ONEPIECE 1169「一刻も早く死ななくては」
あと一歩で世界政府への正式加盟を認められる・・・。
安堵したハラルドを待ち受けていたのは、なんとも残酷な結論だった。
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イム様から突きつけられた最後の条件とは
巨人たちに「政府の“戦闘奴隷”となれ」というもの。
“もう戦わないエルバフ”を目指してきたハラルドには到底承服することはできなかったが、異を唱えても意味はなく、イム様の命令は強制執行される。

自分の身体が考える通りに動かない。いずれまともに考えることもできなくなるだろう。
このままイム様の傀儡である自分が王で居続けるなら、いや存在するだけで、エルバフの民を片っ端から戦奴に貶めることになる。

「政府の奴隷にされる」とは、かつてロックスに指摘されたまさにそのままだが、まさか強制的にそれが行われるとは思ってもみなかったのである。
ハラルドは、イム様がはじめから自分の希望を飲む気が無かったことを、ようやく理解した。
愚かなことをした。壮大な夢を全国民に語ったが、すべては政府の掌の上だった。希望を捨てずに悩んで苦しんで行ってきたすべてが露と消える。いや、消えるだけならまだいい。今ハラルドは自身の思いとは無関係に「エルバフ」を政府に差し出そうとしているのだ。

それに抵抗するには、もはや自分が死ぬ以外にない。
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しかし少し遅かったようだ。

“深海契約”を交わしてしまった今、ハラルドの肉体は不死。衛兵たちでは何人束になろうとも止めることはできない。このままでは、邪悪な不死の肉体が強力な力でエルバフ全土を蹂躙することになる。
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頼みの綱はヤルル様とロキ。
ふたりに真実と現状を理解してもらい、対応策と事後処理を実行させる。時間はもうない。
聡明で思慮深く国民への影響力が大きいヤルル様にしか託せない。そしてハラルドを殺して止めることは、ロキにしかできないのだ。

ロキは“エルバフの秘宝”を食い、その力でハラルドを殺せ。そしてその後はロキが王座に就き、ハラルドが行った愚かしい行いを批判して民心を掴め。自分の評価など地に落ちても構わない。大切なのは「エルバフ」の未来なのだ。

そう告げると、ハラルドの意識は「イム様の忠実な臣下」に切り替わった。
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シャンクスによると

神の騎士団が契約で得るものは「超筋力」「不死の肉体」「五芒星アビスでの移動」。
「浅海契約」だけでもイム様の能力圏では逆らえなくなるところを、「深海契約」では世界のどこにいてもイム様の命令が届き、背くことはできないのだそうだ。
「ハラルドがイム様の言いなりになってしまう危険性」を伝える必要をシャンクスは感じていた。
聖地から失踪した直後だし「急いで忠告しなければ」とそれを第一の目的にエルバフにやってきたかどうかは分からないが、まさかそう話している最中に危惧していた最悪の事態に直面するとは思わなかっただろう。
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暴れはじめた闇ハラルドは、王としての国民からの信頼を引き続き利用するため、今起きたことを目撃した者を皆殺しにするつもりだ。

ヤルル様の頭に剣を突き立て、“エルバフの秘宝”たる「悪魔の実」を自ら食すためロキを追う闇ハラルド。
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そこへ、ただならぬ覇気を察知して駆けつけたギャバンとシャンクスがハラルドを制止する。

先程のシャンクスの説明で、事態を即座に理解したらしい。シャンクスは苦悶の表情で、説得が間に合わなかったことを悔いているようにも見える。
今ここで左腕を切り落としてもダメなんだろうか・・・。
たとえば、左腕を切断することでイム様との繋がりが一時的に途絶え、身体の再生が遅くなるなどするならば、倒す糸口が見えるだろう。
そして後日、シャンクスが自身の左腕を疎ましく思う理由にもなるかもしれない。
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その頃、宝物庫(?)へたどり着いたロキに

急に襲いかかってきたのは、なんと“鉄雷ラグニル”。
ロキは「うわァ!誰だ!!?」と驚いているが、ラグニルを持ち上げて振るえる者はそういない。
「誰か」ではなく、ラグニルそのものが意思を持ち襲ってきた(または逃げ出そうとした)可能性が高い。となると、“鉄雷ラグニル”は悪魔の実を食った鎚なのかもしれないな。
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ところで余談だが:
頭に剣が刺さったヤルル様を見つけたギャバンとシャンクス。
驚くギャバンにヤルルは「大丈夫」だと告げたが、あんた・・・

「兜がなければ即死だった」
そのセリフはシャアの声でシャンクスに云わせたりぃや・・・と思った僕です。