ジョジョの奇妙な冒険 第四部 #33「7月15日(木) その3」
コミックス 43巻08章中盤から09章、
44巻01章から02章、06章中盤から08章中盤まで に相当。
乙雅三 きのとまさぞうを騙して床の穴に落としてまで強引に見たものの、あれほど見たい衝動を抑えられなかった乙の背中には何もなかった。しかし…
次の瞬間、背中からは何かが飛び出し乙は死亡。
その攻撃をしたスタンド「チープ・トリック」は、露伴の背中に取り憑いた。
「チープ・トリック」は、乙雅三が吉良親父に矢で射抜かれて発現したスタンド。しかし乙は「スタンド使い」ではなく、ただ「チープ・トリック」の宿主としての存在でしかなかったようだ。
「チープ・トリック」は、背中を見られた宿主を殺して、次々と宿主を移る「意志を持ったスタンド」。
そして乙が死んだ今、「チープ・トリック」は、自分の意志と能力で露伴を新たな宿主とし、背中に取り憑いたのだ。
本来、本体が死ねばスタンドもまた死ぬ。能力を発現させた乙が死ねば「チープ・トリック」も消滅するはずだが、新たな宿主からエネルギーを貰うことで生き続ける。では「スタンドはひとりにひとつ」という原則について、今回のように、次の宿主がスタンド使いだった場合どうなるのか。
「チープ・トリック」は、あくまで乙のスタンドであり、乙が死んでもエネルギーが供給され続ける限り、自我があるので、スタンド単体で、不特定の人間に寄生して生き続けられるのかもしれない。
少し釈然としないが、生命体ですらない「刀」に取り憑いたまま、500年生きていたアヌビス神のような例もあるし、納得するしかない。
ただ、「チープ・トリック」は、
露伴が吉良吉影捜索のために撮影した写真を焼き捨てろ、と言うのだが・・・
露伴がスタンド使いであり、承太郎と繋がりがあるということは、なるほど確かに、すでに吉良吉影の知るところだ。
杜王駅で利用客を撮影する露伴に、撮られた川尻浩作=吉良吉影が気付いていたら、息子と合流した吉良親父が対策を練るのは当然のことだ。
とはいえ、「チープ・トリック」が、吉良親父の目的に与する動機が、皆目見当がつかないんだな、これが。
一方その頃
仗助の目の前に現れた「エニグマ」の少年。
手には康一を紙に閉じ込めたものを持っている。
少年は「康一の紙」を車道へポイ
紙が破れたら中の人間は死ぬかもしれない。
余談だが:そこへ走ってくる車
原作では四駆のRVだが、アニメではなぜだかハチロクだ。
原作にもハチロク描かれてるっちゃあ、描かれてるけど…
康一の死の可能性を目の当たりにし戦慄する仗助は「恐怖のサイン」を出し、為す術もなく紙に引きずり込まれる。
その紙は罠に違いないと分かっていたが、万が一にも本物の康一である可能性があるなら助けないわけにはいかねえだろ!
お前の勝ちのようだが、おれを紙にしたならすぐに破かないと、もしここから復活することがあったら、てめーを殺すぜ!
仗助的には最後に本音をぶちまけただけだが、後半の呪いの言葉は「エニグマ」の少年に、前半の言い訳がましいが正直な強がりは噴上裕也の心に響いたようだ。
数々のトラップをかい潜り、何とか包みを開くと
仗助・康一の紙と一緒に封入されていたものはシュレッダー。
二人の紙が裁断されてしまう!
「恐怖のサイン」を示してしまった噴上は「エニグマ」の餌食に。だが…
自身も紙になったからこそシュレッダーに手を突っ込み二人の紙を掴むことができた。
原作では、三人の紙がくっついていたが、原理がよくわからないので「ハイウェイ・スター」が掴んだことにしたようだ。
次回:7月15日(木) その4
さて、今回の宮本輝之輔のスタンド「エニグマ」。
かなりトリッキーで面白い能力だったが、設定がかなりガバガバだ。
第五部以降は、こういうガバガバな能力同士の戦いが増えるのが、実は、僕が五部以降にあまり馴染めない理由のひとつだったりする。
その人固有の「恐怖のサイン」
こういうサイコな仕掛けは、とても四部を象徴していてよい。大好きだ。その「恐怖のサイン」を出させるために、あの手この手で執拗にビビらせる粘着質な性格の悪さも、表現としていい。
だが、ティーカップや豚骨ラーメンや薬瓶、ましてや炎や電流なんて、どうやって紙に閉じ込めたんだ?いったい誰の「恐怖のサイン」が、どう機能すれば、そんなことができるというのか。
・・・と思ったら、wikipediaによると、あらゆる物を紙の中に閉じ込めることができる人型のスタンド。人間に対しては発動条件があり、個人が持つ特有の「恐怖のサイン」を、輝之輔が見抜いたうえで相手に示させることで紙に閉じ込めることができる。・・・とあるな。
まぁ、確かにそうとしか考えられないんだが、これ公式にアナウンスされてるのかね?
なんだか釈然としないなぁ・・・
あと、自分自身も紙の中に自由自在に出入りしてるけど、その原理はどうなってるんだろうか・・・自分は特別扱いか・・・。たとえばヴァニラ・アイスがクリームの口の中に入っても平気なように。
釈然としないなぁ・・・。
SPW財団の調査による杜王町の行方不明者リストにあるこの女性
大倉美那子
原作ではただ「美那子」として登場する。
「質問を質問で返すべきではない」という荒木先生がどうやら気に入っているロジックが(たぶん)はじめて登場した
吉良吉影による被害者なのだが、同日7月15日の午前に会社で、殺人衝動に耐える川尻浩作が描写されている。
「抑えなければ… 今は…まだ…」
美那子の殺害がすでに原作通りに行われているのなら、この禁断症状はある程度沈静化しているはずだし、いや、それ以前に殺人衝動よりももっと重大な問題(この話はいずれまた)を抱えることに、今頃なっているはずだ。
だが、この日の夕方時点で、川尻早人はパパが別人である証拠をまだ撮影していない(おっとゲフンゲフン
彼女が殺害されるシーンは結構重要だと思うんだが、回想として出て来るのだろうか。それとも全カット・・・・?
これから殺される気もしないではないが、家出していることが明らかで、潜伏先も分かっているのに「行方不明者」とは言わないだろうしなぁ・・・
どうでもいいけど、短大1年で29歳ってのは何かの間違いだと思う。
おことわり)
アニメ「ジョジョの奇妙な冒険」 のレビューは
「原作準拠」の検証の目的で、コミックとの比較をするスタンスで書いていましたが
第四部は、三部までほど「原作準拠」に拘っていないようなので、比較はもちろんしつつ、
筆者の勝手な推察や持論を、多めに盛り込んで書いてゆきます。
基本的に、揚げ足取り中心の文章となることはこれまでと変わりないので
ファンの方には、しばしば不愉快な思いをさせることがあると思いますが、
筆者は決して悪意を持ってはいないことをご理解の上読み進めていただけると幸いです。
また、検証・認識の甘さから、的はずれなことを書くかもしれません。
その場合は、遠慮なくご指摘ください。
ご指摘・お叱り・応援、あらゆるご意見を歓迎します。