Cogito, Ergo Sum

我思う故に・・・新館

ジョジョの奇妙な冒険 第四部 #03「虹村兄弟 その1」

2017/06/17
 




この記事を書いている人 - WRITER -

コミックス 29巻08章~09章、30巻01章〜02章の半分までに相当。

jojo-04DU_03a.jpg
冒頭、ホテルの自室から何処か(たぶんSW財団)へ電話をする承太郎。アンジェロの件は片付いたと言っている。

原作では、仗助がアンジェロを岩に同化させた後、アンジェロがスタンド能力を得るに至る経緯を聞き出すくだりに移行するのだが、それはすべて回想シーンとして語られることになる。
アンジェロの話は重要だが、今回のサブタイトルは、もう「虹村兄弟」なので、すでに物語は次のエピソードに移っていると明確にしていることには好感が持てる。

余談だが:
電話で承太郎は「帰国は当分先だ」と言っている。(このセリフは原作にはない。
第6部によると、この時すでにアメリカ人女性との間に徐倫が生まれているはずなので、この頃の生活基盤はアメリカにあったんだろう。

〜回想〜 アンジェロの記憶:

jojo-04DU_03b.jpg
刑務所の独房に突然現れた「学生服の男」に弓矢で射られ、スタンド能力を引き出されたアンジェロ。

「学生服の男」について、原作では若いようでもあり、年寄りのようでもあった…と表現され、
jojo-04DU_03c.gif jojo-04DU_03d.gif
能力が発現したアンジェロに、脱獄とさらなる悪事を促し「スタンド使いの仲間を欲している」と告げて去ったくだりは全てカットされた。

jojo-04DU_03e.jpg
アンジェロがスタンドを使って通りすがりの子どもを襲い、さらに髪型をけなされた仗助がブチ切れて、アンジェロを話せなくしてしまったのでそれ以上の話を聞き出せなかった、という演出に変更されたのだ。

jojo-04DU_03f.gif
ブチ切れた仗助を制止する承太郎は、原作では子どもの安全のためだが、アニメでは、まだ話が終わっていないことを気にしていた。

原作を読むとわかるのだが、この話を描いた時点では、「学生服の男」はラスボスか、それに近い重要人物と言ってもいいほど、かなりミステリアスな雰囲気を纏って登場している。しかし実際には「学生服の男」は、この後ラスボス的な扱いを受けないため、ここでこの男について多くを語るのをやめたのだろう。
男の容姿・風貌について、中途半端な改変をせず「弓と矢」「DIO」「その男もこの町に居る」というキーワードだけを漏らし、あとは聞き出せなかった、というのは非常にうまい改変だ。
こうすれば、キレた仗助が子どもの命を軽んじていたようにも感じられないしな。

しかし・・・今さらだがこの・・・
jojo-04DU_03g.jpg jojo-04DU_03h.jpg
まるで奥行きを感じない「のっぺり」した背景美術は、個人的に受け入れがたい・・・。

雲の形だけは、かろうじて荒木テイストだが・・・
カラートーンを貼ったかのように、一平面を同じ色で均一に塗る手法が、もし90年代の“鈴木英人”や”わたせせいぞう”を意識しているなら、この絵具の混ぜ方を間違えたかのような濁った色彩と、絶望的なシズル感・立体感の無さはあり得ない。
空が黄土色をしていようが、アスファルトが黄緑色をしていようが別に構わないけど、この「臨場感」の無さは、正直見ていて苦痛になるレベル。

jojo-04DU_03i.jpg
廃墟のはずの家に人が居た・・・?

jojo-04DU_03j.gif jojo-04DU_03k.jpg
ここは仗助の家のすぐ近くなのだが、原作とは位置関係が少し異なる。

原作では、東方家は同じ通りに面した斜向かいに設定されているが、アニメではすぐそこの角を曲がったところに位置するようになっている。距離的には大して違いはなさそうだが、なぜ変更されたか・・・

それは、
この後、仗助と康一はこの廃墟に住むという兄弟と揉め事を起こす。そのトラブルの真っ最中に
jojo-04DU_03l.jpg
承太郎が東方家を訪れるからだ。

