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我思う故に・・・新館

ONEPIECE 1049「目指すべき世界」

 




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ルフィ渾身の超巨大な一撃を打ち砕かんと、獄高熱の巨大火龍で迎え撃つカイドウ。

灼熱の炎でルフィの拳を焼きながら、しかしカイドウはなぜか昔を回顧する・・・まるで走馬灯のように。

両親やその生まれについては語られていないが、10歳の頃には敵なしの強さを誇っていたカイドウ。
13歳の頃、所属していた国に売られたことをキッカケに逃亡生活へ、15歳でロックス海賊団に合流する。

21歳のときにゴッドバレー事件でロックス海賊団が壊滅。

この頃、我の強い跳ねっ返りばかりだった中、15で加入したロックス海賊団で6年間、そこそこいい関係を築いていた(と思われる)カイドウとリンリン。そのリンリンから「ウオウオの実(幻獣種)〜モデル青龍〜」がカイドウにもたらされたのは、ロックス壊滅のその日、ゴッドバレーにて。


おそらく、ロックスの危機にカイドウを呼びに来たシルエットこそリンリンで、一味の壊滅を阻止するためにカイドウに虎の子の「悪魔の実」を食わせたものの、カイドウは参戦せずにバックレた。・・・というのが妥当なところじゃないか。リンリンが激怒しているのはそのためだろう。


31歳のときに、黒炭ひぐらし婆ァからオロチと手を組むことを提案されるんだが、このひぐらし婆ァ、こいつもロックス海賊団(もしくはそのごく近い場所)にいたんじゃないかと云われているな。
全世界的に「無かった事」にされてるゴッドバレー事件を知ってるし、そもそもただの婆ァの話をカイドウがわざわざ直接聞くはずがない。
そして何より、ひぐらし婆ァのマネマネ変化のバリエーションに、金獅子のシキの顔があったからな。

ひぐらし・せみ丸の爺婆コンビは、年齢からしてオロチの祖父の代にはすでに生まれていたと思われ。
オロチの祖父が将軍家の世継ぎの対立候補を暗殺した咎で、一族郎党末代まで罪に問われて人権を失った厳罰直撃世代だっただろう。受けた迫害はオロチの比ではなかったはずだ。

ひぐらし婆ァはロックス壊滅後ワノ国に戻っていたところ、将軍位奪取の一番の障害となるおでんが不在であることを好機ととらえて計画を実行に移した。オロチという神輿をかついでカイドウと手を組む。これら悪魔の計画はひぐらし婆ァ積年の恨みにすべて起因していたのだ。

これが28年前、実はこの年、モモの助のほかにもヤマトが生まれているんだが、ヤマトの母親はいったい誰なんだろうね。


その後、ワノ国の鬼ヶ島に拠点を移したカイドウは、少年時代から感じていた社会構造の異常性に反抗の狼煙を上げる。

天竜人を頂点とする社会の転覆を目論む革命軍と大きく違うのは、言うまでもなくその行動原理と手段だ。

革命軍が世界政府を打倒し人民と国家を解放しようとしている(らしい)のと異なり、カイドウの言は、力も才能も示すことなく権力に座することを許さない。有り体にいうと「特権階級を許さない。」ということ。


う〜ん…世紀末の思考だね。


そんな中、結局のところカイドウが自殺を趣味とするに至る理由は示されていない。
何度も捕まって何度も処刑されたというのは、カイドウがまだ組織に属する前には、食うに困ったときに出頭するという“年末の浮浪者”みたいな行動を繰り返していたためだ。

それは「いつでも逃げ出せる」という余裕、「殺せるものなら殺してみろ」という強靭な肉体と精神への絶対的な自信に裏付けられているからで、そういうことを繰り返すうちに「あいつは処刑されに行くのを趣味としている」と云われはじめたかのような描写がなされている。


初登場時のカイドウは明らかに死のうとして空島からの飛び降り自殺を敢行し、死ねなかったことを悔やみ、大戦争を起こして華々しく人生の幕を引いた白ひげを羨み、もう仕方ないから戦争起こして世界中ぶっ壊しちまえ(意訳)と発言している。

20年ほど前から、世界を破滅させる危険思想は変わっていないにも関わらず、つい先日は(自分の死によって)その結末を回避する可能性を模索していたフシがある。
「もう…やるしかねェのか…」とは、そういった躊躇いを感じさせる言葉だ。このそこはかとなく感じる矛盾はなんだ・・・?


