ONEPIECE 1026「天王山」
ドクロドームの屋上には、対峙する二匹の龍、そのカイドウではないもう一匹に乗るルフィ、そしてヤマト。
それをバオファンと同じ目玉の札をつけたカイドウの部下が実況する。
絡繰動物のメアリーズは見たもの聞いたことを中継するだけで解説することができないし、かといって女性の兵では危険すぎるからなのか、男の偵察兵は初登場かも・・・あぁ、目玉札の女性はブラックマリアの部下だったのかな。
ルフィが乗る「桃色の龍」の正体がわからない偵察兵には、それが敵であることしか報告することができなかったが、一瞬カイドウと見間違えるほどの立派な龍が敵方の加勢に現れたというのに、「カイドウ様ヤベェんじゃねぇの?」と考える部下がひとりもいないことには恐れ入る。
それだけでは、カイドウと「同じ戦力」が現れたと焦るには至らない。実際それが誰であれ、龍の姿と能力というものは神懸かっていて十分に畏怖の対象のはずだが、カイドウの強さと恐ろしさの本質は別のところにあると考えればいいだろう。
事実として、モモの助には覇気は使えないし火も吐けない。残虐さはかけらも持っていないし、精神的な強さもケタが二つも三つも違う。
だがそれでも、そんなモモの助の存在こそが戦いの潮目を変える力を持っていることを、ルフィは感じていた。
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ルフィの指示で、必死で過去の恐怖とトラウマを押し殺してカイドウに噛みついたモモの助。
まともに戦ってなんとかなる相手でないのはもちろん、もし反撃を受ければ一撃で気絶、下手すれば死んでいただろう。
ルフィが殴りつけて、カイドウがもんどり打ったスキに乗じて噛みついた。すぐに回避しなければ危険だったが、それもルフィがすぐさまフォロー。今はそれでいい。
お前が噛みついたのは「四皇」だぞ!
この世にまだ恐ェもんがあんのか!!?
「龍」という同じ素質で真っ向から勝負しても勝ち目はない。でもただの「人間」にはできなかったことが、今ならできることに気づいたモモの助。
屋上の戦況がわからない城内の者たちには、偵察兵を通じたルフィとモモの助の会話が、この上なく心強く轟いた。
もう一匹の龍がモモの助であることは、まだ皆には分かっていない。しかし、討ち入り勢の精神的支柱として、モモの助はたしかに今そこにいて、ルフィとともに戦っているのだ。そして最も頼りになる男からは力強い言葉が発せられた。
カイドウには、おれが! 必ず勝つ!!!
士気が上がる。ここが「天王山」戦いの潮目が変わるときなのかもしれない。
ルフィがモモの助に言った「鬼ヶ島、止めてこい!!」。
これは、空を飛ぶ龍が纏い、今鬼ヶ島を浮かせて花の都へと運んでいる「焔雲」を、モモの助が操ってもしくは解除して、鬼ヶ島の侵攻を止めろと言っているのだ。それはカイドウ以外には、同じ龍であるモモの助にしかできないことなのだ。
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そして激突する両雄、ルフィとカイドウの覇王色が天を割り、その刹那、雷雲に月が陰り決め手を失っていたイヌネコが三度スーロン化。
あと、死んでいなかったオロチが姿を見せたが、まぁこいつはどうでもいい。どうせ傳ジローに始末されるさ。
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さて、その頃
破滅のカウントダウンが始まっていることを知らない花の都のお祭り騒ぎをよそに、天狗山飛徹がお玉を心配していた。
お玉は、天狗山飛徹を「師匠」と呼ぶ。いったい何について師事しているのか今のところ説明はない。まさか「妖艶なくのいち」ではないだろう。
また、飛徹はお玉をことのほか可愛がっているが、ふたりはどういう関係なのか。実の娘または孫、もしくはやんごとなきお方の忘れ形見なら納得できる。
ところが先日、市販のビブルカードに掲載された飛徹の年齢が「誤表記だった」と慌てて公式から訂正があったことから、飛徹の正体は光月スキヤキではないかと一部で噂されている。
花の都の城に「こけし」を並べた部屋があったそうだし、飛徹は「美少女こけしコレクター」であること、またアニメでは飛徹とスキヤキの声優が同じということも、疑惑に拍車をかけている。
飛徹は亡きおでんに対し、またモモの助と日和に対しても敬語である。正体を隠していれば言葉遣いを偽ることもあるだろう。
だが、スキヤキが将軍のほかに刀鍛冶の顔を持っていたという描写がただなかったというだけでなく、かつてのおでんの愛刀「天羽々斬」や「三代鬼徹」を打った名工か?と考えると相当な違和感がある。その先祖は「二代鬼徹」を打った古徹だというのに、光月の家系は石工のはずだからな。
とはいえ、カイドウを倒した後の、光月モモの助が治めるであろう新しいワノ国では、お玉も重要な役割を為しそうな気がしないでもない。
はたして飛徹の正体は? お玉とはどういう関係なのか・・・期待が高まる。