ONEPEACE 1162「G・V・B・R」

サブタイトルの「G・V・B・R」は「ゴッドバレーバトルロワイヤル」のこと。
バトルロワイヤル(Battle Royal)とは、
多数の個人や勢力が生き残りを賭けて戦う構図。そもそもはプロレスのマッチメイクのスタイルだが、昨今ではより広義のデスゲームの様式を指すことが多い。ま、バトルロワイヤルという英仏混在の造語が使われている点から、後者の意味を色濃く感じるかな。
今この混沌の中、当初の想定通りに行動できている者がいったい何人居るのだろうか。
ただ娯楽(狩り)のために集まった天竜人たち。理不尽にもその狩りの標的と一方的に決められたゴッドバレーの民・奴隷・デービーの一族。
妻子を救出しにきたロックス。狩りの景品である財宝を狙うロックス海賊団の面々。シャッキーを解放するために来たロジャー海賊団。
天竜人を保護しなければならない海軍・神の騎士団。奴隷の身分から逃げ出したいイワンコフやくま。双子の赤ん坊の運命を託されてしまったドラゴン。ロジャーを迎え撃つために来たが島の惨状に怒り心頭のガープ。
イベントのお目付け役として来ていたサターン聖とそして…
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逃げる者、追う者、求める者、攻める者… 様々な勢力のそれぞれの思惑が交錯するなか、今回のキモは大きくふたつ。
まずひとつ目は、ロックス。
ロックスは妻:エリス・息子:ティーチと出会えたものの、追われていた。
ロックスは、ティーチを抱きしめたエリスを担ぎ、腕一本で抵抗しながら逃走。追っ手はガーリング聖と神の騎士団がもうひとり、そして…
悪魔に「反転?」させられたデービー一族たち。ロックスの肉親も含まれていることから、エリスとティーチを救い出す際にデービーの一族も解放し、共に逃げていたのだろう。
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ちなみに、現在のデービー一族は海賊ではないらしい。これはおそらく、世を忍び隠れて暮らす必要があるため。
デービー一族が、過去に何をしたことで天竜人から忌み嫌われているのか分からないが、ロックスのような強さや野心を持つ者は、一族に永らく現れなかったのだと思われる。
エリスは、デービー一族ではなかったが、ロックスと愛し合い子をもうけたことで、一族と運命を共にする覚悟を持つようになっていた。
そして、悪魔化した身内に襲われるこの悲惨な状況を逃げるしかないロックスに、檄を飛ばした。
なんとも気骨のある女性だ。
エリスはロックスにただ利用されているのでは、と僕は考えていたので、これは意外だった。
エリスの覚悟を受け、肝を括ったロックスは強い。向かってくる一族の身内共々、追っ手のガーリング聖を撃退した。
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さて、
挟まれた者をどんどん悪魔に反転させるこの技は、1150話で軍子に憑依したイム様が使ってた「黒転支配ドミ・リバーシ」。
そのときは、まずイム軍子が魔導書のようなものから銃と剣を出し、ブロギーを傷つけた後、魔法陣を敷いて「悪魔契約アー・クワール」を授けていた。ドリーも同様に「悪魔契約」されていたが、こちらは腕を切り落とされたりはなかったので、「魔導書から銃と剣」のくだりは必須ではないのかもしれない。
その後は、このふたりの間に挟まれる形で立っていた者が自動的に悪魔化していった。
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では、今回は最初のふたりに「悪魔契約」を授けたのはいったい誰なのか。
“五老星”や“神の騎士団”のように、イム様の何らかの加護を受けた者なら誰でもできることなのかもしれないが、今回は、大人しく平和に生きてきたであろうデービー一族の精神のタガを外そうとも、すでに尽きそうな寿命を力に変換しようとも、ロックスを圧倒するほどの戦力にはならなかったということだろうか。
そして、エリスの激を受けて一族への情を切り捨てたロックスは、おそらくもう彼らを元に戻す術はないと知っていたのだろう。
その証拠に
突如ゴッドバレーに顕現した禍々しい覇気の正体を、どうやらロックスは知っているのである。
事態が信じられないガープ、信じられない“それ”にワクワクするロジャーを余所に、ロックスは“それ”が何であるかを一言に要約してみせた。
「あれが何か…」
「さしずめ…あれは」「世界!」
それこそが、今回のもうひとつのキモ。サターン聖に憑依したイム様(…のようだ)
イム様は、ロックスの始末が不明瞭で、仮にロックスを消したとて新しい何かを生み出しそうな危うさを感じる、というサターン聖の危惧を現実のものとさせないために、わざわざ出張ってきたのだ。
※こんなことがホイホイできるんなら、エッグヘッドにも来ればよかったのにね…
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さて、
ここまで戦力が集まってくると、ガープとロジャーが手を組みロックスを倒した、という話が、僕には「マユツバ」に感じられてならない。
それぞれにロックスを倒す理由はあるけど、それ今しないといけない事かな…。
ロジャーにとってはいつでもいいだろうし、天竜人の人間狩りを知らされていなかったガープがこのタイミングで天竜人の頂点を垣間見て、素直に命令に従うとも考えにくい。確かにセンゴクは「ふたりがロックスを倒した」とは云っていないけどな…
アラバスタ事変でのスモーカーのように、手柄と名誉をゲタ履かせられたのだとしても、ロジャーと協力したことにあえてする意味があるだろうか。
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ロックスは誰に倒される? いや、そもそも本当にここで今倒されるのか?
シャンクス(と思われる赤子)のゆくえは?
バギーはどこでロジャーたちと合流するのか?
てんこ盛りすぎて、目が離せなくなってきたぞ!
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あと余談だが:
レイリーがシャッキーに「言っておかなきゃならないこと」って何だろう…。
「君を愛しているが、所帯を構えてひとところに収まる事は、おれにはできない」的なことかなぁ…
で、シャッキーとしては「束縛するつもりはないの、気持ちを知れただけでわたしは幸せよ」的な…?