ONEPIECE 1167「イーダの息子」
巨人族の変わらぬ凶暴性への対策に限界を感じ、世界政府になりふり構わぬ恭順を示したハラルドは以後、世界政府に仇なす(主に)海賊船を霧に紛れて狩りまくった。

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ゴッドバレー事件から5年経つ頃には、その脅威が「偉大なる航路」中で噂されるほど人々に恐怖を与え、さらに10年近い年月を経てそれは「成果」として五老星に評価された。

「浅海契約」…
政府の正規の“神の騎士”となる第一段階。
五老星に直接の謁見を許され、権威のシンボルを身につけることを許され、“神の騎士団”の正規の団員たちと席を同じくすることも認められた。
目の前にこれまでより太いニンジンがぶら下げられただけのように思えなくもないが、

エルバフが世界政府の正式加盟国となる道筋として、もはや政府の走狗となっていたハラルドにとっては、この上ない光栄だったのだ。
その頃、不可能といわれていた世界一周をロジャー海賊団が成し遂げ、捕らえられたロジャーの公開処刑は、世界政府の思惑から反れ「大海賊時代」の到来を招いてしまった。
そんな背景から世界中の海の秩序を守る力の大幅な増強が必要となり、自らの存在を公に顕示することもなく政府のいいなりに馬車馬のごとく働く「巨人族の王」に“飴”を与えることが得策と考えられたものと推察する。
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今から15年前、フィッシャー・タイガーによる“聖地襲撃事件”が起こり、マリージョアがその後対応に慌ただしかった頃、ハラルドはガーリング聖からある男を紹介された。

訳あって生き別れになっていたシャンクスである。
ハラルドはシャンクスの顔に憶えがあったが、当のシャンクスの人となりはハラルドの記憶とはほど遠かったようだ。

意外や意外。シャンクスは海賊に拾われ育ったこれまでの人生を「棒に振った」と喩え、シャムロックとも仲良く(?)振る舞い、天竜人であること“神の騎士”になることに前向きであるかのようだ。
このときのシャンクスは、ロジャー海賊団での思い出を忌み嫌っているかのようだが、僕にはそれが本心とはとても思えない。
単純にそう思いたくないということもあるが、この6年後にエルバフでギャバンと再会したときや現在のシャンクスを見ても、当時を忌み事とする片鱗も思わせないからだ。

また、タイガーの“聖地襲撃事件”のさなか、タイガーを武器庫に誘導した人物が、シルエットや隠れた左目・持ってる剣などからシャンクスである疑いが強く、聖地のことを詳しく知ろうとしていることも含めて、政府のより深部まで入り込もうという作為的な意志を感じざるを得ないわな。

ハラルドが貰って喜んでた「神の手先の刻印」のヤバさに気付いて潜入捜査を切り上げることになるのかもね。
「マークがないと五芒星アビスを潜れない」ってのが「刻印を通してイム様の加護を受けている」という意味で、軍子宮やサターン聖のように刻印のある者をイム様が操れるとかなら、ハラルドの謎の死にも、シャンクスが最弱の海で左腕を失ったことにも説明がつく気がする。

この素っ気ない“初対面”とは裏腹に、シャンクスは後にハラルドと「少し仲良くしてた」と云った。どういうテイストで“仲良く”していたのか、素を明かしたのかそれとも仮面を被ったままだったのか、非常に気になるところだな。
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このときのシャンクスの顔のケガはまず間違いなく「アレ」だろう。

経緯は分からないが聖地に戻ってから傷ついたとは考えにくいので、これまでずっと明かされていなかったシャンクスの顔の傷ができたのがこの年、15年前だったことが分かる。
このあとシャンクスは14年前にエルバフでギャバンと旧交を温め、12年前にはルフィと出会い左腕を失うのだ。
ってことは、そう。ハラルドが死ぬのはもう翌年だ。
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一方、

ハラルドが聖地や外海で忙しくしていたその頃、エルバフではイーダが謎の病に臥せっていた。
村の医者には手に負えない病状で、だがハラルドの仕事の邪魔をしたくないからと、イーダはハラルドに知らせることをすら拒んだ。

実はその病は仕組まれたもので、ロキの実母:エストリッダの一族の者が地位や財産惜しさにイーダの暗殺を謀ったのだった。

ロキは怒る・・・。
ロキは実母に嫌われ捨てられたことを知っていた。それもただ「捨てられた」のではなく“冥界”に物理的に「投げ捨てられた」ことを。いや知っていたのではなく、憶えていたのだという。
にわかに信じ難いが、首も座らないはずの生後数時間で断崖絶壁をよじ登ってきたロキならば、そんなこともあるのかもしれない。
ともかく、ロキにとってエストリッダは断じて“母”ではなかった。世間的には常軌を逸したならず者であるロキに唯一慈愛の心を寄せてくれたイーダ以外に、“母”と呼べる存在などいなかったのだ。
おそらくロキ自身もこの感情を今はじめて強く感じているのだろう。イーダから寄せられる愛情がこれほど自分にとって大切なものだったことに、これまで気づいていなかったからこそ、突然それを失うかもしれない事態に激しく動揺し、怒りを顕にしたのだ。
イーダの命はもうあと1年も保たないだろう。ハラルドは自分の身内が招いたこの内乱をどう受け止めるのだろうか・・・。
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ところで、ハラルドはシャンクスをいつどこで見たのだろう。
まさかゴッドバレー近海で赤子の二人を見たとかではないだろうし、僕の記憶に該当しそうな出来事はない。なにか重要な邂逅イベントがまだ描かれていないのかもしれない。
シャンクスは思うところがあって真意を隠してマリージョアに“戻って”きたようなので、そこへ至るためになにか騒動を起こした可能性はあるかな。直前にティーチと諍いを起こしているようだし、そこらへんにハラルドが絡んでくるとも思えないが・・・はて?
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あとね・・・
ロキと電伝虫で話してた「モサ公」が誰だか分かったかも。

20年前に魚人島を訪れたハラルドは、ネプチューン王と友の杯を交わす。その際ネプチューンから「4年後に授かると占われた娘をロキの許婚にしよう」と提案された。

お前のモサモサした娘の未来に乾杯

会ったことないけど何の因果か長いことダチ
だというなら、親同士の縁で引き合わされた(会ってないけど)しらほしが電伝虫の相手の可能性がある。
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正直やられた。

通話の向こうが女性だとは僕は1ミリも考えていなかったが、それがしらほしだと思って読んでみると、なるほど言葉遣いも確かにそれっぽいし、

ロキを名前で呼ぶ際の敬称が意図的に隠されているのも気になる。しらほしなら「ロキさま」と呼びそうだが、(あくまで僕の)第一印象でのモサ公は「ロキさま」とは呼ばないからな。
それではモサ公が「思い出すと今でも震えが止まらない“恐怖体験”」とは何か。
それがしらほしだったなら、今年のホーディ・ジョーンズによる魚人島乗っ取り計画か、10年前のオトヒメ王妃暗殺か、はたまたバンダー・デッケンのラブレター攻撃か。う〜ん… いずれも克服してそうだけどなぁ・・・。
恐怖体験の根源となった相手は「取り逃がした」そうなので、ホーディもデッケンも該当しない。ルフィたちが魚人島を去りしらほしに意識改革があった後にも、何か恐ろしい事件があったというのだろうか。そして、しばらく通信できなくなる事情とは・・・?
まぁ、すべてが円満に解決したあと、エルバフの王子:ロキと魚人族の王女:しらほしが結ばれるというのは象徴的でイイね!とは思う。
・・・ってか、ロキがローラに求婚したってのは、いったい何だったんだろう・・・