ジョジョの奇妙な冒険 第三部 #42「亜空の瘴気 ヴァニラ・アイス その1」
おことわり)
アニメ「ジョジョの奇妙な冒険」 のレビューは
「原作準拠」の検証の意味も込め、コミックとの比較をするスタンスで書いています。
往々にして揚げ足取りの文章となるため
ファンの方には、しばしば不愉快な思いをさせることがあると思いますが、
筆者は決して悪意を持ってはいないことをご理解の上読み進めていただけると幸いです。
また、検証・認識の甘さから、的はずれなことを書くかもしれません。
その場合は、遠慮なくご指摘ください。
コミックス 25巻10章中頃~26巻03章中頃までに該当。
アトゥム神の能力は、こちらの問いかけに対する相手の「魂」の返答を
二択で視覚化して見ることができるというものだった。
承太郎はこの能力をまだ「とにかく思考を読まれる」程度にしか分からないまま
投球予告をするという暴挙に出た。
ところが予告とまったく違うコースと球種が飛んでくることに
困惑、激しく動揺するダービー。
明らかにイカサマしている。しかしその方法がわからない。
なぜだかアトゥム神まで汗をかいているようにみえるwww
茫然自失のあまり、うっかり花京院の魂を放してしまうダービー。
このダービーの放心というか、虚無というか、
ここは精神的にも身体的にも「真っ白」になるところだと思うのだが…
なんだか着色が通常よりも濃いぞ。なぜだww
魂を放したということは、心のなかで敗北を認めたということ。
往生際悪く「これは負けではない」とすがるが
人質がいなくなった以上、もうゲームに付き合う必要はないのだ。
承太郎がしていたイカサマ・・・それは
操作をじじいにやらせること。実に単純。
承太郎が言うとおり、ダービー兄なら見破っていただろう。
兄ダニエルはトリックやイカサマを使うとはいえ
自身の技術と経験のみで数々の修羅場をくぐり抜けてきた真の勝負師だ。
魂のコレクションはその副産物にすぎない。
弟テレンスは、自身のゲームの技量のみでは勝てないと判断したら
心を読むという「ズル」をして勝つ、所詮プレイヤー(遊び人?)。
魂入りの人形は、単なるコレクションではなく
相手の恐怖心や動揺を誘う道具として機能していた。
土壇場での心の強さや勝負運を呼びこむツキなどは兄に一日の長があろうし
困窮したとき、楽な手段に逃げる者に真の勝利は降りてこないのだ。
花京院の魂だって返したんだから元通りじゃん、だから許して。
一緒に土下座するアトゥム神がちょっとかわいいが・・・
こいつは「恋人」のスティーリー・ダンに匹敵するくらいのゲス野郎だった。
まったく・・・やれやれだぜ・・・。
余談だが:
劇中の1989年といえば
野茂英雄が近鉄バファローズにドラフト1位で入団した年。
このゲームで承太郎が操る、フォークが得意な41番のピッチャー
打者に背中を見せる特徴的なピッチングフォームは、
まぎれもなく「トルネード投法」。
野茂が活躍したのは90年からなので、
ジャン・アレジと同じように、当該話数の原作掲載時には超有名投手だったのだが
しかし、実際の作中年度は1989年なので、野茂をモデルとした選手が
当時すでに「もう飽きたよ」と言われるゲームに登録されていたとは考えにくい。
しかも、実は
原作ではとくに野茂英雄っぽい投球をしているわけではなかった。
アニメなりの演出というわけね。
ゲームキャラの個性を出す表現としては、とても面白いのだが
微妙な違和感の残る演出となってしまった。
ついでに、ダービーが操るレッドドラゴンズの15番のピッチャー、
オーバーアクションな引き足が特徴的なサイドスローは
友人によると、元ヤクルトの高津臣吾っぽいらしい。
野茂と同じ90年頃から活躍した個性の強いサイドスロー投手だが、
高津は抑え投手として有名だったりする。
ゲームをやり込んでいるダービーだからこそのトリッキーな登用と
深読みすると面白い。
となると、直球とフォークしか投げられない77番の豪速球投手のモデルは誰かな…
さて、後半いってみよう!
今回のサブタイトル「亜空の瘴気ヴァニラ・アイス」の話はここからだ。
DIOに命を求められれば、
一瞬の逡巡も躊躇もなく無表情で自らの首を刎ねる絶対的な忠誠心。
求められたのは「生き血」だったが
DIOに最後の一滴まですべての「生き血」を捧げる絶大なる覚悟がそこには在る。
ヴァニラ・アイスと、そのスタンド「クリーム」
気になるCVは、速水奨。奨さんか〜!いいね。イメージぴったりだわ。
炎の生物探知機を使い、用心しながら館を奥へと進むアヴドゥルたち。
落書きが日本語で書かれているのがあまりにも不自然だが
ここは考えてはいけない。感じねば。
突然宙空に現れたクリームによって、アヴドゥルが消された。
その腕だけを残して。
理解不能の状況に、この上ない戦慄を覚えるポルナレフ&イギー。
ヴァニラ・アイスはOVA版にも登場する。CVは青野武。
少し趣向は異なるが、原作や本作と同様に突然現れてアヴドゥルを倒す。
その倒し方については、ここで書くのはいささか相応しくないので
また数話後に改めて書くことにする。
とにかくOVA版のアイスは性格も雰囲気も
原作や本作とはまったく違う、OVA版でもっとも評価が別れるところだ。
詳しく書きたいのはやまやまだが、残念ながら次回に持ち越しだ。
次回:亜空の瘴気 ヴァニラ・アイス その2
ケニーGについては・・・いいや・・・別に。