Cogito, Ergo Sum

我思う故に・・・新館

ONEPIECE 973「光月の一族」

 




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処刑された主君おでんの、魂の炎を絶やしてはならない。

錦えもんたちはひた走る。おでんの遺言である「ワノ国を開国」するために、今は誰かひとりでも城へたどり着き、おでんの家族を保護しなければならない。
錦えもんたちには、おでんが本当に為そうとしていたことや、光月家が抱える宿命のことはよく分からないし、おでんの家族を救い出したとて、彼らにもすぐさまワノ国をどうにかできる力はない。おでんが為したかったことを解明するにせよ、モモの助を新たな旗印とするにせよ、一朝一夕でどうなるものでもない。

ワノ国全土にとって、辛く、そして永遠のように長い「暗黒の時代」が始まったのである。

九里城はすでにカイドウの部下に包囲され、モモの助を亡きものとするべく、龍となったカイドウが錦えもんたちよりも先に着いていたが、


おでんの後継者と考えられないほど、精神も肉体も脆弱なモモの助に興味を失くして、燃え落ちる九里城に放り出し、カイドウは去った。



ナンバーズと覚しき影が現れ、追手を食い止めるために傳ジローとアシュラが殿(しんがり)を買って出た。その結果ふたりは九里城へたどり着く事はできなかった。



イヌネコはネコの不用意なヤジを争点に大喧嘩、ナンバーズに捕まり戦線から脱落。この諍いをきっかけに殺し合うほど仲違いする事になるのだとしたら、たしかにモモの助が言うとおりおでん様も嘆くだろう。



モモの助はカイドウに直接詰め寄られ、天守に吊るされた恐怖で、平気だった高所が苦手となった。



日和は、父が好きだと言った得意の三味線の曲に、父の死をイメージ付けてしまったことがあった。



トキは河松に日和を託し、残り四人の赤鞘の侍たちとともにモモの助を20年後へ送り出した後、くだんの「四行詩」を遺し(おそらく狙撃され)絶命した。


生き残ったとも死に損なったとも表現しにくい傳ジローは、


主君を殺したオロチとカイドウへの怒りと憎しみ、また、主君を護れなかった自分への怒りなど、これ以上ないほどの「負の感情」にその身と心を焦がし、痩せ細り目は吊り上がり、髪の色素は抜け、ようやく落ち着きを取り戻した頃には、まるで別人のような風貌になっていた。


傳ジローは、別人の容姿を手に入れたことを幸いに、その腕っぷしと商才で名を挙げ、オロチに取り入った。
「丑三つ小僧」として、密かに悪人の金を町人にばらまいていたのも、傳ジローであった。


そして、偶然巡り合った日和を保護し、素性を隠させて英才教育を施した。


傳ジローの今の名は「居眠り狂死郎」
日和は世を忍ぶ仮の姿として、遊女「小紫」となった。

これまでに断片的に語られた回想が、それぞれどのような経緯で起きていたかが丁寧になぞられ、細かい謎や疑問が判明、バラバラだったパズルのピースがどんどん埋まってゆく。

ただ、予想と大きく異なっていたのは、トキの最期だ。

僕は、トキはモモの助たちを未来へ送ったあと、燃える九里城と運命を共にする…すなわち、その場でただひとり自刃するものと思っていた。


トキは単身城を飛び出し、九里の城下町である博羅町の大門で、大勢の町人見守る前で「四行詩」を唱えた。燃える城の前で唱えた、と言われていた通り、たしかに九里城を背景にしているのだが・・・なんだかイメージと違った。

まぁ、城を出ることなく自刃したとしたら「四行詩」を残す相手が存在しないものな。
だが、おでんや子どもたちとの思い出深い城を離れて、わざわざカイドウの部下がいる場所まで出てきたのだから、この行動にはトキの明確な狙いがあったと考えられる。


