ONEPIECE 1177「怒り」
黒転支配で悪魔化させられてしまった仲間を“素”に戻す光明が見えた。
それは「即死させること」。
一撃で死に至れば再度「表返っ」て、無傷の元の人格に戻るのだそうな。
「仲間を傷つけること」ただこの一点に躊躇いを感じていた一同にとって、これは僥倖。
先王ハラルドが世界への宥和政策を唱えて数十年。“蛮族”としてのアイデンティティを見失いかけていた現代の「エルバフ」において、かつての「誇り高き戦士の一族」としての力の、まさに振るいどころなのである。

剣や斧を振るうドリブロはもちろんのこと、ゲンコツやハンマーで対象をまっぷたつに粉砕するエルバフ新世代の破壊力は凄まじく、

そもそも「仲間意識」というしがらみが希薄なゾロの攻撃は、特に容赦がない。
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そう。そのゾロの容赦ない一撃は見事に致命傷だとは思うのだが、ドリブロたちの攻撃はだいたいが胴を寸断しており、心臓か脳を仕留めない限り、この程度では再生してしまうのでは・・・? と思わないでもない。
だが我々は勘違いしていないだろうか。
「黒転支配」による悪魔化の効果と、「深海契約」による不死の肉体を混同してはいないか?
「深海契約」とはイム様との直接の契約。「黒転支配」はイム様によるひとつの技の効果でしかない。

深海契約に限らず「契約」には、おしなべてイム様が“代償”を払っているそうだ。
イム様の超常の力を眷属として消費させてもらっているのだろう。
転じて「黒転支配」は、技をかけられた本人の生命力を原資として、かりそめの“不死身”を実現していると考えられる。
つまり、たとえ傷ついても生命力を消費して傷を癒やし、命尽きるまで無法の限りを尽くす、実にタチの悪いドローン兵器なのだといえよう。
だが、その生命力が尽きたときが「黒転支配」の終了であり、同時にその肉体は表返り、元の人格を取り戻すこととなる。この際、負った致命傷がなくなるのは、「黒転支配」で悪魔化する直前の状態にリセットされると考えれば、理解しやすいかもしれない。

「深海契約」を受けた神の騎士団の騎士は、頭を切り落とされようとも死ぬことはない。
これは「契約」によりイム様の加護を受けているからだが、すべての「契約」にイム様が“代償”を払っているというのであれば、ソマーズやキリンガムを今以上に痛めつけることは、イム様の「能力」または「生命力」を削ぐことになる・・・ということなんだろうか。
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その一方で、

「黒転支配」への打開策を知らず、ただ闇雲に手を出したチョッパーの攻撃を受けて表返った戦士が居た。

決して致命傷を与えていないにも関わらず… この仕組みは不明。はたしてこの要因はチョッパーにあるのか、はたまた動物系悪魔の実か、それとも・・・?
「黒転支配」から表返らせる条件が、また分からなくなった。 ・・・が、ロックスが生き延びていた可能性がまた増大したと、好材料として捉えようと思う。
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エルバフ全土を蹂躙していたMMAを一掃することに夢中・・・というか爽快感すら覚えていたルフィとロキは、その盛大な攻撃力で火災が広がっていることをナミに咎められ、少し現実に戻ってきた。

ちなみにロキの攻撃は「雷撃」なので、ルフィには効かない。
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そんな中、残った最後の怨敵:軍子(イム様)に対峙するブルックに、単身援軍として駆けつけたのはウソップ。
尋常ではない軍子(イム様)の強さ(というか纏う異常な雰囲気)に、ブルックは「逃げろ」と云うものの、生来臆病者のウソップは従わなかった。
ずっと夢見ていた憧れの地で、伝説のエルバフの戦士たちを陰湿な手段で貶めた卑劣漢を許せなかった。こういう時のウソップの精神は誰より強い。

支配してェんなら、正々堂々 正面から戦ってみろ、腰ぬけ野郎!!!
仲間を傷つけられ、憧れの対象を侮辱された事に対する、一点の曇りもない「怒り」
対するイム様曰く「支配者は 手など汚さぬ… 」

ウソップ必殺の「ドクロ爆発草」は至近距離で爆発し、ウソップ・ブルック共に重症。イム様は身体を再生して“無傷”・・・。
客観的に見て、このウソップの思考と行動はやや独りよがりな悪手だ。
謀略を企てる相手に「正々堂々としろ」とはまるで意味のない非難。
腕力自慢の脳筋相手に、正面から腕力で立ち向かうのはバカのすることだからだ。
だからといって、子どもを人質に取るとか、歴史・文化を消去するというのは許せない行為ではあるが、いまウソップが怒っているのはそういう公序良俗の話ではない。
ウソップが怒りを向けるとするならば、
生ける伝説でもある「戦士の国」がこの先の未来もそのままではいられない状況を作り上げ、自分たちの都合のいいように変化誘導したハラルドの悲劇が、すべて仕組まれていたことについてであるべきだが、陽界にいたウソップは14年前のハラルド死亡の真実を知らない。
想いは熱いのだが、エルバフの事情の表層しか知らないウソップは「じゃあ、その怒りを晴らしてみろよ」と煽ったイム様相手に、自爆必至の攻撃を退くことができなかった。
イム様から見たら、実に愚かしい行動だっただろう。
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だが次に、憧れの対象を侮辱され力尽きたウソップを目の当たりにしたルフィが怒る。

ルフィのことをはっきりと「ニカ」と認識したイム様との直接対決。
いよいよか・・・ いよいよなのか・・・?
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いやいや、まだここじゃないでしょ。
盛り上がってきたとは思うけど・・・、軍子はあくまで仮の肉体であって、これを滅ぼしたとてイム様は死なないし、物語的にもこの場で決着がつくとは思えない。
エメトに仕掛けられたジョイボーイの覇気で五老星が“五芒星アビス”の向こう側に押し戻されたように、イム様の意識が押し返されて事態はひとまず収拾して、残された軍子には本人の記憶が戻って(またはその断片を辿って)ブルックの回想があるんじゃないかな。