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我思う故に・・・新館

ONEPIECE 982「無礼者 meets 無礼者」

 




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モモの助を連れて、ようやくオロチの元に辿り着いたカン十郎。

カイドウは、オロチが光月家にスパイを送り込んでいることは知っていたが、その正体がおでんの筆頭家臣とは思いもしなかったし、20年前から時を超えてきたことも信じていなかったらしい。
800年前からトキトキの実の能力者はずっとトキ。トキはおそらく「トキトキ」の能力を自分が未来に飛ぶ以外には使ってこなかっただろうから、その実の詳細が人の目に触れることはなかっただろう。800年生きている疑いがあるカイドウ(そういう説があるんだよ)ですら、そんなチート能力を信じられなくても不思議ではないわな。


筆頭家臣のカン十郎が何も聞いていないのなら「ラフテル」への手がかりは伝えられていない云々…これが、光月の生き残りに聞きたい事ができたので殺すな、と言っていたことに通じるのであれば、もう少し深い問題を想定した分少々がっかりだ。
カイドウは、光月の家臣たちがおでんから継承されたであろう、ラフテルの情報を欲していた。

だが、殺すなと言われていたにも関わらず、オロチが殺す気マンマンだったのは、おでんが家臣に何かを伝えたならカン十郎から知ることができるはずで、それがないということは、なんの情報もおでんから聞いていないことを意味している。であるなら、もはや赤鞘の侍たちを生かしておく意味もないと考えたのだろう。
すでにモモの助が(おそらく日和も)手の内にあるしな。


おでんは、ロジャーとの旅で知った世界の歴史とワノ国の役割、そしてラフテルに秘められた謎を本当に誰にも話さなかったのか。
僕が引っかかるのは、おでんがカン十郎の正体に気づいていたかどうかである。


おでんの手記に「カン十郎はむかし迫害を受けていた様だが自業自得だ」という記述がある。これが、カン十郎の産まれが「黒墨家」であることを意味していたのかどうか。

もし「自業自得だ」が、将軍家に弓を引いた国家反逆者の孫だから、という意味だったのであれば、おでんはカン十郎の素性を知っていたことになる。

完璧に「役」をこなしているカン十郎が自らおでんに素性を明かしたとは考えにくいので、おでんが自分でカン十郎の素性に気づき、しかしそれをも受け入れる大きな器の持ち主だったというのは十分考えられる話。

971話のレビューに書いたように、人権思想や法整備が未熟な武家社会であれば、唯一絶対権力者に仇なす者は一族郎党処分されるのが当たり前。罪を犯した本人が裁きを受けとうに死んでいたとしても、孫子の代まで罪人扱いされるのは仕方のない世の中、そういう国のシステムなのだ。
しかし…
「自業自得」という言葉は、あくまで個人の責任について言及されることで、国家の決め事として、また国民の普通の意識として、「黒墨だから」という理由は、古臭く窮屈なワノ国の在り様に不満を感じていたおでんにとって「自業自得」という言葉が適切だったとは僕には思えないのだ。

もし正体を知っていたなら、ワノ国に帰国してオロチの企みを知ったおでんが、カン十郎だけには重要な情報を伝えないことは可能だが、赤鞘たちの間の会話で知ってしまえば意味がないので、錦えもんたちにもカン十郎の正体を明かす前提でない限り、赤鞘の侍たちがおでんから聞かされた情報は等しいと考えていいだろう。
先日のカン十郎の衝撃の激白を聞いた反応を見た限りでは、錦えもんたちはカン十郎の正体を知らなかった可能性が高いしな。
「おでんはカン十郎の正体を知らなかった」この方が僕としては納得できる。

ラフテルの情報など残さない。もはや「開国」以上は望まない。そしてワノ国を開国するその糸口は20年後にある。「開国」さえすることが叶えば、そののち起きる「天下を分かつ大戦」で世界は良き方へ向かう。それが、光月おでんの「受け継がれるべき意志」なのだろう。


〜 閑話休題 〜



カン十郎にボコボコにされたモモの助。縄を切って逃げようとしたから、動けなくなるまで打ち据えた、とのことだが…

「僕はかなり前からカン十郎が怪しいと思ってた!ドヤァ」とか言っておきながら今さらナンだが… ここに来て、カン十郎がオロチを欺くためにあえてモモの助をボコった可能性(すなわちカン十郎二重スパイ説)が、僕の中でちょっとばかり浮上してきた。(なんだかなぁ…

はじめから二重スパイだったなら、あまりにも光月側の被害が大きすぎるので、途中で心変わりしたというなら、まったく無い話ではないかな。…違うと思うけど。

あとね…、カン十郎の報告を受けるまで、オロチは計画の失敗をカケラも心配してなかったみたい。なんとも愚かしい限りだが、カン十郎がもう数十分早く着いていたら、討ち入り組の上陸作戦は困難だったはず。


