新作「デビルマン」
秋にイベント上映されるらしい新作アニメが製作中だという。
なんだ・・・TVじゃないのか。
マジンガーZ、ゲッターロボ、キューティハニー、
鋼鉄ジーグにドロロンえん魔くんetc…と、
時代の節目に幾度と無くリメイクされてきた永井豪関連作品。
それらを新解釈で作り直すと、
行き着く先にほぼ必ず待っているのが「デビルマンの世界」。
永井豪作品のまさに集大成ともいえる、あのデビルマンが帰ってくる。
タイトルロゴからは、
僕の好物である「原作準拠」リメイクである可能性が伺える。
しかし、
たとえば「ジョジョの奇妙な冒険」のように
セリフやキャラの立ち居振る舞いいちいちに原作らしさを求めるのであれば
このビジュアルの目元と口元は、どちらかというとTVアニメ(’72年)寄りだし、
原作コミックを今風にアニメ化する、というのであれば
1987年の「誕生編」、1990年の「妖鳥死麗濡編」がすでにある。
件のOVAはファンが多く、長らく続編が作られることが望まれていたし
あれから25年が経過しているため改めて「今風にする」価値がないとは言わないが
小松原一男亡き今、この企画を続ける価値はきわめて低い。
今度の作品はどういったアプローチを見せてくれるのか
斜に構えても仕方ないので、とりあえずは楽しみにしてみる。
いつも重箱の隅を突っついてはイチャモンを付けてばかりの僕が
なぜ斜に構えても仕方ないかというと、
デビルマンとは、そういう作品だからだ。
僕個人の印象では、永井豪は優れたアイデアマンで、
描きたい創作が常に脳に溢れて2本の腕、1日24時間では足りない人。
未完のまま終わったり、休載したままになる作品が多いのは、
物語が途中で破綻したり、その作品への情熱を失うからではなく
次の創作へのアイデアが沸きすぎて、
集中力を欠いてしまうからではないかと考えている。
そんな永井豪が、何度も何度もパラレルワールドの終着点にデビルマンを選んでいるのは
デビルマンの世界観とキャラクターを使えば、何にでも無理やり辻褄を合わせられる
という側面も否定はしないが、
永井豪本人が「デビルマン」という作品をまだまだ描き切っていない、
という強迫観念にも似た責任を負い続けているからなのだと思う。
しかし、
無数に存在するパラレルワールドとデビルマン世界を繋げたところで
それは無限に、されど横に浅く広がっているに過ぎず、
「デビルマン」という作品にさらなる縦の広がりや奥深さを与えることにはならない。
つまり、永井豪自身「デビルマン」を終わらせたがっているものの
今の手法でどんな新たなデビルマンを描こうとも
永井豪本人が満足する結末は決して迎えることはできないのだ。
ってか、
無理やり話数短縮で連載を終わらされたとはいえ
命を削って昇華させた原作全5巻で完結してますから。(あくまで私見です
いったい何に取り憑かれてんだかわからないけど
それ以後の「新」とか「愛蔵版」「改訂版」の加筆とか全部蛇足ですから。(私見です
しかし、ここまで来たら今更「やっぱりあれで終わっていた」とは言えないだろうし
永井豪が望まずとも、
有名作品の名を借りて金儲けをしようと目論む輩もいるだろう。
こうまで大きくなったコンテンツは、もはや作者一人だけのものではないのだ。
今後も様々なメディア、形態、手法で新たなデビルマンが出てくるはずだ。
で、話は戻るが
僕は、本作もそのような作品の一つだろうと考えているので過度な期待はしない。
適度な期待をしつつ、発表の形態や、製作陣の面子など
新たな情報を待ちたいと思う。とりあえずは楽しみだ。