ジョジョの奇妙な冒険 第四部 #36「アナザーワン バイツァ・ダスト その2」
コミックス 45巻04章中盤から08章に相当。
岸辺露伴を死なせてはならない。
あいつを倒せるのは「能力を持つ者」だけなんだ!!
「運命」を変えるんだッ!
しかし・・・
「バイツァ・ダスト」は、吉良吉影の正体を知った事実だけを削除してまた同じ朝から再生される。
一度起こった「運命」の結果は変わらない
かくして、早人と会ってすらいないにも関わらず「露伴が爆死する」という「運命」だけが無惨にも履行された。
今「バイツァ・ダスト」を解除すれば「露伴の死」は繰り返すこともない事実となる
原作になかった、分かりやすい解説ありがとう。
しかしまだ追跡者は来るはずなので、ブービートラップは解除しない。
なるほど。
僕がプレイヤーなら、ここで必ずセーブするがね。
平穏な生活のために完璧を求める吉良吉影らしくない判断ではあるが、「バイツァ・ダスト」の優位性をまったく疑っていないのがよく分かる。
ところで、「バイツァ・ダスト」の仕様を吉良吉影が熟知しているのはなぜだろう?
早人に仕掛けた「バイツァ・ダスト」で巻き戻された、元の時間で何が起きたかは、吉良吉影にも分からない。ということは、唯一時間のループを自覚している早人の反応以外では「バイツァ・ダスト」が起動したことにさえ気付くこともできない。
巻き戻ればその度初体験になるので、解除とセットを何度も繰り返し、少しずつ知識と経験値を積み上げるしか無いのだが、昨夜「バイツァ・ダスト」に覚醒してから朝8時までの数時間。この短い間に熟知できるまで実験を繰り返したとも考えられない。
通常であれば、追い込まれた状況で「うっかり早人を殺してしまった」という事実がなくなった、「時間を1時間戻す能力」だけで十分満足するところだ。だが、吉良吉影は「バイツァ・ダスト」の実に複雑で、実にご都合主義な「真の能力」を詳細まで理解している。
この意味するところは、「バイツァ・ダスト」が、吉良吉影の求めに「矢」が呼応して生まれた能力であるということだ。
早人を殺してしまい絶望の中
「この状況を打開するにはこんな能力があればなぁ」と強く妄想した、とか
再び「矢」に刺された瞬間
「どうせ能力を授けるなら、これこれこんな能力で頼むわ」と頭のなかで細かくリクエストしたのか。
とにかく「バイツァ・ダスト」は、窮地に追い込まれたその瞬間の吉良吉影が一番欲しかった能力そのものなのだろう。
そうでなければ「バイツァ・ダスト」の能力の真髄を吉良吉影が知っているはずがないのだ。
〜閑話休題〜
「バイツァ・ダスト」は吉良吉影を護るという点で、実に都合良くできている能力。
喋らなくても、書いてもダメ、黙っていても質問されればダメ。
絶望に打ちひしがれていたら、
さらに四人、吉良吉影を追うものたちがやってきた。
もう、この人たち以外にあいつを倒せる者はいない。
この人たちを絶対死なせてはいけない。
露伴だけでなく、ほかの四人を救うこともできなかった。
もう術がない・・・。
五人の命はこの世界線でもあと1時間足らずで消滅するのだ。
あいつが死ぬか、気まぐれにでも「バイツァ・ダスト」を解除しない限り・・・
そう。前の世界線であいつはセーブを怠った。
あいつが死ぬか、何らかの方法で露伴が死ぬ前に解除させることができれば、その後に起こる事象は未確定のままだ。
五人を助け、吉良吉影を倒して貰うにはそれしかない。
川尻早人の決死の「覚悟」。母親と自分の身を守るため、人殺しの吉良吉影を殺す、と肝を括った。
一度起こった「運命」の結果は変わらない。その「バイツァ・ダスト」の仕様を逆手に取って、この世界線の吉良吉影が知らない、これから起きる事象を利用するのだ。
露伴の死の刻は、もうすぐそこだ。
次回:クレイジー・Dは砕けない その1
余談だが:
これまでのジョジョでは、最終話の主題歌に限り、派手な効果音を充てたスペシャルバージョンになっていた。
だがそれ以外にも、第三部スターダストクルセイダースでは、最終回の一話前のOPで、止まった時間の中をDIOが迫り、承太郎もまた動き出す、という特別な演出が加えられた。
本作では全39話と、残りあと3回あるにも関わらず、ここでOPに変化があった。
イントロが途中で巻き戻ると、突然終奏の映像から逆再生がはじまり、音楽は逆再生ではないが、リミックスされた特別なバージョンになっていた。
前回の話の中で明らかになった「時間が戻る」という特殊性が、もっとも現れているのが今回の話だから、今回限りの演出と見るべきか、あと3回、ラストまでこのOPで行くのか、それとも1回毎に益々ボルテージを上げていくのか。 期待して待ってみよう。
おことわり)
アニメ「ジョジョの奇妙な冒険」 のレビューは
「原作準拠」の検証の目的で、コミックとの比較をするスタンスで書いていましたが
第四部は、三部までほど「原作準拠」に拘っていないようなので、比較はもちろんしつつ、
筆者の勝手な推察や持論を、多めに盛り込んで書いてゆきます。
基本的に、揚げ足取り中心の文章となることはこれまでと変わりないので
ファンの方には、しばしば不愉快な思いをさせることがあると思いますが、
筆者は決して悪意を持ってはいないことをご理解の上読み進めていただけると幸いです。
また、検証・認識の甘さから、的はずれなことを書くかもしれません。
その場合は、遠慮なくご指摘ください。
ご指摘・お叱り・応援、あらゆるご意見を歓迎します。