かつてキングに語ったカイドウなりのジョイボーイ像。それは…
「この先、おれを倒した男だ!!!」

カイドウは世界を変える。手段はともかく世界の構造を大きく変革させる。

ヤマトに聞くまでおでんが開国を求めた理由を知らなかったところから、失われた100年や歴史の真実をすべて知っているわけではなさそうだ。
しかし世界政府を含む世界のすべてをひっくり返そうとするカイドウにしてみれば、それを成せるのは自分だけだし、伝説のジョイボーイが現れるとしたら自分のこと以外ねェだろ。と思ったはずだ。
だから敗北したルフィに対して「お前も」ジョイボーイにはなれなかったか… と云ったのだ。

だが、それが間違っていることにどこかで気づいた。
ジョイボーイが現れるとしてもそれは自分ではない。自分のやり方もきっと間違っている。ではこの世界をひっくり返すようなことができるのは誰だ?と自問したら、いつかこの先現れる自分を倒す男が、自分の誤った方法で曲がった行き先も正すはず。キングの望む世界の変革もその男ならきっと叶えてくれるだろう。と思い至ったに違いない。

だからこそ、もうあとから出てくる奴に任せて死んでしまおうかという選択肢もあり得たし、
誰も出てこないから「なんだよ結局おれがやらなきゃならないのかよ」と考えれば「もう…やるしかねェのか…」というセリフも出てくるだろう。
だが、いざ候補の男が現れた以上は、それを確認しない限り易々とこの座を譲ることはできなかったのだ。

カイドウにとっては20年前のおでんとの一戦がその最大の機会だった。
ルフィとの戦いも途中で危うく台無しにされるところだったが、ルフィが持ち直し覚醒したことで新たな機会を得た。


カイドウがルフィに問う
「お前がいったいどんな世界を作れる!!?」


ダチが、腹いっぱい、メシを食える世界!!!

おそらくルフィの答えはカイドウが想像すらしなかったものだろう。
カイドウはルフィの信念を理解できなかったはずだ。だが、その単純だが生き物の根源たる願いのパワーの強さに、結局は負けた。というか、折れた…のか?

そんなシンプルなことでよかったのか…。そんな馬鹿みたいな願いでこれほどの力が出せるのか…。やってらんねェ。もういいや…。


自分を倒す男「ジョイボーイ」たる男の出現をあらためて噛み締めながら、カイドウは地の底へ落ちていく。


そしてモモの助は見事「焔雲」を出すことができ、鬼ヶ島を軟着陸させることに成功した。
大勝利である。


「こわいりゅうをやっつけて」
「光月家がかえってきますように」
民の願いを叶えるように、今ワノ国が長い長い闇の時代を終わらせた。

ところで、


決着の直前にひとり生き残ったCP-0が鬼が島を脱出した。
アレ?この人「手長族」だったっけ? まさかアプーがなりすましてる?…とも思ったが、城内の洪水にはアプーもいたのでご本人のようだ。手長族だったんだろう。何か意味あるんだろうか?
結局ロビンの拿捕にも失敗したようで、どの面下げて帰るんだろうね・・・。

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Comment

  1. yuu より:

    侍がカッコ悪くて弱かったのは、許せないです・・。

  2. 匿名 より:

    やっと決着つきましたね
    これが尾田さんが描きたかったワノ国なのか…
    って感じでした

    • BIE(管理人) より:

      ワノ国上陸から実に4年かかりましたね。
      「あと5年で完結する!ドン」とオダッチが宣言してから2年半が経過します。

      絶対ムリやん・・・まぁ分かってたけど

  3. 匿名 より:

    10歳の頃のカイドウは、ヤンチャぽくてすこーし可愛いかな?
    しかも13歳にして、一般人間よりもデカいとは流石四皇と言えますね!?
    彼も、ワンピースに相応しく物心ついた時には、両親を失い(又は捨てられたか)兵士らに引き取られあの最初のコマに至るのでしょうね多分?

    • BIE(管理人) より:

      カイドウは「鬼」の種族というのが僕の考えですが、ワノ国にルーツがあるんでしょうかねぇ。
      失われた100年に関わる何らかの事象の影響で誕生した、不幸な種族・・・だったりするかも、ですね。

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