「四行詩」の内容は、狂死郎が講釈した通り「願いを遂げられなかった光月は、20年後の月夜に9人の戦士を遣わし、必ず開国の望みを叶えるだろう」的な意味としか受け取ることはできない。(”恨み”や”殺す”は意訳だ)内容に深い謎などはとくに秘められていないように思う。
また、光月家の運命や開国する意味を市井の民に説いたところで、その真意を汲み取れる者が果たしているかどうかは相当疑問。トキはその場に居た民のみに向けて「四行詩」を遺したのではなかったのだろう。
おでんが為せなかった開国への道は、トキの計らいによって、モモの助と日和という2つの大きな可能性が残されたが、事態が激動するのは20年後。その時まで反オロチの思想と、光月家という伝説を忘れないように、そして希望を民が持ち続けられるようにと、意図的に意味深なメッセージを残した。これはある種の呪いである。


800年の昔から、誰かが世界をひっくり返してくれることを期待して、未来へ未来へと希望を先送りしてきたトキが、おでんとともに生きたこの時代を死に場所と決め、はじめて時代を動かすために能動的な働きをした。

これが、おでんの妻としてのトキの覚悟。トキの戦いなのだ。

800年前に、トキが生きていた世界に何があったのか、トキの口から語られなかったのは残念だが、それは光月が国を閉ざした理由とともに、開国が叶うときに明らかになると僕は思っている。

さて次回、ようやく物語は現代に戻るのか?否か?

あとは、アレな。
回想に飛轍が出てこなかったけど、トキはいつおでんの刀を飛轍に預けたのか。「天羽々斬」を打ったのが飛轍だそうだが、トキと(おでんと)飛轍はどれほどの信頼で結ばれていたのか。そして、飛轍の「美少女こけし収集家」とはいったい何だったのか(それはどうでもいい・・・

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Comment

  1. 匿名 より:

    傳ジローの容姿が変貌する憎しみの顔の一コマが過去編のすべてを物語っているように見えました。

  2. 匿名 より:

    おでんが言ってた「お前も」過去からってなんでしょうね

    • BIE(管理人) より:

      800年前に狂わされた歴史の歯車を動かそうと(一部意訳)する人物が現れるのを「世界が」待ってるそうですから、
      ロジャーも、おでんも、それを迎え撃つ側の勢力もまた、その瞬間を固唾を飲んで待っているということだと理解しました。

  3. 匿名 より:

    「ただ、予想と大きく異なっていたのは、トキの最期だ。」ではなく、小紫が日和だった事でしょうwwずっと拘っていらっしゃいましたものね…。w

    冗談はさておき、現代の世界に戻りルフィたちを匿っているのは…。やはり、傳ジローなのでしょうね。

    • BIE(管理人) より:

      よく読んでいただいてて、ありがとうございます。
      今さら信じてもらえないかもしれませんが、日和が小紫であることはほぼ間違いないと思っていました。(”ほぼ”ね。)
      ただ、周囲のワンピ愛読者たちがあまりにも確定情報として扱うので、へそ曲がりの僕は「まだ確定ではない」と言い続けていたのです。
      まぁ・・・「ジンベエ一味に入らない説」もそんな感じです。

  4. 匿名 より:

    今回は、例のおでん城燃える→トキが未来へ飛ばす、そして日和が河松の元を離れた後、更に傳ジローの行方、丑三小僧の正体と色々と豪華に明かされました!それと、トキは焼死では無く銃殺か…。後、他に残っていることは何でしょうね?

    • BIE(管理人) より:

      やっぱ、裏切り者が誰か・・・ですかね。
      過去編は微妙ですが、現代編では明らかにスパイがいるようですから。

  5. 匿名 より:

    錦えもん曰く”ともに探して欲しい侍の「河松・アシュラ童子・傳ジロー」の行方はこれでオール明らかとなりました。それぞれ、20年間の生活はまちまちでしたが共通としては決戦の時に備えていたということ。辛いことにもひたすら耐え続けてきていたということも..。

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