ONEPIECE 1171「鉄雷“ラグニル”」

決着。
神(悪魔)の力を得、人の心を失くしたハラルドの暴走は、ロキの手で止められた。
イム様との深海契約により、傷ついても再生を繰り返す“不死身の肉体”を手に入れた巨人族の王を死に至らしめることができたことは、世界政府による社会構造を訝しく思い神の騎士団を脅威に感ずる者たちにとっては、ある意味僥倖といえるかもしれない。

しかしロキを筆頭にエルバフの民にとって失ったものは甚だ大きく、血筋のせいで責任を感じるシャンクスにとっても心中は穏やかではいられない。
ハラルドは純粋すぎた。
若く蒙昧なまま王座に就いたため、イーダを通して見聞した“世界”があまりに広く眩しく、そこにあたりまえに共存できない歴史を自ら積み上げてきたエルバフを本気で改革しようとした。
そして、いつの間にか“親友”と呼べる間柄になっていたロックスの助力要請を、個人の感情と国の行く末を秤にかけて「泥舟に乗れない」と退けた結果のロックスの非業の死と、彼をまばゆい世界へといざなったイーダの死を受け、選んだ道をもはや戻ってやり直すことができなくなってしまったのである。
巨人族の寿命は長い。
もっと長期計画でゆっくりと歩を進めれば良かった。ハラルドは急ぎすぎたのかもしれない。だが、もうそれも云っても詮無きことだ。
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ロキはハラルドの遺言に背き、エルバフとハラルドの尊厳を護ることを選択した。

まぁ… 国民に真実を告げようとも、ハラルドの望み通りにロキがエルバフの民を統率するのは容易ではないし、実際向いてない。他人に疎まれるのは慣れているのでラクな方を選んだとも考えられるが、何より名誉を重んじるエルバフの王子が、父殺しの不名誉な悪名を背負ってでも仇敵を倒す野望に目覚めた瞬間である。
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うん。
すると、ここでひとつ大きな謎が。
ロキは、6年前に海で暴れていたところをシャンクスに取り押さえられて以来、ルフィと巡り合う現在まで冥界に囚われていたという。
この事件の真相を知るシャンクスが、なぜ事情を知らぬエルバフの民にロキを“下手人”として引き渡したのだろうか。
前述のとおり、シャンクスは自らの血筋と、ハラルドと同時に騎士の座を競っていた立場として、実質的な責任の有無はともかく自責の念にかられている。普通なら考えられない行動だ。
そして同じく事情を知っているヤルル様とギャバンもまた、ロキが囚えられていることを放置してきた。これはもう、シャンクスとロキの間で何か考えがあって、ロキをエルバフに戻すことにしたとしか考えられない。
では二者の間に仮に合意があったとして、なぜロキはシャンクスを恨みに思っているのか。そういう設定フリなのだろうか。それともロキにとっていささか分の悪い取り決めだったからだろうか。
ロキがシャンクスの居場所を知っているというのが事実なのであれば、14年前から6年前までの間に両者は親交を深め、つい先日シャンクスが会いに来た「互いに死んだと思ってた旧友」がロキのことである可能性が再浮上するな。
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ロキとヤルル様以外にも生き残った兵がいた事は驚きだった。

