ONEPIECE 1045「NEXT LEVEL」

今回のサブタイトルは「NEXT LEVEL」。
文字通り、これまでとはまるで違う「次の段階」へギアを切り替えたルフィの戦闘。
ドフラミンゴは能力の覚醒を「上の世界ステージ」と呼んだが、上下を差別するかのような物言いではなく、過去から現在そして未来のさらなる躍進を見据えた「NEXT LEVEL」という表現は実に主人公然としていてルフィに相応しい。(口に出して言ったわけじゃないけど・・・
│
不本意な勝利によるトラウマは、もはやカイドウにもない。あとは、その強さと存在は認めたものの、生き方考え方が決して相容れることのない眼の前の若造を完膚なきまでにたたきのめすだけだ。
だがルフィの戦い方は、カイドウがこれまでに出会ったどんな海賊にも当たらない。超人系のようでいて動物系のようでもあり、論理無用の現象を次々と巻き起こす奇想天外・摩訶不思議な能力。
噛み付いても燃やしても子供のケンカのように「なにくそ」と無邪気に反撃してくる様子には、必死さや真面目さは微塵も感じられない。
カイドウも「こんな自由な戦闘見た事がねェ!」というが、これはもう自由を通り越してタチの悪い「イチビリ」である。五老星が云う「世界で最もふざけた能力」というのがよく的を射ている。
│
動物系悪魔の実の覚醒は「モチーフの動物の魂に自我を乗っ取られた状態」という仮説を僕は立てていて、それはインペルダウンの獄卒獣たちが喋らないことや人間態・人獣態を見せないことからそう感じたのだが、その延長線上で考えると、今のルフィは「太陽の神ニカ」そのものということになる。
悪魔の実に封じ込められた「ニカ」の魂が、ルフィの肉体を依り代に実体を持って顕現した状態だ。
「ワノ国を救う、何が何でもここでカイドウを倒す」というルフィの強い思いはどこか陰りをみせ、イメージ通りに身体が動くことや、カイドウと戦うことに対する楽しさが強く前面に押し出されている。
「窮地ほど笑い、笑うほどに…」も結構だが、覚醒ルフィからは真剣さが感じられない。
どこまで真面目なのかわからない、人を喰ったような態度、ハチャメチャで破天荒・・・ なるほど、人智の及ばない「神」とはそういうものなのかもしれない。
│
ルフィがにわかに正気を取り戻したのは、ギア5thが限界を迎えて黒髪のルフィに戻った一瞬だ。
自我を取り戻したルフィは自分のやるべきことと、仲間たちの気持ちを再確認。そのうえでカイドウを倒すためにギア5thを再発動する。
│
僕は思うんだが・・・
これはラスボスと一対一だから良いようなものの、混戦の中で発動したら味方にも迷惑かけまくるんじゃないか。協力プレイが期待できないばかりでなく、自分の戦闘を邪魔されかねない。普段のルフィもたいがい自分勝手な戦い方をするが、ここまでじゃない。
通常、混戦の中で「信頼して背中を預けられる相手」というのは、自分と同等の強さを持つ仲間であり、レベル違いに強すぎる相手には「信頼」というのもおこがましく、もうすべて「おまかせ」するしかない。こっちは邪魔をしないように気を遣うくらいしかできなくなる。
そういう存在を「神」というのであって、今のルフィはまさにソレなのだ。
「神」は人間の思い通りにはならない。カイドウを倒したあと、ルフィは果たしてどうなるのか。あまりの消耗に元に戻るならいいが、「ニカ」になったままだと次に何をしでかすか分かったものじゃない。
さて、そうなると・・・
ジョイボーイのときは、どうだったのか・・・? 俄然、気になってくるよね。
そこんとこ、どうなの?教えて象主ズニーシャ!!
│
余談だが:
幻獣種とは、そのモチーフは本来空想上の生物のはず。現実には存在しないが、書物や口伝でその神秘性や崇高さまたは邪悪さなどが広く伝えられ、長い年月を経て伝説や神話となった生き物たちだ。
すなわちその強さは、その生き物に人々がどれだけ畏敬の念を抱くか、崇め奉るか、恐れおののくかによって変化するだろう。
例えば、河童と龍はどちらも空想上の存在だが、それらが戦って河童が勝つとは誰も思わない。だが「龍をも倒す河童」と恐れられる伝説の生き物がいたとしたら、その勝負はわからない。
実際にその生き物が存在しないからこそ、悪魔の実の能力が人々の意識の強さに依存する。だからこそ、「ニカ」の実が二度と覚醒しないように、世界政府は「太陽の神ニカ」という神をその名前からすべて封殺してきたに違いない。その神を信じる者が増えるほど、その神に人々が抱く希望が絶大であるほど、顕現した「ニカ」の実の能力者は手に負えない「イチビリ」となるからだ。
ジンベエは何か知っている風だったが、さて「タイヨウの海賊団」の「タイヨウ」とは、結局のところ、何を指しているんだろうね。
Comment
ギア5を最初に見たとき、ドラゴンボールの初期の超サイヤ人を連想しましたが、変身したときに性格が好戦的(?)になるという要素が似ているなと思いました。
ドラゴンボールではその後、好戦的になる性格を抑えることで更にパワーアップを遂げていたので、ルフィも徐々に落ち着きを取り戻して更に強くなる展開があるのかなと予想します。
ルフィって戦いを楽しむキャラでしたっけ?
仲間や友を苦しめた相手に全力でぶつかるのがルフィだと思ってたんですが
てかワノ国の国民を奴隷にしてた相手と楽しむなよ…
という感想でした…
僕もそこに違和感を覚えました。
だから、ギア5thではルフィの意識に勝るものが表面化しているのかな・・・と
動物系であるならば、ランブルボールを作ったチョッパーの知見が、ニカモードを制御するのに役立つかもしれませんね。
制御・・・それは考えもしませんでした。
面白い観点ですね