Cogito, Ergo Sum

我思う故に・・・新館

ONEPIECE 1053「新しい皇帝達」

 




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花の都の王城では、ルフィの目覚めにあわせて将軍家抱えの料理人が腕をふるった食宴が催されるも、腕によりをかけすぎた膳が並ぶのを待ちきれなかった一同は市中へ繰り出し、花の都全体がお祭り会場と化していた。
ジンベエのみが、支度人たちの厚意を無駄にせぬよう心尽くしを受け止める。大人だねェ。


国を挙げた大宴会の音頭を取る男が誰かも知らず、もはや明日の飮食に困ることのない新しいワノ国の夜明けに酔いしれる国民たち。

まぁ・・・
新しいワノ国は、それはそれで今後大変な騒動に巻き込まれることが間違いないのだが、今は、長い暗黒の時代が終わったことをただ喜び、寿ぐのもいい。


ただ、国を救ったのが麦わらのルフィという若き海賊であることを、今は公表する必要がないとしても、いずれ来る世界を分かつ大戦争の折りには、全国民が救国の英雄ルフィに「義」をもって立ち上がるときが来るのだろうな。


さて、外の世を知るすべのない鎖国中のワノ国が国民ひとり残らず浮かれまくっているその頃、ビッグニュースがふたつ世界を揺るがしていた。


ひとつめは、「カイドウ」と「ビッグ・マム」四皇ふたりの敗北と、それを下した若き海賊の告発。
ルフィ、キッド、ローはそれぞれ30億ベリーの懸賞金が懸けられた。

そしてもうひとつは、新しい四皇の発表だ。


脱落したカイドウとビッグ・マムに代わり、新たに四皇に数えられることになったのは、ルフィと、・・・なんとバギー

カイドウを一対一で倒したのだから、ルフィが抜擢されるのは当然の流れといえるが、残りひと枠がバギー。
一気に「四皇」の格が落ちたような気もしないではないが・・・

まぁ、せっかくなのでバギーのこれまでを軽くおさらいしてみよう。


シャンクスと同じく、かつて海賊王の見習いクルーだったバギー。
ロジャー海賊団の解散・ロジャーの処刑の後自らの海賊団を旗揚げするも、最弱といわれる東の海で「上」を見ないマイペースの低空飛行を続けてきたが、ルフィを狙う目的が一致したアルビダと協力することで海賊団はわずかばかり強化、ちょっとだけ野心を燃やして偉大なる航路へ。


長年追い求めたキャプテン・ジョンの宝の洞窟と間違えて、海軍基地へ乗り込んで逆に逮捕されるというマヌケを晒してインペルダウンに投獄。
LEVEL1の雑居房に収監されていたというのも、それまでの懸賞金はたかだか1500万だし、その時点で海賊王の元クルーであることが知られていなかったから、まるで重要視されていなかった。


しかしルフィがエースを奪還するためにインペルダウンLEVEL6までをひっくり返した騒動に乗じて脱走した凶悪犯たちのカリスマとしてボスに収まり、頂上戦争で知名度を上げ、そのあと一大組織を結成。


麦わらの一味が海賊稼業を休んでいた2年の間に、バギーは「王下七武海」のオファーを受け、海賊派遣という闇商売を海軍に目こぼししてもらえるまで、立場と組織の規模は成長した。



本人は(ほぼ)何もしなくても勝手に周囲が評価し成り上がるという、「カメレオン」のヤザワと比較しても、名声と実態が乖離するこれ以上ない稀有な存在だ。

しかし「王下七武海」制度の撤廃に伴いふたたび犯罪者として追われる立場となり、いったい何があったのか、ここ数週間で「四皇」の一角と目される存在になった。

「四皇」とは、「王下七武海」のように政府・海軍が公式に認定するものではない。あくまで世間の評価であって「四皇」という明確な地位や役職は存在しない。

島から島へ海を渡る交通手段や、テレビ・ラジオなどの通信手段が乏しいワンピースの世界ではマスコミが多種多様には存在せず、世界経済新聞社ほぼ一社が世界レベルでの情報発信を担っているとすれば、モルガンズをはじめとした世経の記者の独断を根拠に世評は作られていると考えていい。
実力のある海賊、世界に影響を与える海賊の番付を誰かがしているとしたら、それはモルガンズだろう。


