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我思う故に・・・新館

ジョジョの奇妙な冒険 第四部 #21「吉良吉影は静かに暮らしたい その1」

2017/06/17
 




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コミックス 37巻01~04章の半分までに相当。

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自分で殺害した女性の、切断した手首を連れ(持ち)歩いている男、吉良吉影は「彼女」との甘い私生活を満喫している。

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朝食も「さぁいただこうか」と言いながら、一人分しか用意していなかったが「一緒に食べる」とはこういうことか。

几帳面な吉良吉影は無駄なことはしないのだ。
仮に用意しても「彼女」が食事を食べることはないのだし、その分、彼が二人前消費するような無意味なこともしない。
だから時計や貴金属を買い与えても、食事は与えない。しかし食事を共にすることで、妄想のコミュニケーションに満足することは出来るというわけだ。装飾品は、実際に目に見える「彼女」を美しく彩り妄想の「彼女」に喜んでもらう喜びと、自己満足の産物だろう。

切断した手首を持ち歩くという大胆な行動を日常としておきながら、そのくせ、というか、なればこそ必要以上に人目を気にする吉良吉影は人の気配に「彼女」を隠す。

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ところが、すぐ側を偶然通りかかった重ちーが自分が買ったサンドウィッチと間違えて、彼の袋を持ち去ってしまった。

その袋の中身は、悪臭を放ち出し、そろそろ吉良吉影が興味を失い始めた女性(の手首)。
何が何でも、取り戻さなければならない

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中等部の体育準備室でひとりになった重ちーを追って来たものの、あとから来た仗助・億泰のせいで、危うく手首が見つかるところだった。

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なんとか無事袋を回収したと思ったのも束の間、重ちーのハーヴェストは、すでに袋を見つけていた。

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そして、見てはいけないものを見てしまった重ちー

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人間の手首への驚きだけではなく、吉良吉影の「不気味な雰囲気」を敏感に察知し警戒度MAXの重ちーに対し

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吉良吉影からの抹殺宣言。

ついに現れたスタンド:キラークイーン・・・って・・・



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なんか違う・・・?

キラークイーンって、こんな中尾隆聖の声で喋りそうなデザインだったっけ
・・・ま、今回は、重ちーまったく愛嬌ないし、作画酷かったよね。

次回「吉良吉影は静かに暮らしたい その2」

さて、いよいよ本格的に登場した第四部のラスボス:吉良吉影。

まだ作中で特定はされていないが、15年前に杉本鈴美とその家族を殺害し、その後も人知れず殺人を続けてきた凶悪犯だ。
その殺人鬼・偏執狂としての片鱗は、仗助たちとニアミスした17話でも描かれ、思い起こせば第01話の冒頭でも描写されていた。

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今回冒頭で、吉良吉影が用意した朝食は、第01話の「それ」と、トーストの厚みからサラダの盛り付けまでまったく同じ。
毎朝同じものを食べているとか、曜日毎に決まっているとか、とにかく吉良吉影の几帳面な性格が伺える。
※彼の呼称について、「吉良」ではどうにもしっくりこないので、面倒くさいが、いちいち「吉良吉影」とフルネームで書くことにした。

彼が手ずから朝食を作り、(いや、彼女が作っているか、もしくは一緒に作っているつもりなのかな)懇意の女性(の手)と一緒に食べようとするこの描写は原作にはない。吉良吉影の異常性をわかりやすくするために加えられた演出と見る。
そこで気になるのは、吉良吉影は15年もの永きに亘って、自らの猟奇殺人を、遺族にも警察にも社会にも気取られず
したたかに日常生活を送ってきたという現実だ。
杉本鈴美一家を殺した最初の事件以降は、それが「殺人」であったという痕跡すら残さず、周到に、完璧に、物的証拠はもちろん、状況証拠すら残さずに犯罪を犯してきた。

その吉良吉影が、アニメ第01話では(おそらく)被害者の家で朝食を作っている。
食器やランチョンマットに、下手すりゃカトラリーまで自前のものを持ち込んで、被害者宅のキッチンでトースターを使い、ガスを使いフライパンを振っている。

対象を密かに拉致し、密かに殺害するだけなら彼には容易だろう。しかし、ここまでのことをして、何の痕跡も残さないようにするには、事後に調理器具や食器を完璧に片付けなければならないことは勿論、グラスがテーブルに残した露の輪や、トースターからこぼれたパンくず、飛び跳ねたかもしれない油までを念入りに拭き取り、さらには、会社員である彼が「普段通り」を装い、ラッシュ時の被害者宅から通勤する必要がある。
ただの「失踪」に対してであっても、日本警察は優秀だからな。毛の先ほども疑いを抱かせてはいけないのだ。
だから、そんなリスクを吉良吉影が犯すとは思えない。

この演出は、近年その特性が少しずつ明らかになってきた「サイコパス」の、だがしかし並大抵のサイコパスではない最上級の異常性を表現しているのだと思うが、「吉良吉影」という人物を描写する上では、その特性を見誤っている気がするのだ。

どうも、ビジュアル的に原作よりも若い印象があるので、その性格付けにもなにか変更があった可能性もあるとはいえ、ジョジョのアニメに限っては、それは考えにくい。
その辺り、原作との違いを比較することに重きをおく当ブログでは、特に踏み込んで考察していきたい。

追記:
「リスク」という点で、吉良吉影は「彼女」を会社にまで連れて行くという多大な危険を犯している、という指摘があるようだが、嫉妬深い「彼女」の、一時足りとも離れていたくないという我儘に付き合っているという脳内設定によるものだろう。
連れ歩くその行為自体は、彼にとってリスク足り得ないのだ。
彼が言う「大胆な行動力」とは、日常それがバレそうになった場合の対処の話であり、現場に証拠を残すかも知れないリスクを犯すこととは、まったく意味が異なるはずだ、と僕は考えている。

さらに追記:
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証拠を残さないという点で、原作の吉良吉影はこの突発的な非常事態にも手袋を忘れずに対処しているらしい。(情報いただきました

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アニメでは迂濶にも・・・素手だな

おことわり)
アニメ「ジョジョの奇妙な冒険」 のレビューは
「原作準拠」の検証の目的で、コミックとの比較をするスタンスで書いていましたが
第四部は、三部までほど「原作準拠」に拘っていないようなので、比較はもちろんしつつ、
筆者の勝手な推察や持論を、多めに盛り込んで書いてゆきます。
基本的に、揚げ足取り中心の文章となることはこれまでと変わりないので
ファンの方には、しばしば不愉快な思いをさせることがあると思いますが、
筆者は決して悪意を持ってはいないことをご理解の上読み進めていただけると幸いです。
また、検証・認識の甘さから、的はずれなことを書くかもしれません。
その場合は、遠慮なくご指摘ください。
ご指摘・お叱り・応援、あらゆるご意見を歓迎します。

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