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宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第三章「純愛篇」その2

 




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後半行ってみよう!
第九話「ズォーダー、悪魔の選択」


民間人をガミラス艦へ移乗させているさなか、突如現れたガミラス反政府組織の襲撃を受けるヤマト。


古代不在の今、土方が臨時で指揮を執る。


反ガミラス統治破壊解放軍
本星の方針に逆らう政治犯の集団。実態はデスラー政権以前の旧貴族体制への復古を求める権威・権益主義の権化なのだそうだが「デスラーの覇権主義は未だガミラスに根強く残っている。ガミラスに蹂躙された星々は解放されねばならない。」と、もっともらしく唱える題目は、2199におけるディッツ派と変わらないようにも聞こえる。EDクレジットによると指導者は「導師」と呼ばれており、その風貌からも野放図な野良武力集団の匂いがプンプンする。

破壊解放軍の襲来は、キーマンの作戦を実行する隙をヤマト内部に生み出すために、意図されたものだったが、そのガミラスの動向を把握していたと思しき桂木の手引きにより、死者より作られた「人間爆弾」である蘇生体が、ヤマトから移乗した民間人に紛れ込み三隻のガミラス艦に乗艦していた。

レドラウス教授もすでに死者。すなわち、桂木透子はガトランティス側の人間ということになる。
旧作によるとガトランティス人の身体組成は地球人と変わりないとのことなので、彼女がガトランティスの地球人スパイなのか、ガトランティス人なのかは目下不明。


しかしガミラスの少女イリィにハグを求められたときの戸惑いは、愛情の欠落を示唆し、続いて脳裏に浮かんだヴィジョンは彼女に何かを感じさせた。そのとき生来持ち得ない感情が芽生えでもしたのだろうか。

ズォーダーは独善的で断言的な言説で、愛に依存する者が唱える「愛」では宇宙は救えない。創られし生命ガトランティスは生殖能力を持たないがゆえに「愛」というしがらみから自由であり、彼らの「真実の愛」に包まれてこそ、人間は真の幸福と安寧を得られる、と謳う。そして古代に、三隻のガミラス艦から一隻だけ救う対象を選べ、と迫った。

選べるわけがない。しかし選ばなければ三隻とも沈められる。古代は自らの「愛」で救済する一隻を選ばねばならない。


古代は、愛するたった一人のために他の人間を切り捨てた咎を受けようとも、ズォーダーに嘲笑われようとも。理屈ではなく感情から雪ひとりを選択した。古代に選択をさせまいと艦の外に身を投げた雪を。

結果、またしても、言葉の意味はよくわからんがとにかくすごい波動砲の効果で、古代と雪も、動力を失い星の崩壊に巻き込まれかけていた三隻のガミラス艦も助かった。


認めたくない結果を見た刹那、ズォーダーが思い浮かべたヴィジョンは、おそらく先に桂木が見たものと同じ。


旧作完結編のクイーン・オブ・アクエリアスに通じるイメージが有るような無いような…。

第十話「幻惑・危機を呼ぶ宇宙ホタル」


ゴーランドとザバイバル。旧作でおなじみの顔だ。ゴーランドの幼生体ノルと打ち合うザバイバルの生身のアクションは、金田伊功の作画を意識して描かれているように感じた。


本作では戦闘シーンに登場するコスモタイガーIIなどに、金田パースを盛り込んだ「バージョンK」が用意されていることは有名だが、ヤマトで描かれる機会が少ない肉弾戦を金田伊功っぽく描写するとはなかなかニクい演出だ。(そう感じたのは僕だけじゃないと思いたい。

親子の概念が存在しないガトランティスに於いて、子を慈しむような感情が自然と湧くことを現状では否定できないものの、将来的にテレサの無限の力を手中に収めることでその「不完全さ」からも逃れようと企むズォーダー。


しかしズォーダーが「不完全」と蔑むヤマトがテレサの求めに応じながら、誰一人失うことなく先の危機を逃れた事実に、オソレを抱いているのではないかと、諜報記録長官ガイレーンに指摘される。柴田秀勝…渋いなぁ。
ガイレーンは旧作にはいなかったキャラクター。僕は先代のズォーダーではないかと考えている。


ヤマトを取り巻く赤く光る宇宙ホタル。きれいだからと艦内で大人気に。


これは旧作「2」第11話のエピソードでは、その正体は鉄を侵食するバクテリアだったのだが、本作では人間の脳波に干渉し、ヤマトの機関をハッキングするウィルス的なものとなっている。


斎藤はホタルの影響で古代を正論で責め立てる。

お前は十一番惑星でもシュトラバーゼでも運が良かっただけで、まだ本当に厳しい決断を何もしていない。今後も中途半端な人道主義で艦を危険に晒すのか? これは、旧クルーではない斎藤なら至極真っ当な意見。

これに対し、自分のことは何と言われても構わないが、沖田の艦ヤマトを「臆病者の艦」と言ったことを許せないと怒った古代はやや正当性に欠ける。斎藤が貶したのは今のヤマトであって「沖田の艦」じゃない。仮にそうだったとしても、今沖田の艦がそう揶揄される責任の一端は古代にあり、そういった咎もすべて背負うと覚悟したんじゃなかったのか。
この期に及んでまだ腹の底に本音を隠している事が「顔面ピクピク」から感じられる。

キーマンと真田の働きで精神への影響をクリアにし、佐渡先生が用意した殺虫剤で機関室のホタルは死滅した。
だがキーマンがホタル問題の解決に助力したのは、彼が波動エンジンに仕掛けた「反波動格子」が露見するのを避けるためだったらしい。


そのことを知っており、キーマンに近づく桂木透子。キーマンの正体も知っているのか?

そのとき、新たなコスモウェーブがテレザートから発せられた。


今ふたたび幻影を見て、団結の意思を新たにしたヤマトクルーたち。(雪は今回も見なかったのだろうか…
そこには救いを待つ何かが存在する。前に進もう。

そして・・・

我らに見せてもらいたい。我々にはない言葉「執念」…


感謝の極み・・・

次巻、第四章は「天命篇」。あのデスラーが帰ってくる。
デスラーはすでに死んだものとして、ガミラス本星は復興し地球と同盟関係にある。旧作とは違い、今やデスラーはガミラスを率いる総統ではない。単なる復讐の権化、修羅の鬼として描かれるのか、それとも彼にも深い「愛」が存在するのか。そういえば、旧TV版「2」の宇宙ホタルを仕掛けたのはデスラーだった。いずれにせよ、次巻は旧作との比較がたくさんできそうだ。

乞う期待。

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