかどうか確かめる術はないわけだし、すでに起きた地震を「予見していた」という録画を “今” 見せられているに過ぎないので、疑うことはいくらでもできる。
実際「預言者」を名乗る詐欺師の王道手段と同じなのだが、世界中の人々がそう思わないのは、これまでに成されたベガパンクの功績や栄誉がその言を信じさせているのだろう。
同じことをルフィやバギーが語ったところで世界中の人は信じない。
これは元気玉に協力してくれと悟空やベジータが云ってもほぼ誰も信じないが、サタンが云うなら信じようと思った一般市民の感情と同じものだ。
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ベガパンクが犯したふたつの罪
ひとつめは、平和を望み世界を大きく未来へ進めたいと強く願ったあまりに「太陽」に近づきすぎてしまったこと。
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そしてふたつめは、空白の100年の謎を読み解くために“歴史の本文ポーネグリフ”の解読に手を染めたこと、だった。
ふたつめはこの世界において一応は「公然の罪」であり、何がどう罪なのかを語るまでもないためひとまず置く。ただ、それによって知り得た情報をこれからベガパンクが話すので、いろいろと深く掘り下げる必要はあるだろう。
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「ひとつめ」について、ちょっと考えてみようか。
無尽蔵に湧いては尽きないアイデアを現実のものとし、次々と世界に送り出すベガパンクが目指す至上の願い(のひとつ)は、エネルギーが恒久無償化した社会。
低コスト・低リスク・高パフォーマンス、それでいて安定的かつ画期的なエネルギー資源こそが「マザーフレイム」であるならば、世界のエネルギー問題を解決できると考えた。
融合炉パワープラントに記された「A & Mu」が「アトム」のアナグラムと考えれば、その「永遠」のエネルギーとはいわゆる「核融合」もしくはそれに近しいものだろう。
太陽が燃えているのは“燃焼”ではなく“核融合”だ。
すなわち太陽を模することでエネルギー問題を解決に近づけることを考案したのだろう。月へ到達する科学技術が存在するワンピ世界で、ベガパンクが天文学や宇宙科学で遅れを取るはずもないからな。
だが、世界紛争の大きな火種をひとつ無くすためのマザーフレイムが生み出す膨大なエネルギーを、五老星は軍事に転用することを考えた。
ずっと存在はしていたものの動かすことができなかった「古代兵器」を動かせる「代用動力」として転用された可能性は極めて高く、その某がルルシア王国を消し去ったことはもはや疑いようがない。
世界を恐怖に陥れる可能性を孕んだそれを生み出し政府に引き渡してしまったことが、ベガパンクのひとつめの大きな罪なのだろう。
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気になるのは、
ヨークを味方に確保しパンクレコーズが残されている状況ならば、二号・三号炉と増産できそうなものなのに、現存する融合炉を五老星が最優先で確保しようとしている点だ。
それぞれ個性はあろうとも、同じベガパンクでありながら、すでに作ったものを再生産できないのは、ウランやプルトニウムに比類するコア燃料が確保できていないということなのか、それとも融合炉を傷つけると大爆発を起こすなどしてパンクレコーズも失われてしまうことを危惧しているのか。
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今回のサブタイトル「イカロスの翼」とは、云うまでもなくギリシア神話のイカロスの寓話に由来する。
蜜蝋で固めた翼を使って空高く飛び上がり、しかし太陽に近づきすぎたことで蝋が溶けて墜落した、という話だな。
昔、NHKの「みんなのうた」で流れていた「勇気一つを友にして」という歌を思い出す人は・・・僕も含めて、まぁかなりの年齢だと思うが、うるせぇ放っとけ。
この歌は、人の傲慢さを諫めると同時に、まだ見ぬものに憧れるロマンや希望、また向上心が、のちの人々にも受け継がれてゆく、という示唆を与えてくれた。
ベガパンクもまた未来を創る科学者として、常識的なリスクを恐れていては科学の発展は望めない、と考えていたが、それを一部後悔していると考えられるのが「私は太陽に近づきすぎてしまった」という言葉だ。
政府のもとで造るべきものではなかった。とはいえ政府のバックアップがなければ実現することもできなかっただろうし、たとえ他所で開発したとて政府に奪われれば同じこと。それだけの危険性を含んでいるのだ。
自分が生きている間ならば、それに抗う新たな発明をすることも不可能ではないし、いたずらに世界を混乱に巻き込むこともない。しかし、ベガパンク亡き後にこの恐ろしき核兵器(のようなもの)が残されればどんな勢力も武力で抗うことはできない。
だからそれを今世界に伝えるのだ。
これから世界がどうなる危険性を孕んでいるのかを。
逃げるのか、戦うのか、ただ怯えるのか、それは各々が判断すべきことだが、公表することでただ巻き込まれるだけの人を少しでも減らすことができれば。そう考えてのことだろう。
それを何の予備知識もない一般人たちに理解させるには、大昔の起点からの説明が必要だ。
世界が現在どういった経緯を経て今のカタチになっているのか。それは造形のみならず、法や社会制度または文化・文明にも至って。
話はいよいよ「空白の100年」に触れる。
その物語の主人公は
900年前にあるまじき高度な文明を持つ王国に生まれ、伸縮する体で戦ったという男。
彼の名は「ジョイボーイ」
この海で初めて「海賊」と呼ばれた男だ!!!
来たね。
歴史のミッシングリンクを想像で埋めるのではなく、判明した事実のみを語ると云っているので、ニカの詳細にまでは至らないだろう。
だが、ジョイボーイが空白の100年において、何と戦い、誰と何をしたのかは幾分か判るはずだ。
ポセイドン=人魚姫との関係は?
象主ズニーシャとの関係は?
巨神兵との関係は?
リリィとの関係は?
そしていよいよ「D」とは何かが明らかに・・・なる!?
次回が気になってしかたがないが、
次週は休載らしいので、ずっと滞っている扉絵特集なんかを更新しようかしら・・・。
Comment
史実のバッカニアがカリブの海賊の前身なことを考えると、初の海賊ジョイボーイはバッカニア族でほぼ確定ですかね?罪は海賊という概念を生み出したこと?マリージョアにあったデカい麦わら帽子は彼のもの?いや〜ワクワクします
なぜあの巨大麦わら帽子が保存されているのかも気になります。
当時のイム様はどういう存在だったんでしょうね
(・・・というのは、当時から生きてる前提ですが・・・)