キャシャーンSins 24話(最終話)
ブライキングボスの杞憂 ルナによって世界は本当に救われたのか
限りある生を受け入れ、残された時間を有意義に過ごすという
本来、生命が持つ価値観に立ち返ったことで充実感を得たリューズとオージ
図らずもその価値は、異変以前のルナが皆にもたらしていた美徳。
その充実した短き時間を謳歌するリューズを
悲しそうな目で見つめるのはやめなさいよ、キャシャーン。
お前がリューズの限りある生命の価値を貶めてどうする
なんだか絵本チックな背景美術
ポポロクロイスやとんがり帽子のメモルじゃないよね?
海を見に行こう
そんな明日あるかどうか分からない機械の身体で
太股まで海に浸かるのはどうかと思いますよ、リューズさん。
あなたを殺したりしなくて本当…よかった…
リューズの涙は、想像もしていなかった幸せな今の暮らしへの感動と
その終わりが近いことを悟っている哀しみ
その頃オージはすでに活動を停止していましたが
オージに楽しげに話しかけるリンゴが泣けます
一方、命からがら助けを求めるロボットの群れに
死の臭いがするものは一掃せよと、無慈悲なルナ
“死”は穢れた悪よ…滅ぼさなければ…
お前は昔と同じように”死”をばらまいているだけだ、とボス
ルナは、生ある者には永遠の命を、死の臭いのするものは即時消去。
そうすることで、”死”のない永遠の生命に満ちた世の中になると考えている。
幸せを噛みしめて、その”生”を終えるリューズ
死を忘れると…、どうして”命”まで忘れてしまうんだろう…
ルナに救われたロボットたちが”生命”の価値を捨て
空虚な破壊の連鎖を産み出している矛盾
雨の中ルナの居城を目指すキャシャーン
キャシャーン!何しに来た! 現れるザコロボ多数
キャシャーン本来の肉体アクションでそれらを駆逐していく
ここで超破壊光線とか出たら個人的に感激だったんだけど…ま、無いよな。
ブライキングボス登場
今さらお前と戦う意味もねェが…、ここへ連れてきた奴らを背負ってるんでな…
ボスはボスで、世界を”滅び”へ導いた責任と償い
ロボットの無限の命とやらに疑問をそもそも感じていたのかもしれません
個人的な理由ではなく、ルナに救いを求める者全ての代弁者…
ロボットの代表=ブライキングボスとしてキャシャーンに挑みます。
制作発表時からずっとコレジャナイ感満点だったけれど
内海賢治声でとりあえず納得していたボスですが
ここへ来て、帽子をかぶり露わになったマントの下の姿は
正にブライキングボス! かっこいい!
お前もルナも、俺たちが生と死なんてモノに手を出したツケなのかもしれねェ
キャシャーン、ボスを撃破してルナの元へ
ルナを殺さないのはルナを求めるものたちのため
空虚な永遠の命を与えようとも、生きられるならその方がいい
ただし、”死”を忘れるな。忘れたらその時は、戻ってきてルナを殺すぞという意味ですかね
しかしルナの目には悪魔の姿にしか映っていないワナ
エピローグ
キャシャーンは伝説となり、死を知らないものにとって死を語る題材となった
そしてリンゴは…
えー、結局リンゴは人間でした。
オージは今となってはそんなことどうでもいいで片付けてましたけど
全然どうでも良くないよ。
リンゴの出自の謎は、ただの捨て子だったでお終いですかい?
フレンダーが”滅び”の影響を受けなかった理由も
こんな荒れ果てた時代に、一般ピープル(ロボ)のペットだったフレンダーが
カスタムパーツ満載の美しくも贅沢な作りだったことの謎も未解明のまま
それどころか
ルナとキャシャーンの間に何が起きたのか
ルナの力、キャシャーンが不死身の理由、世界に”滅び”が蔓延した理由、
かつて、死を与えていた頃のルナのナノ細胞が、後生大事に保存されていた理由も
レダが受けた、ロボットに子供を産ませる実験の顛末も
一切がボンヤリしたまんまなんですが…
“花”について
この作品では美しいもの、守るべきもの、そして生命循環のメタファーとして
メインテーマに使われています。(OPテーマが青い花であることも)
この作品ではロボットと人間以外、生命と呼ぶべき存在がほとんど登場しない
犬猫は当然のこと、虫とか草とかまるで出てこない
荒涼とした岩山や荒野ばかりだった。
そんな世界でリンゴの存在が価値あるものになってくるんですが、
じゃあ、他の人間いらないじゃん。
人間が滅びて、ロボットだけが永遠の命を享受していて
その不自然さを是正する存在としてのルナ
一縷の希望としてのリンゴ
だったら良かったんじゃないかと思うんですが…
でも、この作品はこのボンヤリ感でいいような気がします。
なので、次の言葉を最後にこの作品への批評は以後一切しないことにします。
僕はおもしろくなかったよ