ジョジョの奇妙な冒険 第三部 #48「遥かなる旅路 さらば友よ」
おことわり)
アニメ「ジョジョの奇妙な冒険」 のレビューは
「原作準拠」の検証の意味も込め、コミックとの比較をするスタンスで書いています。
往々にして揚げ足取りの文章となるため
ファンの方には、しばしば不愉快な思いをさせることがあると思いますが、
筆者は決して悪意を持ってはいないことをご理解の上読み進めていただけると幸いです。
また、検証・認識の甘さから、的はずれなことを書くかもしれません。
その場合は、遠慮なくご指摘ください。
コミックス 28巻06章後半~09章までに該当。
オープニングちゃんと在りました。
SE入りの完全バージョンで・・・
前回「SEなど蛇足」とか言ってすみませんでした。
予想通りジョセフの血はなじむ
この肉体は100年前のジョナサン・ジョースター
…さすがはジョセフのお爺ちゃん!!(言ってません
※子安繋がりで脳内変換されたw
ポルナレフが見たアヴドゥルとイギーの幻影と同様
ジョセフの去りゆく魂(?を目撃する承太郎。
スタンドは精神が生み出すパワーあるヴィジョン。
心を通わせた者同士だからこそ
死にゆく者が残るものに託す強い意志や、
伝え損ねた助言、無念、はたまた感謝などの強い感情が
ヴィジョンを持って伝わるのだろう。
DIOは強いスタンド使いだが、
精神が同調していないためこのヴィジョンが見えない。
感動の別れのシーンなんだが・・
花京院はあれだけ苦労してメッセージを残したというのに、
じじい・・・喋りすぎだわ・・・
ただ、
承太郎が時の中で動けるようになったことを知っている風だが
いかに幽体だろうが、霊体だろうが、精神体だろうが、
ジョセフは止まった時を認識できないのだから、
承太郎が動けることに気づくのはおかしい。
このことから、このジョセフの魂との会話は
承太郎のジョセフへの思いが生み出した
幻想である可能性も捨てられないのだが、
そう考えると、この喋りすぎじじいは
承太郎のセンチメンタルの具現ということになる。
おぉ・・・ちょっと恥ずかしいぜ、承太郎・・・
ここからの最終ラウンド、
OVAではより濃密で多彩なバトルが展開される。
川に落ちた承太郎にボートを投げつけたり
車投げたり、塔をぶん投げたり。
これらはDIOの力がジョセフの血を吸う以前よりも明らかに数段強くなり
性格も凶暴性を増していること、
そして、承太郎もまた、
DIOにわずかに及ばないながらパワーが少しずつ上がっていることを
表現しているのだが、少し冗長に過ぎる。
とくに
DIOが路面電車の乗客を惨殺し、承太郎が怒りにふるえるシーン。
一般の人々を躊躇もなく巻き込むDIOに対し
「公然の正義」を振りかざすのは承太郎らしくない。
正真正銘 最後の時間停止だ!
これより静止時間9秒以内にッ! カタをつけるッ!
ロードローラーだッ!
おれが時を止めた…9秒の時点でな…
は!?
一瞬なに言ってるのか「素」で解らなかったぜ。
えーと、つまり、
DIOが落としてきたローラー車を破壊するため
7秒過ぎに行動を開始、動ける2秒間が経過する直前に
スタープラチナが自分の能力で時を止めた。
DIOが止めた時間はリミットに達し、今は承太郎が止めた時間の中
これまでは、止まった時の中でモノを認識したり考えたり
2秒間だけ身体を動かすことができるに過ぎなかった能力が
自分発動で時を止めることができるように進化した…ということね。
また、
承太郎がDIOの「世界」で2秒間だけ動けたように
DIOもまた、承太郎が止めた「世界」で2秒は動けるので
11秒経過した時点でDIOは動けなくなった…と、
自分の止めた「世界」では9秒動けるが、
他人の「世界」ではDIOも2秒程度しか動けない・・で、あってるかな?