原作の通りの位置関係だと、揉めている仗助たちが、承太郎から見えるはず。ってか、まさに揉めてる仗助たちの後ろを通って東方家へ向かうはずだ。もとより仗助に用事があって来たのだし、気づけば放っておくはずはない。ここは、ニアミスでなければならなかったのだ。

あと、どうでもいいけど・・・
jojo-04DU_03m.jpg
承太郎の車のルームミラーは鏡像にならないらしいな・・・オイ

jojo-04DU_03n.jpg jojo-04DU_03o.jpg
廃墟の住人:虹村億泰(弟)と、虹村形兆(兄)に

jojo-04DU_03p.jpg
康一が矢で射られた。

屋敷の二階から話しかける形兆こそ、アンジェロの話に出てきた「学生服の男」だった。ラスボスどころか、いきなり仗助の前に登場した。

jojo-04DU_03q.jpg
第四部ではあまり多用されていない印象がある、書き文字の効果音。
これまでよりも派手な使い方をしている。
確かに書き文字の乱用はちょっと目障りだったので「ここぞ」という時に限定して使用するのは、いいかもしれない。

jojo-04DU_03r.jpg
億泰のスタンド「ザ・ハンド」の能力は、空間を削り取る能力。

よく意味がわからないが、第四部以降のスタンド能力はこんなのばっかしだ。気にしてはいけない。「雰囲気」と「勢い」で理解するのだ。

jojo-04DU_03s.jpg
この門扉の例では
概念的に「入」の字が削られたのではなく、「入」の字の横幅分、門扉がカットされ、その分縮められたことになる。部分的に間隔が異なる鋲が物語っている。ただ・・・うん・・・まぁ、考えるより感じて理解するのはいいんだが「ザ・ハンド」が削り取る際の効果音「ガォン」に相当するSEが、思っていたのとかなり違った。・・・実はこれが結構ショックでかい。
使われているSEは、第三部でヴァニラ・アイスのクリームが物質を飲み込む時に使われていたものと、たぶん同じ。
jojo-04DU_03x.gif
クリームの能力は、ある意味ザ・ハンドの能力と酷似しているので、同じならそれでいいだろ、ってなもんだが・・・何でだろう・・・アイスのときにはとくに疑問に思わなかったのにな。
ザ・ハンドの方が「ガォン」って字面に馴染みがありすぎるんだろう、たぶん

ついでに言うと、三部アニメの「世界ザ・ワールド」が時を止めるときの効果音も同じものだったりする。(微妙に違うかもしれないが
・・・ま、これもそのうち慣れるだろう・・・。

エコーズの効果音が、今からちょっと心配だな・・・
jojo-04DU_03t.jpg jojo-04DU_03u.jpg
間合いの空間を削りとって、逃げる相手を逃がさない。

こんな便利な、しかし原理は皆目わからない「ザ・ハンド」厄介なこの能力を逆手に取って、仗助は自ら手を下さずに億泰に勝利する。
jojo-04DU_03v.gif
アニメでは、間合いの取れないパンチに数回殴られた後、仗助が、こっそり鉢植えの前まで移動する描写が加えられている。

jojo-04DU_03w.jpg
瀕死の康一が連れ去られたため屋敷の中まで入った仗助。
そこに居たのは、億泰の兄:虹村形兆。

次回「虹村兄弟 その2」
極悪中隊バッド・カンパニー登場!

おことわり)
アニメ「ジョジョの奇妙な冒険」 のレビューは
「原作準拠」の検証の意味も込め、コミックとの比較をするスタンスで書いています。
基本的に、筆者の好みに応じた揚げ足取り中心の文章となるため
ファンの方には、しばしば不愉快な思いをさせることがあると思いますが、
筆者は決して悪意を持ってはいないことをご理解の上読み進めていただけると幸いです。
また、検証・認識の甘さから、的はずれなことを書くかもしれません。
その場合は、遠慮なくご指摘ください。

この記事を書いている人 - WRITER -

Copyright© 我思う故に・・・新館 , 2016 All Rights Reserved.