ONEPIECE 1158「ロックスvs.ハラルド」

「ロックスを殺せ」
他の国々との友好的な交流をするため、世界政府への加盟を盲目的に求めるハラルドの眼前に、でっかい人参がぶら下げられた。
政府にとっては、ハラルドの政府への恭順を試す踏み絵であるとともに、仮に失敗したとて何も失うことはない、実に都合のいい話だ。
どんなに地道に人間たちと直接交流を持とうとも、問答無用で略奪を繰り返してきた巨人というイメージを払拭するのは容易ではなく、ハラルドは行き詰まっていたのだ。
│
さんざん迷った挙げ句に、人参を食べてしまったハラルドはロックスに刃を向ける。
仮に、騙し討ちなどすればあっさり討ち取れる可能性もあったかもしれない。だが、おそらくハラルドは馬鹿正直にロックスに事情を説明し、真っ向から決闘を申し出たのだと思われる。
政府は“巨人族”を軍事力としか見ていない。奴隷にされるぞ。
これはまさしくロックスの云う通り。
しかし“巨人”であるというただ一点で人々から怖れられ、“勇猛”というだけで世界をろくに知らず、教育・知的水準も低いエルバフには、内からも外からも意識改革をしないままでは未来はない。
代々遺伝子レベルで刷り込まれた「戦士の矜持」を維持したい気持ちと、実際にそう振る舞ってきたこれまでの“暴力の歴史”が、平和への大きな障壁となっているのだ。
「巨人族はもう怖くない」と証明することなしに、自分たちへの恐怖を訴える人間たちに理解してもらうことは難しいし、身を削る痛みを伴う改革なしに言葉でいくら訴えようとも人々の心には響くはずもない。
その手段の第一歩が「政府も手を焼く極悪人を武力で倒すこと」という大きな矛盾にハラルドが気づかぬはずもないが、
現状八方塞がりのハラルドとしては、後のことはそのとき考えるとして、人々に怖れられるままであろうとも「世界の輪」にとにかく入ってしまうことが、今は重要。
自力ではどうにもならなかった大きな壁を越えることさえできれば・・・という仄かな希望にすがるしかなかったのだ。
かくしてハラルドとロックスの友情は決裂、勝負の決着はつかなかった …ということは、ハラルドの儚い希望は泡と消えた ということになる。
そしてふたりは絶交状態となり、「あの事件」の当日まで顔を合わせることがなかったという「あの事件」とは、文脈から察するに「ゴッドバレー事件」と思われる。
そうなるとハラルドが事件のときにゴッドバレーに居たということか、または命からがら敗走したロックスを助けた(もしくはとどめを刺した?)ということか・・・。
│
そう、
38年前に「ゴッドバレー事件」が起き、そこでロックス海賊団は壊滅したと云われている。
念入りにもみ消されて、若い海兵たちにはほぼ情報が伝えられてこなかった事件に名前がつけられていることにやや違和感を覚えるが、それは置いておく。
そこでは、天竜人たちによる三年に一度の「人間狩り」が行われた。
政府非加盟の国を一方的に蹂躙し、その国民たちを狩りの獲物とした一大娯楽イベントである。
その開催地に“ゴッドバレー”を強く推したのが、ガーリング聖だったそうだ。40年前のこと。
その島には、ガーリング聖も予想だにしなかった「とんでもないもの」があるとのことで、それにはきっとイム様も喜ぶはずだ ということなのだが・・・
ゴッドバレーに「なにか」があるというのは、1096話でも語られていた。
「海賊島の宝」とやらがなぜかゴッドバレーにあり、それを奪い返しにロックスが、そしてロジャーもまた動いたという。
だが、そのときのカイドウとの会話とリンリンの行動から、少なくともリンリンの狙いは、賞品として用意されていたふたつの「悪魔の実」だったと思われ、しかしそのどちらかがイム様も喜ぶ「とんでもないもの」とは考えにくいので、ロックス個人の目的は別にあったと考えられるだろう。
│
では、イム様も喜ぶ「とんでもないもの」とは何だ。
「悪魔の実」ならば、見つけたときにガーリング聖が持ち帰れば済む話だ。
国民ミナゴロシにして、事件と島の存在そのものをなかったことにして、「とんでもないもの」を手に入れるつもりだったのだろう。“それ”をロックスやロジャーがどうやって奪うつもりだったかは分からないが、どうやら“それ”を巡って「ゴッドバレー事件」は起きたらしい。
ロジャーはこの機会を一年待ったそうだ。
これがどういう意味なのか、なぜ待つ必要があったのかも、ガーリング聖が見つけてすぐ持ち帰らなかったことと関連しているはずだ。いったい何なんだろうね・・・。
│
そして「人間狩り」の開催地が云々された翌年である39年前、すなわち「ゴッドバレー事件」の前年、ある双子の赤ん坊がゴッドバレーに誕生していた。
シャンクスとシャムロックである。
母親らしい赤毛の女性が登場しているが、ここで疑問が湧くよね。
そう。「え!? シャンクスたち天竜人じゃねェの?」ってこと。
この母親は、1年前にガーリング聖に手籠めにされた現地民なのか、もしくは「とんでもないもの」を監視するためにガーリング聖が現地に駐留させた妻なのか。
はたまた、ガーリング聖とは縁もゆかりも無い他人なのか・・・。どれをとっても違和感がすごい。
あとこの母さんさぁ… 双子の名前を訊ねられて弟の名前を先に云うかね・・・。
そこにも何か理由がありそうな気がするよね。
│
余談だが:
ロキがイーダに対して少し心を開きはじめているっぽいの、イイね。
現在イーダは生存不明なので、14年前のハラルド死亡のときにでも巻き込まれるんだろうなぁ・・・
そんで、ロキはさらに拗らせちゃうんだろな。
Comment
扉絵には触れないんですか。。。
光月もりあ
あれ?ゲッコー??
(笑)・・・ね、どういうことでしょうね。