ONEPIECE 873 「八方塞菓子」

   




麦わらの一味とファイアタンク海賊団は、逃走した。
ビッグ・マム海賊団からはそれぞれに追手を出してはいるが、下級の兵を差し向けたところで足止めにもならない。息子たちによる強力な追撃部隊を向かわせるために、居場所を特定するべく尾行を付けているというのが実際だろう。
ジェルマにもすでに別働隊が攻め込んでいるとのことだが、王族の5名が今どこに居るかは明らかにされていない。


そんな中、近い未来を予見することができる将星カタクリが、ルフィがママを脅かす存在となる可能性について言及。
いくら異常に研ぎ澄まされたカタクリの見聞色の覇気とはいえ、まさか何日も何ヶ月も先のことまで予見できるとはとても考えられないのだが、そもそも見聞色の覇気で未来を予見できる理屈が不明なので、潜在的なルフィのポテンシャルや、行動原理、発する覇気などから、その片鱗を鋭く感じ取ったとでも思うしかない。
カタクリがそう思うということは「放っておくとそうなる」ということなのだ。

息子たちが謀反人への報復とケジメに気を揉むさなか、しかし当のビッグ・マムは


正気を失っていた。食べ損なった絶品のウェディングケーキに対する「食い患い」である。

無謀にも止めに入ったオペラは寿命を抜かれた。まぁ、今回オペラには色々と失態があったので遅かれ早かれこういうザマになっていたのかもしれないが、これの意味するところは「誰にも止められない」止めるには「ママが望むウェディングケーキを食べさせるしかない」この2点。

方法論で言うならば「ママを倒す(気絶させる)」という手段も考えられるとは思うが、常識的に考えてそれができる者は居ないということだ。ルフィが倒す…としても、ここではないと僕は思う。

首都でこれ以上暴れさせるのはマズイと、奸計を巡らせるペロスペロー。


「予備のケーキを麦わらの一味が持ち去った」


クリリンを殺したタンバリンを追う悟空のごとき勢いで筋斗雲ゼウスを駆り、ママはルフィたちを追った。

時間は稼げた。しかし、ママが戻ってくるまでに「ママの想像の中で期待値とともに高くハードルを上げた、食べたこともない美味しいケーキ」を用意しなければ、結局「食い患い」は治まらない。厳選された食材は予備があるそうだが、総料理長のシュトロイゼンは数日動けないらしい。


島の壊滅を予見するカタクリの言葉が生々しい。

そこに現れた救世主


プリンがシフォンに手伝わせてケーキを作ると言う。
ベッジの妻で現在逃走中のシフォンを脅して協力させると言うが・・・そりゃ、いろいろと無理があるだろ。

まず、シュトロイゼン以上の「味」を出せるというのはいいとしよう。だが、制作にかかる時間はどうにもならない。シュトロイゼンが数日かけた以上のケーキを、数時間で(下手すれば数十分で)作れるわけがないのだが、まぁ・・・巨大である必要はないので、数日を要するということはないかもしれない。
しかし、シフォンを捕まえて従わせるだけで数十分は費やすだろうになぁ・・・。

また、双子の妹ローラと仲が良かったプリンの頼みとあれば、シフォンなら協力する「甘さ」を持ち合わせているような気がしないでもないが、仮に協力を得られたとしても、シフォンが作ったケーキを果たしてママが喜んで食べるだろうか。シフォンが作ったことを隠してもママなら勘付きそうだ。


そして、麦わらの一味を倒して戻ってきたママをショコラタウンへ誘導しろと言っているが、これがまたムリゲーだ。
麦わらの一味が持ち去った事がウソと判明した時点で、食い患いの憤懣は一層深まる。戻ってきたときはさっきよりも言葉が届きにくい状況のはずだ。「実はショコラタウンにある。今度は本当」なんて言い訳を素直に聞き入れるとは思えない。食い患いが治まるまでペロスの命があるとも思えない。

はてさて、いったいどうなることやら。

死んでなかったキングバームを再び使役して、逃走するルフィたちのもとへ


ビッグ・マム飛来!!

「食い患い」で冷静ではないビッグ・マムは、ルフィを許せないという感情は今はないだろう。しかし、「ケーキなんか持ってねェぞ」という言葉を素直に聞いてくれるはずもない。

どうなるルフィ!? そしてどうなる息子たち!?


さて、再会したキングバームを再び従わせたナミだが、アマンドに奪われビリビリに破かれたローラのサイン入りビブルカードは、予め2枚に切り分けてあった片割れだったという・・・。ずいぶん都合のいい話と思わないでもないが、


溯って確認してみると、アマンドに奪われたカードは、確かにローラに貰ったものよりもふた回りほど小さいようにも見える。

ここでキングバームを再登場させたことは「逃走に必要だから」とは思えない。これはビブルカードが手元に残っていることを説明するために違いない。
ママはローラのことを殺したいほど憎んでいるし、ローラの居場所をママにみすみす教えるワケにもいかないので、冷静ですらない今のママに対して、ママのビブルカードが有効に働くとはとても考えにくいのだが、ビブルカードをまだ隠し持っていたことを「今ここで」明かしたのは、この後の展開に必要だからだと僕は思う。

いったいどういう方法でこの危機を回避するのか・・・と思ったら、残念、次週は休載だってさ。


サンジに侮辱されたの私…

プリン本人が自覚しているかどうかは分からないが、これは言葉通りの意味には捉えられない。


プリンは三つ目であることをママからも「気味が悪いから隠せ」と言われ、幼い頃から「醜い化け物」と誹りを受けて、その精神を歪ませてきた。
「三つ目族」がひとつなぎの大秘宝への重大な指針となる可能性を秘めているのなら、そこへ自分の価値を見い出せば良いものをそれをせず、またローラのようにママに逆らってまで自由に生きる覚悟も持たず、人に忌み嫌われる容姿を隠して「演じて騙す」事が得意な自分をママも気に入っていると思い込むことで、自分をも騙して生きてきた。


サンジはそれを言い当てたのだ。侮辱などでは決してない、美しい三つの瞳から涙を流すプリンの魂を救済したいと思わずにいられない、サンジ生来の優しさである。

プリンは自分の心に何が起きたのか戸惑っている。ママの元で人形のように生きるしかなかったこれまでの自分が、心の平静を保つために張り詰めていたものが虚勢であり虚栄であることに気付かされ、唯一の生きる道であるママの求めに応じることができなかった。


それを「恥をかかされた」と、他人を悪者にするのは簡単なことだ。しかしサンジを亡きものとしたところで、サンジの言葉に心動かされた事実が消えることはない。

プリンの抵抗はどこまで続くのか。
・・・仮にサンジが自分以上のケーキを作ったとしても、それくらいで考えを改めたりはしないのだろうなぁ・・・。

 

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