ONEPIECE 1168「エルバフの雪」
エルバフの変革、巨人族すべてと世界の融和。
悲願に邁進するハラルドの成功を夢見て、その歩みを喜びながらイーダは死んだ。

その頃、ようやく世界各地で巨人族の活躍やエルバフ産の資源などの価値が見出され、エルバフは着実に世界に浸透しつつあった。
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その翌年となる14年前、ハラルドと騎士の座を競っていたシャンクスが突如失踪。

その“繰り上げ”という形ではあったが、ハラルドは“神”との“深海契約”を結び、晴れて「神の騎士団」の正式な一員となった。

イム様への目通りも叶い、進化(深化?)した左腕のシンボルを通してその“威神力”の恩恵として、かつてない生命力と不死の肉体を手に入れた。
喜び勇んで帰国したハラルドだったが、エルバフの世界政府加盟の条件として、イム様が通達した最後の任務とは

エルバフの強大な「戦力」を束ね政府に捧げよ というもの。
うん。 まぁ・・・読者はみんな知っていたよ。
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ハラルドが世界政府加盟を望んだのは、武力のみを頼りとしてきたこれまでの生活基盤を省みて、世界に生きる同じ民として人間社会に受け入れてもらうためであった。

せっかく払拭の兆しが見えた「巨人族は恐い」というイメージもふたたび悪化するだろう。「もう戦わないエルバフ」を標榜してきたハラルドにとって、戦力の価値のみを求められることはまさに本末転倒だ。

だが、ハラルドがどのように訴え抗おうとも、身体はイム様の思うままに動くのであった。
“深海契約”の影響でイム様の命令に逆らうことはできない。それは道理や信念ではなく何か“強制力”のようなものが働き、自身の考えと関わりなく振舞ってしまうらしい。

これから先、ハラルドの一挙手一投足はすべてイム様の為すがままとなるのだろう。今のところなんとか自分の意思で話すことはできているが、どうやら時間の問題だ。
終いには考えることすらできなくなるのかもしれない。
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1152話の回想ではアウルスト城で巨大な覇気が炸裂している様子が描かれていたので、次の段階として、軍子やサターン聖のようにイム様が直接憑依して現れるのだと思われる。

衛兵たちがそれをハラルドと認めなかったか、それともハラルドが最期にそう命じたか、ハラルドは衛兵の無数の槍に刺されることになる。
だが、このときのハラルドは不死。いささかの迷いがあるであろう衛兵たちの槍撃でなぞ死ぬはずもない。ハラルドが命を落としたのはもっと別の要因があったはずだ。
そこで、ロキはもちろんだが、僕はここにシャンクスが関わってくると思うね。
この時シャンクスはギャバンの家で語らっていたが、イム様の覇気を感じ取っている。手遅れになる前にハラルドに話さねばならないことがあるそうだし、ロキが今シャンクスを恨みに思っているそもそもの原因だって、8年前に捕まえられたことではなくこのときにある気がしてならない。
さてロキは、そしてシャンクスは、不死身のハラルドをどうやって止めるのか。ヤルル様はどんな経緯で刺されるのか。
そしてエルバフに伝わる禁断の悪魔の実は誰に奪われ、ロックスでさえ求めたその能力とはいったい何だろうか。
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少し余談だが:

1152話で描かれた「禁断の悪魔の実」は宝箱に入っているらしかった。
もしも数百年かそれ以上の長きにわたってエルバフに秘蔵されていたものならば(ってか、悪魔の実って腐らないのかね…)、巨人サイズの宝箱に入っていると考えるのが妥当。
であるならば、床の石材と宝箱の大きさから察するに、この人物は巨人だ。人間ではない。
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そしてここでひとつ素朴な疑問だ。
エルバフに伝わる禁断の悪魔の実は巨大なんだろうか。
我々がこれまで見てきた数々の悪魔の実は人間サイズのマスクメロンひと玉分くらいの大きさをしていた。
だがそれだと巨人には仁丹ひと粒くらいの大きさしかあるまい。古代巨人族ならばなお然り。
体に対して果実がいかに小さかろうが、ひと口食べれば能力者となることは間違いなかろうが、それを恭しくしまっておくには、ちょっと宝箱がデカすぎないか。
ロックス曰く、この悪魔の実はハラルドが食ってこそ力を発揮するらしい。
「悪魔の実」はそれぞれ相応しい者に食べられる特性でもあるかのような傾向がある。
ならば、巨人族が保管し、食うに相応しい大きさや形状をしてるってことはないだろうか。
エルバフ禁断の「悪魔の実」とはいったい・・・
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ところで、今回のサブタイトルは「エルバフの雪」。
今回「雪」は、イーダが息を引き取ったその日に雪が降っていた。

身体の大きさを武器に、短絡的に「暴力」にまかせることを疑いもしなかった巨人族の意識に革命をもたらしたのはハラルドの熱意と行動力だが、その要因はイーダとの出逢いである。
ゆっくりとしかし確実にエルバフに浸透した利他と融和の精神は、世界中の人間が持つ巨人族のイメージをも次第に変えた。
「雪」は静かに降り積もり、景色を真っ白に一変させる。心の荒んだエルバフという荒野を美しい景色に変えたイーダを象徴しているのだと僕は思った。(ぜんぜん違ったらスマン