明確に変化する時代の潮目を目の当たりにして、それを政府の都合いいように情報操作させないことがジャーナリストとしての矜持・・・というのは体のいいタテマエで、銃より強いかもしれないペンによる世論を創る醍醐味に酔いしれるエゴイスト、それがモルガンズだ。

その世界経済新聞社のネットワークで、大々的にスクープされたルフィの神々しい姿と新たな四皇としての地位。

その報道は政府の思惑とは大きく異っているようなのだが、そうなった理由はモルガンズの「真実を隠蔽させない」プライドだけではないようだ。

四皇ふたりが陥落した事実はもはや隠せない。それを成した海賊を新たな「脅威」として世界に知らしめる必要があるが、委細をつまびらかにする必要はないので、三人を破格でありながら横並びの懸賞金を懸けて発表した。

政府としては、ルフィが特殊な存在となったことを隠したいので「ニカ」の化身となった姿を晒すつもりはなかったし、この際名前の「D」もロジャーのときと同じように誤魔化すつもりだった。


まず、手配書を作成した部署には「Dの文字を抜け」という政府からの指示は届かなかった。
覚醒したルフィの写真は、CP0から直接送られていたため疑うまでもなく、現場は政府の校閲を通す間もなく、印刷発行を委託している世経は独断で責了してしまった、ということのようだ。

現場はどうやらバタバタと混乱している様子で、情報のホウ・レン・ソウを徹底する余裕がなかったことが予想できる。
だが、天竜人直轄のCP0が、五老星の意思に沿わない写真を海軍の所轄部署ごときに直接送ったというのは疑問が残る。
ゲルニカってのは、ワノ国をただひとり脱出した例の手長族のCP0だろう?
何か五老星に対して腹に一物あるのか、それともゲルニカの名を語る別人から送られたのか。

ヒゲマスクのCP0の覚悟を見る限り、CP0の任務への忠誠度は異常だ。彼が五老星に反目したとは思えないし、ゲルニカ以外から写真が送られてくることも考えられない。
CP0たちは過去の隠された事件などにも精通しているようだが、五老星と同じ知識をすべて共有しているわけではなく、それが原因で五老星の意図することが伝わらなかったと考えるしかないか。


余談だが、海軍の手配書を作成した現場の後ろで何やら騒いでいる混乱は、新世代の台頭が追い風となり影響を及ぼすことをCP0が危惧していた「いま世界中で起きている事件」とやらが、今も継続中と考えていいのだろうか。
手配書発行の手続きを船の上でするとは思えないので、どこかそこそこ権限の大きい海軍基地が今まさに襲われているということなんだよな・・・これ。

話は大きく横道に逸れたが、そうそう、バギーの話よ。

ルフィたちの新たな手配書は、校正に不備があったが政府・海軍が正式に発行したもので間違いない。
だが「新しい皇帝達」の発表は、おそらく政府の預かり知るところではない。前述したとおり、モルガンズの得た緻密な情報と分析、そして個人的な希望なども交えて世界経済新聞社が発信している。

すなわち、ルフィはともかく、バギーを新たな四皇とするにはモルガンズなりの知見があるのだ。

個人的な強さでは、バギーはカスである。それは海軍も知らないはずはないがそのうえで、バギーが持つ謎のカリスマと統率力、部下たちの無視できない実力と物量、それらを加味して七武海に招聘した。
「王下七武海」の性質上、有象無象の下級海賊を淘汰する役割があるので、バギーの弱さを知って狙ってくる輩を、強い部下が返り討ちにするという図式を目論んでのことだ。

だが知見豊かなモルガンズが「四皇」と認定するには、別の基準があると思われる。下級海賊を淘汰する役割など必要ないし、それは単純に強く、現在の世界構造に対する脅威であるはずだ。

