ONEPIECE 1027「想像を超える危機」
龍は飛ぶんじゃない。
雲を生み出し、雲を掴み、空を駆ける。
その雲の名は「焔雲」。
モモの助がパンクハザードで地下から脱出したときに、すでに描写されていた「焔雲」。
ワンピ世界において「龍」は、生物として備わった機能で飛翔するのではなく、宙に浮かぶ物質を生み出してその浮力・揚力を借りて空中に浮かぶらしい。
西洋のドラゴンならば翼が生えているものが多いので、「飛ぶ」と言われれば納得しやすいものの、東洋の龍の形状で「飛ぶ」と言われても、その原理が気になるのは仕方のないことだ。
ましてや、航空機が存在せず、自然の生き物以外には空を飛ぶことができる能力者も(なぜか)極端に限られている世界においては、飛べるキャラクターを登場させるだけでそれなりの理屈が必要なのだと思う。
じゃあ焔雲はどんな物質で、なんで掴めるのさ?とかいう別の疑問も湧いてくるけどな。
少し余談だが、
空を飛ぶ「龍」の動きとして、僕がまず思い出すのは「まんが日本昔ばなし」のOPと、「千と千尋の神隠し」のハクである。
いずれもワンピの「龍」とは異なる解釈だったと思われ、前者はただひたすらに優美な程に堂々と宙を滑空。そこには理屈など不要だ。
一方、後者はヘビが地を這うように身をくねらせて空を進んでいた。ヘビが腹側の鱗や骨格を器用に伸縮させて前進できるからといって、龍が似た動きで宙を進める説明にはまるでならないのだが、ある種の説得力を持たせようという努力のあとが見て取れる。
まあ所詮は空想上の、しかも民俗的な妖怪レベルでなく人智を軽く超越した神獣がどんな動きをしようとも、「そういうもの」と理解できれば、その作品世界の中ではそれが正解なのだ。
ワンピースでは「龍」は飛ばない。浮遊物質「焔雲」に身をあずけて浮かんでいるのだ。空中で自由自在に動けるのは、思ったところに焔雲を発生させ、加えて、焔雲の挙動をある程度制御することができると考えられるだろう。
カイドウが焔雲を用いて鬼が島を浮かせ、花の都へ向けて移動させていることも、この能力の応用ということだな。
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そもそもこれほどの巨大質量を浮かせて動かすということに無理があったのか、それとも赤鞘、ルフィやヤマトとの激闘を経てカイドウに疲労の色が出ているのか、まぁどっちもあるのだろう。
ヤマトの言では、鬼ヶ島を浮かせ続けるだけの「焔雲」を、カイドウが維持できなくなってきているようにも聞こえるが、これを単に僥倖と受け取ることはできない。
カイドウが、運んできた鬼ヶ島を安全裏に軟着陸させる計画を立てていたとは到底考えにくく、そもそも鬼ヶ島の主要設備を移転させることができれば、下の岩盤がボロボロ崩れようが、落ちた岩盤の破片が何に当たろうが、そんなことを気にするとは思えない。
さらに鬼ヶ島には大量の火薬や兵器が蓄えられていて、島の落下は巨大な爆弾が炸裂することに等しい。
カイドウを倒せる唯一の希望:ルフィは「カイドウに必ず勝つ!」と言ったし、その機会も今しかない。しかしルフィがカイドウを倒すと、焔雲が効力を失い鬼ヶ島が落下する。そうなれば、敵も味方も何も知らない都の民も全滅の大惨事だ。
ルフィがカイドウを倒すことは大前提として、同時に鬼ヶ島を「なんとか」しなければならないのだ。
鬼ヶ島を「なんとか」する。
大量の火薬や武器があるため、島を破壊したり吹き飛ばすことはできない。となると、島を今より強力に浮かせて、安定させる以外に方法はなさそうだ。
「焔雲」の存在を知ったばかりのモモの助は自信がない。しかしそれができるのは、カイドウの他にはモモの助しかいないのだ。
ルフィもモモの助を信じて期待しているのはそこだ。前回「戦いに来たんじゃない」と言ったときには一瞬「は?」と思ったが、モモの助自身も鬼ヶ島を止めるその為に大人になったはずだ。
まぁとにかく、四の五の言わずにやってみてから泣き言言おうか。
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一方その頃、
本気を出したキングがゾロを圧していた。マスクを傷つけられてブチ切れたとか。
マリージョアが作られるよりもずっと昔、赤い壁のその上に「神の国」を作り住んでいた「発火」する種族。キングは「ルナーリア族」というその古の種族の生き残りらしい。
「神の国」とは、人を超えた超常の力を持つ彼らを讃えて、下々の一般人が言ったのかもしれない。だとすれば、自らを「神」と名乗った傲慢な種族だったとは限らない。
彼らが滅んだ(とされた)後に、自らを「神」と名乗ってその地にマリージョアを作ったのが天竜人だとしたら、彼らは「空白の100年」頃に後に世界貴族を名乗る十の王家に一方的に殲滅させられた可能性があり、だとすれば、天竜人と敵対する存在なのかもしれない。「ルナーリア」って名前は月に関係ありそうだしな。
ちょっと、ただ倒して終わりというわけにはいかなくなってきたんじゃないの?
以前、僕はキングの炎は能力や装備ではなく自前の体質で、全身を覆うレザー調の衣装はその炎を押し留めるため、もしくは自身の炎で焼けただれた皮膚を隠しているのではないか、と書いたことがあるが、そこらへんも併せて、近々明らかになりそう。
各々必殺技の応酬で、マスクを傷つけただけでブチ切れたキングの素顔がチラリと・・・
破損したマスクから覗く素顔には、有色の肌に刺青と、明るい色の直毛の髪が確認できる。青すじが浮いているのか、はたまた焼けただれているのかは、これだけではまだ分からん。
海に蹴落とされそうになったことを、「正々堂々と剣で勝負しやがれ」とばかりに激怒したゾロ。相手が常に真面目だったり誇りを持っていたりするとは限らないことは、これまでの冒険でよく理解しているはずだ。「許さん」のセリフはなんとも空々しいが、これはおそらく、キングに「貴様もな…!」と言わせるための仕掛け。
Comment
浮かんでる鬼ヶ島が完全にラピュタですね。
「剣で死なせろ」ってセリフに違和感…
ゾロそんなこと言うかなと思ったのと
その前にクリアランスとか槍をイメージした技だしてるし、
キングの「貴様もな」て会話成立してない気がした…
最後のページは悪い意味で色々気になりました
違和感ありましたねぇ。
次号この続きを読んで納得できるならいいんですけどね・・・
貴様もな・・・、??
日本語としてやりとりおかしくないですか??
「許さん」「貴様も許さん」ということだと思います。
だからゾロの「許さん」が無理やりっぽく感じたんですよね