これをラッキーと思うかご都合主義と捉えるかは難しいところだが、あれだけたくさんの船が着き数千人が下船し、証拠は沈めたとはいえ、それにまるで気づかない御庭番ってどうなん?…って考えたら、福ロクジュもまたオロチに叛逆する機会を窺っていた可能性を、少し疑ってしまうな。

今回は、分かれた勢力の現状報告。あっちへこっちへと慌ただしい。


ビッグ・マム海賊団の船を滝の上から叩き落としたマルコは、ワノ国にもともと駆けつけるつもりだったが、先行したはずのネコマムシの船に追い付いた格好。ネコマムシはイゾウを迎えに行っていたので遅くなったんだろう。イゾウの姿を隠しているのは何か意味があるのかな?

マルコがネコマムシに頼んだ伝言は「遅れるが必ず行く」というものだったそうで、もはや意味を失ったそのメモは海に捨てられた。
この一連の流れには、僕はやや違和感を覚える。

七武海制度の撤廃で、ウィーブルによる白ひげ海賊団残党狩りの脅威がひと段落したので、行きたくても行けなかった状況が好転したのは分かるんだが、意味アリげに描写したわりに「伝言」の中身が普通すぎる。

読者の期待を煽るため、また我々のような考察厨の先読みを欺くために、たいした意味のない布石をいっぱいバラ撒いて、しかしそのさほど重要でもない伏線回収を丁寧にしようとするあまり、結果として蛇足に等しい描写を挟むことになり、拍子抜けしてしまっている気がしてならないのだ。(拍子抜けしてんの、僕だけ…?)


この捨てられたメモが、さらに後々誰かが何かを判断する布石になっているとかであればすごいことだが、おそらくそんなことはないんだろう。


ビッグ・マムが顔を出した東側外周では、ママがブラキオタンクを追い、ナミがプロメテウスに見つかった。しかし、そのおかげで錦えもん率いる侍たちは見つからずに済んだ様だ。



千人規模の後続の侍たちに指示するため、能力者のはずの錦えもんが真っ先に水に飛び込んだらしく、誰かに引き揚げてもらってるな。



西側外周では、傳ジローが狂死郎の顔を使い難なく門を突破。飛び六胞のササキを拘束することにも成功した。


自分の管轄であるはずの遊廓にいなかった飛び六胞のブラックマリアは、カイドウが下したヤマト捜索・連行の指令に従わず、カイドウの傍らに居た。


まぁ、鬼ヶ島に遊廓がなんのためにあるかと考えれば、カイドウと客人を楽しませるために決まってる。となれば、立場的にも、身体の大きさからも、ブラックマリアはカイドウの専属遊女と考えて間違いないだろう。
ササキやフーズ・フーのように実力で「上」を狙うまでもなく、カイドウの覚えがいい立場をすでにキープしているのだから、カイドウが気分良く呑める環境を作る方がブラックマリアとしては重要なんだろう。



その一方で、意外に真面目にヤマト探しに精を出す、うるティ&ページワンの姉弟だったが・・・


出会ってしまった無礼者と無礼者。
今日のこの場は「無礼講」なんだが、いったい何が起きるのか・・・。
ちなみに、無礼講とは「無礼行為も許される場」ではないんだな、これが。

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Comment

  1. 名無しの飲兵衛 より:

    数年前からずっと楽しく拝読してます。カン十郎初登場時から彼を「味方だとは思わない」と見抜いていて、本当に流石だと思いました笑

    確かにこのメモの描写は違和感がありました。何かの伏線だと信じて疑いません。このメモ自体がマルコのビブルカードで作られていて、これを予期せぬ援軍がたまたま拾い、彼らを震源地である鬼ヶ島に導くのかなと妄想してます。

  2. 匿名 より:

    カン十郎、酷い!!酷すぎる!(TT)( *`ω´)
    このどクズが!と言いたくります!画像を見れば分かる様に死亡してないにしろ血が滴るほどの大怪我!これは、コゼット並みかそれ以上かの物!それも、幼い子供だから尚更!!彼のセリフから察するに、縄を切ることには成功し、すぐ逃げようとしたが即捕まりミンチにされたのかな?以前に少し心配と書きましたが皮肉にも的中…。

    雷ぞう曰く“モモの助様、どうかご無事で。”←その思いも虚しく…。これは、赤鞘の誰かが見たら、無論ブチ切れでしょう?きっとコゼットの時にサンジがブチ切れたように誰かしらブチ切れるでしょう?誰がモモの助を助けるのか? 今のところ上手くいってる傳ジローか錦えもん?それとも..?モモの助は、大怪我を負っていて自力ではもう無理でしょうし、時間の問題でしょう。”ギリギリのところで彼を救出!!”となるのかもしれませんが。

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