厳に箝口令を徹底するため、ロキは残存兵を連れて海へ出たそうだ。ロキの罪状には113名の兵士を殺したことも数えられていたが、事件の真相を目撃しながらロキとともに外海へ出た兵たちもこれに含まれているはずだ。
生存者がいたなら当然証言を求められる。また ロキと一緒に海へ出たことが発覚すればロキ単独犯説の信憑性が揺らいでしまうので、ヤルル様は「ほかに生存者なし、ロキは逃げた」と伝えたに違いない。
彼らが道中「やはりロキとはやっていけない」と考えれば、国に戻る者や単身外海で他のエルバフの民に遭遇することもあったはずだが、そんな事実はない。
となれば、彼らは全員ロキとともに居るか、すでに全滅したかのいずれかだろう。
この6年、ロキがずっと冥界に囚われていて、彼らが姿を現さないのだから、6年前に“なにか”事件か事故がありロキ以外は死亡したんじゃないだろうか。たとえば、そこでシャンクスと遭遇して瀕死のロキに“なにか”提案したのかもしれないな。不本意ながらそれに従うしかなかったため、ロキはシャンクスのことを恨みに思っているんだったりして・・・。
う〜ん・・・
やっぱり「互いに死んだと思ってた」ってのが腑に落ちないなぁ・・・
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ところで、
純粋すぎたハラルドは、イム様にとっても特別の存在だった。

先天的に戦を求める武の権化。そこに秘められた崇高な魂。本来エルバフが他種族に迎合することなどなかった。しかし特異点たるハラルドの出現に欲を出したものの、イム様にとって望む結果とはならなかった。

「エルバフ」は“D”である…!! あぁ…そうなんや…
考えを改めた… というか本来の関係性を思い出したイム様は、エルバフへの食指を納めた ・・・はずだった。
そのイム様が、今またエルバフを配下にせんと進撃を開始してきた。
相容れない存在なのに? “D”なのに?
ベガパンクの告発やマザーフレイムの実用化、そして近々起こると予想される“世界を分かつ大きな戦争”に向けて、世界政府にとっても14年前とは事情が違うということか。
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ともあれ

かくしてロキとハイルディンは和解。

そこへ落ちてきたキリンガムのMUMA“火死人ドラウグル”
陽界は今大変なことになっているとチョッパーからあらためて聞かされ、一行は陽界へと急ぐ。
解き放たれたロキは、さっきまで死にそうな重症だったとは思えない回復を見せ、自由になれたことに歓喜する。腕が鳴る。上層に神の騎士団が待っているのならなおさらだ。
まずは小手調べとばかりに“ラグニル”を振りかぶったロキの攻撃は

「原初世界ニブルヘイム」
※北欧神話関連の用語は皆さん各々で調べてね。
なんと凍てつく一撃。
“鉄雷ラグニル”って名前だけど、殴って雷落とすだけじゃなかった。
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敵は超巨大だが、こいつは頼もしい。

ロキは自力で「飛んで」陽界へ登るとのことなので、近い話数のうちに悪魔の実の変身態も見れそうだ。
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ところで・・・以前も書いたと思うんだが
城内に現在も放置された夥しい死体の山に、激しく違和感を覚えるのよ。
ある時代には世界中を恐怖の底に落とした「勇ましく戦い、潔く散ってナンボ」の戦闘民族なので、ひと山いくらの雑兵の死をいちいち弔う習慣がなかったのかもしれないが、なんといってもここは王城だ。
死体を放置すれば野生動物がやって来る、腐敗臭も酷かっただろうし、最悪疫病が発生しかねない。離れ孤島や山奥ならばいざ知らず、これを「放置しても仕方なし」としてよい理由は何ひとつない。死んだとされる兵の家族からだって問い合わせがあったろうし、ヤルル様は国民にどんな言い訳をしてアウルスト城をそのまま閉鎖封印したんだろう。
たとえ死んだ戦士を弔う風習がなかったとて、国民に愛されてる王が無惨に殺されたんだから、それを悼む儀式などなにもなかったというのか。
ハラルドの死体も城内に残されたままなのか? それともハラルドの死体だけ荼毘に付されたのか? なんかおかしくね?
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あとさぁ・・・
深海契約の詳細を知りながら、アウルスト城の五芒星アビスをそのままにしてたのって、これ明らかにシャンクスの落ち度なんじゃね?
五芒星を消すなり破壊するなりできてたら、今回シャムロックと軍子が飛んでくることできなかったんだろ? まぁ、船で来たかもしれんけど・・・
なんか、モヤモヤするわ・・・。