ちなみにOVAでは、DIOが落とすのはタンクローリー。
変更された理由は、たぶん爆発させるため。
爆発するんだから、それは当然時間停止の解除後だ。
そして、突然その炎が静止し、動くことができないことに驚くDIOの前に
静止した炎の中から現れる承太郎。
ふたりの時間停止の時差のトリックが
上記の僕のように理解しづらいと判断したのか、
ふたりは別々に時間を止める演出になっている。
しかし、それだと、承太郎が止めた時間の中で
DIOはほどんどまったく動くことができないことになるので
あんまりいい改変とはいえないと、僕は思う。
脚のケガが治癒したらその瞬間にぶっ飛ばす
これはDIOの考える通り、確かにコケにしているのだが、
その本質は
「あと味がよくない」「悔いを残す」という考えからのものではない。
人間を超越したつもりになっているDIOなので
キレイ事にも聞こえる承太郎の言を、
人間の枠を出られない狭量な考えと受け取ったようだが、
これは単なる挑発と考えていい。
人間を超えた自分なら、なんとしてもこの場を切り抜け勝利してみせる
というDIOの自尊心を逆手に取る承太郎の作戦だったに違いない。
DIOを逃さず、向かってくるように仕向けているのだ。
かくして人間以上の存在DIO様は、
なんとも薄らみっともない、なりふり構わぬ攻撃に出た。
たしかにこれは、僕達人間よりも
究極生物カーズ様の思考に近い。
ああ、そうだ・・・DIO様・・・
第三部ではクールで神秘的なイメージだったのですっかり忘れていたが
そういえば、あんたもそんなゲスな男でしたな・・・
普段は知性も教養も、
貴族であるジョナサン以上に「紳士」然としていたが
ひとたび逆上すれば、汚い言葉で相手を罵り
卑怯な手段もまるで辞さない
ゲロ以下の臭いがプンプンする生まれついてのワルだったわ。
自分を極限まで追い詰めた好敵手ジョナサンを尊敬したこともあったが
DIOがそういう「キレイ事」を言うときは
総じて自分が精神的に優位に立っているときだけだ。
敗れ去る巨悪。
ばかなッ!…このDIOがァァァァ〜ッ
100年前も同じこと言ってましたねww
DIOは死んだ。
しかしDIOには返してもらうものがある
DIOが奪った血液を輸血しなおし蘇生したジョセフは・・・
紛うことなきジョセフだったwww
一瞬、DIOがジョセフの肉体を乗取って蘇ったかと思わせる
紫色の邪悪なオーラは、ジョセフのスタンドのイメージカラーでもあった。
これは上手い。
現実なら、脳への酸素供給が3〜4分も途絶えていれば、
仮に蘇生したとしても、脳に重篤な障害が残るとされているので、
DIOがジョセフから血を吸ったのは4分前という原作のセリフは
「少し前」に変更され、
スピードワゴン財団はジョセフを「遺体」として運んでいるのに、
なにやら機械に繋がれている。(原作では放置されている。
無事蘇生できたことが、
不自然になり過ぎないように変更が加えられたようだ。
朝日を浴びて灰と化すDIOの肉体。
(すでに首がないので、正しくはジョナサンの肉体。
すべては終わった。
戦友との別れ
三人とも、うっすらと涙ぐんでいるのだが分かりにくい。
「よく見たら泣いてる」程度なのがちょうどいいのかもしれない。
OVAでは、もっとはっきり涙が描かれていたが
これはアニメ映像の鮮明さが今とは違うので仕方ないだろう。
余談だが:
この別れのシーンでジョセフがウォークマンに入れているカセットが
原作ではビートルズの「GET BACK」、
OVAでは、なぜだかジプシー・キングスの「BEST REMIX」だ。
本作ではカットされた。
ちなみに、ジプシー・キングスの「BEST REMIX」は1989年発売なので
作中の時代には合っているが、作風にはまったく合っていない気がする。
ジョジョの奇妙な冒険スターダストクルセイダース 完
アニメ制作のスタッフの方々、お疲れさまでした。
長らくおつきあいいただいた読者の皆さんに感謝します。
ありがとうございました。
Comment
第4部・・・あるんでしょうねぇ・・・
今はまだ考えたくないです・・・
恥ずかしいぜ、承太郎のくだりを読んで「なるほど」と感心させられました。
確かにその通りだと思います。花京院が哀れですもんね。
第4部はテレビ放映あるのでしょうか。