では、バギーが強くなったのか?
否!
バギーは断じて「へっぽこ」でなければならない。

僕が思う(妄想)には、これまでとは段違いに強い者を傘下に入れたのではなかろうか。
それは・・・ハンコックやミホーク、ウィーブルなどつい先日まで「王下七武海」だった者たち・・・とかな。全員とは云わないが、例えばそのくらいのすごく大きな変化がバギーの周囲には起きているものと考える。

ところで、


前回出番がなかったロビンの無事が確認できた。予想通り、ブルックがあらかじめ見つけていた「歴史の本文」が隠された部屋にいた。


そこに現れた天狗山飛徹の正体は、おでんの父でありかつての将軍、光月スキヤキ。
これは、ファンの間ではかなり前から噂されていたことで、アニメの声優が同一だし、飛徹のプロフィールに「美少女こけしコレクター」とある時点で、城内のこけしを並べた部屋と関係があると云われていた。

おでんの愛刀「天羽々斬」や「三代鬼徹」を打った名工が将軍だって!?…の驚きには「刀鍛冶は才能があったが趣味」で済まされてしまった。ご先祖で「二代鬼徹」を打った古徹も光月から出たことになるが、それも趣味でやっていたのか、それとも将軍家を出て職人の道を歩んだのか。
光月家は代々石工職人だったはずなんだがなぁ・・・。

「天羽々斬」「閻魔」の二振りを預かっていたとは、トキに預けられたんだろうか。幽閉された部屋を抜け出たときには、すでにおでんは死んでいたというから手渡される機会はなかったはずだが、間に誰かが入ったとしたら、康イエしか居ないかなぁ。だとしたら、康イエはスキヤキの生存を知っていたことになるが・・・。

飛徹がお玉を可愛がっていたのは、年のほどが孫であるモモの助や日和と近かったから必要以上に情が湧いたこともあるかもしれないし、最近噂されている「お玉の姓が黒炭?」なのだとしたら、スキヤキなりの過去への贖罪の意味があったのかもしれないね。

プルトンについては・・・今回はいいや。

そして最後に、緑牛。


かねてから予想されていた通り、モデルは原田芳雄だそうだが、若い頃の原田芳雄あんまり知らないから似てるかどうかよく分からないわ。

能力はどうやら植物を生やしたり操ったりするらしい。身体の一部を蔓のように変化させて養分を吸い取ったりもできるようで、僕が扱いに困ると考えてた百獣海賊団の残党を、キングとクイーンも含めて一掃できるほどの実力者。強そうに見えないとか言ってゴメンよ。

サカズキのやり方をリスペクトしている割に、指示には従わないところが大将らしいクセの強さを見せている。


ワノ国へはルフィの首を取りに来たといい、大きな事件がひとつ解決したばかりのルフィたちを強制的に「時代のうねり」に巻き込む予感。・・・いや、「時代のうねり」はルフィが巻き起こしているのか・・・。

次週からワンピは4週お休み。それから最終章に突入するとのこと。
すごく楽しみだが・・・ さて、4週間何しようかな。

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Comment

  1. 匿名 より:

    原田芳雄さんは、役柄と違ってバラエティなんかではとっても気さくなおじさんでしたね。
    鉄道好きで、「タモリ倶楽部」でタモさんと楽し気に鉄道談義していたり。
    松田優作さんとも仲が良かったようで、緑牛もクザンみたいな気のいいオッサンをイメージしてたのですが。
    クイーンたちを足蹴に罵倒しながら喰らったり、サカズキのシンパでルフィの命を狙う・・・
    キングたちは手負いの上に海楼石で能力を封じれれていたのではないですかね。
    それを一方的に・・・って、完全に敵やくですな(^^;
    あと、台詞も意味深ですねぇ。世界貴族だけでなく、海軍もカイドウにいっちょかみしてたってことですか。

  2. 匿名 より:

    それはそうと、縁日を見てふと、コロナが始まってから約3年夏祭りの屋台を見なくなったなと思いました….。🍧🍎

  3. 匿名 より:

    新しい四皇にルフィとバギー…ってのはまぁ予想通りではありましたね。3巻とか25巻とか頂上戦争を読み返したくなりました。
    最終章では四皇が全員揃う展開が起こるんじゃないかと期待します。

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