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ジョジョの奇妙な冒険 第四部 #19「重ちー」の収穫(ハーヴェスト) その2

2017/06/17
 




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コミックス 36巻07~10章に相当。

不要と思っていたハズレくじの山から500万円の当たりくじを見つけた。
その当選金を受け取るために
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やって来たぜ、銀行へ!

宝くじが、はたして地方銀行で当選金を受け取れるのか、ってのが疑問だが、もっと違和感を覚えるのは銀行の名前だったりする。

ぶどうヶ丘銀行
「ぶどうヶ丘」とは仗助たちが通う高校の名前。ってことは、杜王町のごく限られた地域の地名じゃないのか。
だが「◯◯◯銀行ぶどうヶ丘支店」ではなく「ぶどうヶ丘銀行」。しかも「杜王駅前店」とあるので、当然他の地域にも本支店があることになる。

「ぶどうヶ丘」って何だ!?
・・・

逆に考えてみよう。
「ぶどうヶ丘」とは、たとえば財閥系複合企業の名称で、仗助たちが通う学校は、その系列の私学なのではないか。
う〜ん・・・結論でないな。ま、いいか。

高額当選金が現金で受け取れるのは3日後なので、とりあえず500万円の「現金手形」を手に入れた3人。
しかし、重ちーはやはり・・・

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やったァー!オラの500万円だぞーッ!!!

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折半の約束なんて知らない。
友達として、せめてもの「情け」として2万円やるよ

あぁ・・・これはいけない。
後々のことや、付随する様々なことを考えず、目先のカネだけを惜しんで友達を裏切る人は、いつか同じ目か、もっと酷い裏切りを受けるものだ。仲間内でコレはいけない。

しかし、重ちーは、あんまり言葉ではっきり書きたくはないが、そういう知恵が回る「おりこう」ではない。むしろ「一本足りない」子だ。
浅はかな短絡的行動に至るのも無理はない。

ただね、
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3人で分けんのが惜しくなったなんて、通用しない金額だよなあ〜〜

いや、金額で態度を変えたのはお前も同じだ、仗助。
「この金額だから今度は許せない」という理屈は、「高額だから分けるのが惜しくなった」と、根っこは同じで、決して理論的でも理性的でも合理的でもない。「二度目は許さない」という理由なら納得できるが。

しかしそれでも
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重ちーを「小遣い」かせぎにちょっくら利用しようと思った自分を反省するべきと考えることができるし

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ちょっと「力づく」にはなったが、恨みっこ無しで、はじめの約束通りにしよう、と纏めた仗助はまだエライ。

しかし、言葉と態度を翻す重ちーにキレた億泰がぶん殴って手形を奪ったことで、重ちーは何かのスイッチが入ってしまったようだ。

まぁ、重ちーのキャラクターを見れば、いじめられっ子だった可能性が十分考えられ、暴力で蹂躙される、屈服させられることに、何かトラウマがあるんじゃないかな。
それでも、スタンド能力を手に入れても、それをいじめっこへの仕返しなどに使わずに、誰も困らず自分だけが得をする「極めて平和的な使い方」をしていたことが、重ちーの本来穏やかな性格を物語っている。

だが「大金を払いたくない」気持ちと、殴られたことに対する怒りが、ハーヴェストを暴力的に使うことに繋がったのだ。
ときに、いじめられっ子の爆発は手がつけられないことがあるというが、仗助たちとの出会いは重ちーにとって、ある意味不幸なことだったのかもしれない。

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それ以上追ってきたら・・・殺すぞ!

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大群で襲いかかり肉を削ぎ落とす

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ビル屋上で足場のナットを外す

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血管に直接酒を注入
どれもこれも、マジで殺しにかかってる。

しかし所詮は考えの浅い重ちー
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近づきすぎて、ザ・ハンドに手形を奪われ、

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いつでも元に戻せる仗助にビリビリに破かれた。
もう重ちーひとりでは500万円を手に入れられない。

億泰と仗助の連携プレーに、すべての優位をひっくり返されてしまった。

なんというか、今回のお話は、最初から最後までスッキリしない。それは、社会正義とか人類愛などに関わることなく自分勝手で反社会的な行動に絡んだ、実に偏狭な考えに基づく、精神的に未熟な若者どうしのくだらない揉め事だからだ。

そもそも、拾った宝くじを「自分のもの」として当選金を受け取ることは、拾得物横領罪に当たる。

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原作の「オレたちはぜんぜん悪いことはしてない!」というセリフが削除されているのが、犯罪行為の正当化に繋がるからなのかどうかは分からないが、どう言い訳しようとも、彼らの今回の行いに正義はない。
あくまでも、内輪の揉め事を彼らがどう纏めたのか、という話なのだ。

重ちーの行動原理は「欲」と「恨み」であって、決して「悪」ではなかった。しかも重ちーは、頭が少し残念な中学生。ぶっ飛ばして、暴力で懲らしめて、物語の決着とするわけにはいかない。

そのための「お勉強タイム」。
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多少は怖い思いもさせるが、言って理解できない相手には体に覚え込ませる、というのは躾の常套手段。(暴力的に〜ではなく、条件反射できるように〜という意味だが。

そして、噛んで含めるように言い聞かせるうち
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理解した。

今後のこともあるし、ここで重ちーが自らの過ちに気づくことが必要だった。
そうでなければ、言い聞かせている仗助と億泰が弱い者いじめしている人で終わってしまうからだ。
仗助たちが未熟と言いきってしまえば、このドタバタも魅力だし、とても第四部らしいとは思うが・・・カタルシスのない、なんともスッキリしないエピソードだったわ。

余談だが:
荒木先生が一番好きなキャラは、この重ちーだそうだな。
今はどうだか知らないが。

次回「山岸由花子はシンデレラに憧れる」
おや?原作とエピソードの順番が違うな。

おことわり)
アニメ「ジョジョの奇妙な冒険」 のレビューは
「原作準拠」の検証の目的で、コミックとの比較をするスタンスで書いていましたが
第四部は、三部までほど「原作準拠」に拘っていないようなので、比較はもちろんしつつ、
筆者の勝手な推察や持論を、多めに盛り込んで書いてゆきます。
基本的に、揚げ足取り中心の文章となることはこれまでと変わりないので
ファンの方には、しばしば不愉快な思いをさせることがあると思いますが、
筆者は決して悪意を持ってはいないことをご理解の上読み進めていただけると幸いです。
また、検証・認識の甘さから、的はずれなことを書くかもしれません。
その場合は、遠慮なくご指摘ください。
ご指摘・お叱り・応援、あらゆるご意見を歓迎します。

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Comment

  1. BIE(管理人) より:

    重ちーの「重大な役割」は、原作通りだとあまりにも唐突すぎるのでエピ順が変更されたんですかねぇ?

  2. 男爵ツェペリ より:

    重ちーの過去や仗助たちの行動に対する考察、なかなか深いですね。
    私はこのエピソード、連載当時から好きではありますが、確かにこの話においては三人のうち誰にも「正当性」はないですね。
    トニオ回と同じくあくまで「番外編のドタバタ劇」として楽しむならば、皆キャラが立ってて面白いと思います。
    もっともトニオと違って重ちーはこの後、おそらく全登場人物中でも「最も重大な役割」を果たすことになるのですが…

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